まだ見えぬウクライナ侵攻の終局を前に振り返る②
前回に引き続き、今回も「ウクライナ危機後の世界」から一部エッセンスを取り上げます。
この書籍は、2022年6月に発売されたものなので、当然ながら、2022年11月末現在の事象までは捉えられていないことにご留意下さい。
刻々と状況が変化する一方、ある意味、この戦時下に妙な慣れを感じてしまっている人も少なくないはず。
そうした状況を少しほぐす意味で、振り返りとして捉えて貰えれば幸いです。
今回は、陰謀論者からも取り上げられることの多いジャック・アタリ氏のインタビューから一部エッセンスを取り上げてみます。
前回の記事はこちら👇
「2030年ジャックアタリの未来予測」でロシアによるウクライナ侵攻を予測していたが、まさに2022年2月24日、それが現実のものとなってしまった。
多くのロシアの専門家が侵攻の可能性を低いと予測していた。
しかし、一般に独裁者は民主主義のリーダーと異なり、有言実行である。
そもそも、プーチンはウクライナはロシアの一部であり、それについて諦めないと語っていた。
2021年7月に「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」という論文を発表していたのはよく知られていたことである。
その点から、今回の戦争は予測できたはずである。
独裁国家は民主主義を貶める必要がある。
自国民が外からの影響に感化されないように、対立する国々の信用を落とすプロパガンダや
キャンペーンを継続して行わなければならない。
それは、ソ連時代から70年に渡りロシアで続けられてきたことだ。
アメリカ社会に蔓延し現在もなお続く人種差別や極端な経済格差を戯画化して喧伝してきた。
このような独裁国家に対抗するモデル、すなわち民主的で調和のとれた自由な組織があるとすれば、それはEUである。
EUが拡大するということは、法による支配に基づき、自由で公正な選挙を通じて、独裁者を発生させない制度を同盟国に息づかせることを意味している。
したがって、EUの成功と繁栄は、いかなる独裁者にとっても極めて耐え難いことである。
このように分析してみると、プーチンにとって、EUとは絶対的に対抗しなければならない敵となる。
反対に、アメリカやEUなど西側諸国にとっては、民主主義の繁栄を脅かすプーチンに敗北するわけにはいかないのである。
ウクライナ侵攻は「東西冷戦=第3次世界大戦」の延長
仮にプーチンが核兵器というカードを切ったならば、それは核戦争という別のステージに突入する。
核による攻撃がNATO加盟国に飛散したならば、それはNATOへの明確な攻撃とみなし、軍事介入する可能性があるとアメリカのリード上院軍事委員長は述べた。
それは「第4次世界大戦」の始まりを意味する。
ロシアはヨーロッパであるべき。
ロシアが独裁体制を改めて、民主化を推し進めるならば、EUに歓迎されるべき。
クレムリンの体制から逃れて、亡命してきたロシア人を非難したり、迫害することは間違いである。
私たちの共通の敵は、あくまでも独裁体制を敷き、蛮行を繰り返す独裁者である。
いかなる国も核武装すべきではない。
核武装が高まる中で、地政学的に危うい位置にある、核保有国に囲まれている日本はどうすべきか
もし、日本が核武装したならば、当然ながら、韓国が核武装することを止めることはできない。
そうなれば、今後、台湾、インドネシア、オーストラリアと次々に核保有国が増えていき、いつか好戦的かつ専制的な指導者が核ボタンを押す可能性がある。
その意味では、日本が核武装をすることは出来うる限り、避けた方がいい。
すぐに核武装できる能力があることは賢明な戦略だが、そうにも関わらず、核武装しないことが重要。
近未来に関する6つの危機予測
1.気候危機
2.世界的な飢饉
3.工業製品の原材料不足
4.ロシアとの戦争
5.新しいパンデミックの恐れ
6.世界的な金融の恐れ
今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。