図書館通信#8『分かり合えなくても』

THE FIRST SLAM DUNKの面白さは決して分かり合えない者同士が一つの目的のために団結するところにあると思う。

主要キャラクターはほとんどが分かりやすい不良だ。不良というのはコミュニティの中でのはぐれ者のことである。キャプテンのゴリは真面目な選手に見えるが真面目だからこそ浮いてしまった過去やそれによって人を信用できなくなっているところから、彼もはぐれ者で不良性のあるキャラクターと言えるだろう。

そしてこのはぐれ者たちがはぐれ者のままチームになる。だから彼らは決して群れたりしない。ヤンキー漫画には仲間同士の絆や友情なんかを大切するイメージがあるがスラムダンクにはそれが薄く、あくまではぐれ者の集まりになっている。

それはこの映画の舞台である山王戦、原作での最後の試合らしいが、そんな大事な試合においてもその関係性のままなのだ。そしてそんなチームが一つの目的に向かって戦う。

彼らは最後まではぐれ者で仲の良い友達になることはない。それでも同じ方向を向き戦うことができる。そんな距離感が、人は分かり合えないながらも協力しながら生きていくことができるという希望を見せてくれたように思うのである。

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