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<ドメスティック・バイオレンス克服プログラム> 学び2024年8月:旅路の中で見つけたもの

定期的に開催されるセッションで発表される参加者の行動振り返りからDV克服へ私が特に気づきを得たと感じたTOPICを取り上げ創作文章にして紹介したいと思います。
今回のテーマは
・DV行為者が合理性や社会的な体裁を重視しすぎている場合の問題点について
です。

### 第一章: 旅の始まり

真司さんと順子さん(仮名)は、結婚して数十年を迎えるシニア夫婦です。普段は真司さんのモラハラ的な態度から夫婦間の折り合いがあまりよくありません。しかし、今回の旅行は特別でした。数年ぶりに海外に出かけることとなり、真司さんは心底旅行を楽しもうと張り切っていました。二人は、青い海と白い砂浜が広がる南国のリゾート地を訪れることにしたのです。

初日は順調でした。美しいビーチを散歩し、地元の市場で新鮮なフルーツを買い、古い街並みを巡るツアーに参加しました。真司さんは普段の厳格な態度を少し和らげ、順子さんとの時間を楽しんでいるように見えました。順子さんも、久しぶりに夫と心から楽しめる時間を過ごせることに喜びを感じていました。

### 第二章: 暗い影

しかし、旅行の中盤、ある出来事が二人の関係に暗い影を落としました。その日は、たくさんの観光地を巡る予定が詰まっていました。朝から夕方まで歩き回り、買い物もたくさんしました。順子さんは重い荷物を抱え、次第に疲れが顔に出るようになりました。

「真司さん、少し休憩しませんか?タクシーでホテルに戻りたいのですが…」順子さんは申し訳なさそうに言いました。彼女の足はすでに痛み始めており、これ以上の歩行は難しいと感じていたのです。

しかし、真司さんは彼女の提案に反対しました。「いや、歩いて帰れる距離だよ。タクシーなんて贅沢だろう。お金も無駄だし、運動にもなる。」

その言葉を聞いた瞬間、順子さんの心は冷たくなりました。彼女の体調や気持ちよりも、真司さんはお金や合理性を優先しているのだと感じたのです。長年積もり積もった不満が一気に噴出し、順子さんは心の中でこう思いました。「私のことよりも他のことが大事なんだ。」

### 第三章: カウンセラーからの助言

数日後、旅行から戻った二人はカウンセリングを受けることにしました。カウンセラーの山本先生は、真司さんと順子さんの話をじっくりと聞いた後、次のように助言しました。

「真司さんの合理性や社会的な体裁を重視するのは理解できますが、パートナーの気持ちや体調を無視してはいけません。順子さんがタクシーに乗りたいと言った際、理由を聞かずに彼女のウォンツ(欲求)に寄り添うことが求められます。タクシーに乗ることを選択した後も、その選択に責任を持ち、後から不満を言わないことが重要です。」

山本先生はさらに続けました。

「具体的には、以下の点を心がけてください。

1. **合理性よりもパートナーの気持ちを優先**
- 合理性や社会的な体裁を優先するのではなく、順子さんの気持ちや体調を第一に考えましょう。

2. **相手のウォンツに寄り添う**
- 理由を聞かずにパートナーのウォンツ(欲求)に寄り添い、それに応える姿勢が求められます。

3. **選択の責任を持つ**
- タクシーに乗ることを選択した場合、その選択に責任を持ち、後から不満を言わないようにしましょう。

4. **パートナーの変化に気づく**
- 順子さんの体調や気持ちの変化に気づき、それに適切に対応することが関係性の改善に繋がります。

5. **コミュニケーションの重要性**
- パートナーが言い出しにくい状況を理解し、こちらから体調や気持ちを尋ねることで、より良いコミュニケーションが図れます。」

真司さんは深く頷きました。「山本先生、ありがとうございます。確かに私は、合理性ばかりを重視していました。順子の気持ちをもっと大切にするようにします。」

順子さんも感謝の気持ちを込めて、「私も、これからはもっと自分の気持ちを率直に伝えるようにします。」

### 第四章: 新たな一歩

カウンセリングを受けた後、二人は前向きな気持ちで日常生活に戻りました。真司さんは、順子さんの体調や気持ちに注意を払うようになり、すみ子さんも自分の意見を率直に伝えることができるようになりました。

