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始まりのアイコトバ


「好きなことをがんばることに、おしまいなんて、あるんですか!」

青春の始まる季節。少女は、懸命さが今にも溢れてきそうなその瞳で、主人公に真っすぐ訴えかけた。


”おしまい”

春は始まりと終わりの季節。どんなことにでも、始まりがあればいつかは終わりがやってきてしまう。

しかし、そんなひとひらの不安でさえ心許なく感じられるような春の空の下で、少女の言葉からあふれてきたのは、ただ純粋な、眩しいひとすじの光だった。






(こちらは、ラブライブ!スーパースター!!三期六話「タカラモノ」関連記事です。)








憧れたスクールアイドルになるため、上海からはるばる日本までやってきた少女、唐可可。

唐可可にとって、スクールアイドルとは、いったい何だったのでしょう。



物語は遡って、可可の中学校時代。

両親の勧める進路を懸命に歩もうと、猛勉強に励んでいました。

中国社会の現実として、勉強が出来るひとの方が、きっと上手に生きて行ける。自分の子供には安定した人生を送ってほしい。リスクに晒されてほしくない。


それはきっと、両親なりの愛で。


愛をもって育てられてきた可可。

そんな両親をがっかりさせてはいけない、その優しさに応えなければいけないんだと自らに言い聞かせ、息苦しさを抱えながら、誰よりも懸命に勉強する可可の姿が、きっとそこにはありました。


「いま、頑張らないと。」






それでも、出会ってしまったものはしょうがないのです。

サニパ様との出会い。スクールアイドルとの出会い。


可愛らしい衣装に、眩しすぎるパフォーマンス。
いまを最高に満喫する姿と、どんどんトキメキに溢れていくような未来。


ずっと勉強ばかりだった可可のなかに眠っていた「大好き」が爆発してしまうのも、無理はありませんでした。

日を追うごとにスクールアイドルが大好きになっていった可可は、その「大好き」だけを信じて、はるばる日本までやってきたのでした。






「大好き」を強く信じ、誰よりもスクールアイドルに生きようとした可可は、三年間の活動を通じて、歌でいろんな人の心と心を繋げてきました。ラブライブという夢の大会で、優勝を成し遂げたのです。


でも、スクールアイドルでいられるのは、三年間という長いようで短い時間だけ。帰国問題をなんとか乗り越えても、その期限はどんどん近づいてきます。


可可にも、大きな問題に向き合うべき時期がやってきていました。

いまを最高に満喫したいという思いのあまり、スクールアイドルの外側に置いてしまっていた、自分の進路の問題。両親との問題。


悩みに暮れる可可。

何より、スクールアイドルとしての青春を終えた後、という想像それ自体が、可可にとっての未来の展望に、影を落としてしまう。だから、その先のことは考えたくない、と思ってしまう。

お姉ちゃんの言いたいことは分かるけれど、両親からの期待も、可可にとってふいにしてしまえるものじゃない。だってきっと、両親からの愛も、可可にとって”タカラモノ”だったのですから。

しかし、進路を選ばなければいけない時期は、着々と近づいてきている。進路を決めていない、なんて言ったら、せっかく期待してくれている親にどんな顔をされるか分からない。だから、これ以上先延ばしになんてできない。

とにかく、決めなければいけない。


でも。

平安名すみれの「わたしは可可がステージに立ち続ける姿を見たい」というセリフから伝わる、すみれが可可に抱き続けてきた強い愛。

澁谷かのんがタカラモノにしていた言葉。
「好きなことを頑張ることにおしまいなんてあるんですか!」
かつて、可可がかのんに贈ったコトバ。

「わたしは卒業したら、ウィーンに歌を勉強しに行く。だから可可ちゃんにも、真っすぐ突き進んでほしいよ!」
かのんの心からのコトバ。

可可の登場を待ちわびている上海のファンから湧き上がる歓声と呼びかけ。

共に高め合い、手を取り合ってきたLiella!の仲間たちの想い。

大好きなスクールアイドルとしての青春を彩った、かけがえのない思い出。

たくさんの、思い出。


すべてが、”タカラモノ”で。


駆け抜けてきた青春の煌めきが、今もそこにある愛が、もらった幸せが、可可の背中を優しく押してくれる。それは、可可が大好きでやまない”スクールアイドル”が素晴らしいものだということを、なによりも証明していて。目の前はキラキラと輝いていて。


だからずっと、「大好き」に素直でいたい。これまでもこれからも、挑戦する自分でありたい。いま大切なものを、ずっとずっと、大切にしていたい。

そんな”タカラモノ”が、今も胸に宿っている。

目と目 合ったとき 君が絶対的LOVER

絶対的LOVER(Liella!、澁谷かのん、ウィーン・マルガレーテ、鬼塚冬毬)

ある意味ワガママと言われてしまうのかもしれないけど、それを心底祝福して、応援してくれる人たちが目の前にはこんなにたくさんいる。そんな愛に包まれているから、可可は、新たな一歩目を踏み出すための勇気を、振り絞ることが出来たのでした。







可可含む一期生は卒業を迎え、それぞれの場所へと旅立っていきました。

”思い立ったが吉日”

この言葉のとおり、自分の大好きなことに猪突猛進していく唐可可は、きっとこれからもその生き様で、色んな人の心を動かす存在になることができるのでしょう。優しいあなたは、これからもっともっと、人の心にそっと寄り添うような存在に近づくことができるのでしょう。



春。始まりと終わりの季節。
三年間の青春を走り切ったいま、改めて、あの日の始まりの言葉に想いを乗せてみるとするなら。

「好きなことをがんばることに、おしまいなんて、あるんですか!」

いまの可可ちゃんなら、どんな表情をするのでしょう。











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