ある日、二人は週末の散歩に出かけました。真司さんはふと立ち止まり、順子さんの手を握りました。「順子、この間の旅行で本当に学んだよ。君の気持ちをもっと大事にするから、一緒にこれからも歩んでいこう。」

順子さんは微笑みました。「私もそう思うわ、真司さん。お互いをもっと理解し合って、より良い関係を築いていきましょう。」

### 第五章: 旅路の中で見つけたもの

その後も、二人はお互いの気持ちを尊重し合いながら日常を過ごしました。旅行から学んだことを忘れず、真司さんは順子さんの意見を尊重し、彼女の気持ちに寄り添う姿勢を持ち続けました。順子さんも、真司さんに対して率直に自分の意見を伝えることができるようになりました。

こうして、数年ぶりの旅行は、二人にとってただの観光地巡りではなく、夫婦関係を見つめ直す大切な時間となりました。真司さんと順子さんは、これからも互いを尊重し合いながら、共に歩んでいくことを誓いました。彼らの旅路は、ただの観光地巡りではなく、夫婦関係を深めるための大切な学びの場となったのです。

### 第六章: 日常の中での実践

その後も、真司さんと順子さんはカウンセリングで学んだことを日常生活に取り入れました。真司さんは、毎朝順子さんに「今日はどう感じている?」と尋ねるようになり、順子さんも「今日は少し疲れ気味だから、ゆっくり過ごしたい」と率直に答えるようになりました。

週末には、二人で一緒に料理をすることが増えました。以前は、真司さんが決めたメニューに従うだけだった順子さんも、今では「今日は私が好きな料理を作りたい」と提案するようになりました。真司さんもそれを快く受け入れ、一緒に楽しい時間を過ごしました。

### 第七章: 新たな挑戦

ある日、順子さんは真司さんに新しい提案をしました。「真司さん、次の旅行は一緒に計画を立ててみない?お互いの希望を出し合って、二人で納得のいく旅行にしたいの。」

真司さんは微笑みながら頷きました。「それは素晴らしい考えだね、順子。次の旅行は一緒に計画しよう。」

二人はお互いの希望をリストに書き出し、話し合いながら旅行の計画を立てました。順子さんは美術館巡りを希望し、真司さんは自然を楽しむハイキングを提案しました。二人はお互いの希望を尊重しながら、バランスの取れた旅行プランを作り上げました。

### 第八章: 未来への展望

新しい旅行計画を実行に移す日が近づくにつれ、二人の関係はさらに強固なものとなりました。真司さんは、順子さんの気持ちを尊重し、共に楽しむことの大切さを再認識しました。順子さんも、真司さんに対して率直に自分の意見を伝えることができるようになり、二人のコミュニケーションは格段に向上しました。

旅行当日、二人は手を取り合って新しい冒険に出発しました。美術館では順子さんが満足そうに作品を鑑賞し、ハイキングでは真司さんが自然の美しさに感動しました。二人はお互いの興味を尊重し合い、全ての瞬間を共に楽しむことができました。

### 結論: 永遠に続く旅路

こうして、数年ぶりの旅行は、二人にとってただの観光地巡りではなく、夫婦関係を見つめ直す大切な時間となりました。真司さんと順子さんは、これからも互いを尊重し合いながら、共に歩んでいくことを誓いました。彼らの旅路は、まだまだ続いていくのです。そして、その旅路の中で見つけたものは、互いを思いやる心と、深まる絆でした。


DV克服のための気付き

上記物語では、合理性や社会的な体裁を重視しすぎてパートナーの気持ちや体調を無視していることが問題であるといえます。順子さんがタクシーに乗りたいと言った際、真司さんがその理由を理解せず、第三者を優先しようとする姿勢が見られました。これにより、順子さんは自分の意見や体調を伝えることが難しくなり、関係性が悪化しています。

真司さんは、順子さんの気持ちや体調にもっと関心を持ち、理由を聞かずに彼女のウォンツ(欲求)に寄り添うことが求められます。タクシーに乗ることを選択した後も、その選択に責任を持ち、後から不満を言わないことが重要です。真司さんが順子さんの体調や気持ちを尊重し、関係性を改善するためには、彼女の変化に気づき、適切に対応する姿勢が必要です。

また、順子さんが自由に意見を言える関係性を築くためには、真司さんが彼女の体調や気持ちに注意を払うことが重要となります。

今日のDV克服のための示唆は以上となります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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