AIは残念ながら心の目を持ちあわせていない。
こんにちは、チームDACOVAです。
前回のnoteでAIは人間みたいだ、という趣旨のことを書かせていただいたいたのですが、AIは人工知能であって人間ではないので、人間と全く同じように判断ができるかといえばそんなことはありません。
AIは人間と違って、見えたものでしか判断できない
最近、外観検査にAIを導入したいというお話や、既に導入されたというお話もよく聞きます。人が目視で実施している外観検査の工数を削減したい、というのが理由の一つにあげられます。
その一方で、導入してもうまくいかないといった話もあり、「どうやったらAIの精度を上げられるのか」と悩みを抱えていらっしゃる方も多いようです。
このような状態に陥った場合、むむむ、どこに原因があるのか、やっぱりAIは使えないのか。。。と思われる方も多いと思うのですが、画像データが鮮明ではないという可能性があります。
なぜならば、AIを用いた外観検査では、人の目視検査と異なり見えたものでしか判断できないからです。
画像データに検知したいものが写っていたとしても、それがAIで判断できないほど不明瞭な場合、AIでは「正常」か「異常」かを判断することはできません。
いちご大福の画像を例に画像の良しあしを考えてみる
さて、どの程度の画像の鮮明さであればAIで正常か異常かを判断できるかを、いちご大福の画像を例に示したいと思います。
今回はこちらをいちご大福の画像とします。ピンクの丸い大福です。実は中にいちごが入っていないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いちご大福だと思ってください。
さて、いちご大福ではない異常の写真の例としてこちらのマカロンの画像を
使用させていただきます。
では、次の画像はどうでしょうか。
この画像を見て、どちらががいちご大福でどちらががマカロンか、判断に苦しむと思います。人間のあなたがこの画像をみてもどちらが正常(いちご大福)で、どちらが異常(マカロン)か判断できないということは、AIでもおそらくこの画像で正常か異常かの判断はできません。
しかし、人間が目視検査をした場合、現物が目の前にある状態で検査をすることになります。よって、現物がよく見えない状態だったとしても、左がいちご大福、右がマカロンであることが判断できることがあります。なぜならば、現物が目の前にあれば触ったりにおいを嗅ぐことができるからです。いちご大福とマカロンではさわり心地もにおいも違うので、視覚以外の部分で判断が可能です。
また、稼働している装置がエラーを発生していたり、いちご大福ではない何かの粉末の落下等があれば、「あれ、このいちご大福なにかおかしいかもしれない」と考え、異常と判断することも可能です。
それでは、こちらの画像はいかがでしょうか。
これなら、AIも人間も左が正常で、右が異常だと判断できそうです。
良い画像を取るためにはどうしたらいいのか
いちご大福の画像により、「正常か異常か判別可能な画像が取得できなければAIによる異常検知は難しい」というのはおわかりいただけたのではないでしょうか。
人間の目視検査とは違い、AIの画像検査は心の目で見ることはできないので、正常か異常かを判別可能な画像を取得することが必要となります。
では、どうやって画像を取得すればよいのか、というと照明を明るくする、
より高性能のカメラを使用する等々、いくつか手段はありそうです。他にも良い手立てがあるかと思いますが、製造現場に合った方法を選択されると
良いと考えています。
まとめ
画像による異常検知の大事なポイントは一つは、どれだけ判別したいものが鮮明に写っているかです。AIの精度が上がらないという話も聞きますが、意外とAIのせいでない場合もありますので、ハード面を含めて日々、検討を行っていくことが必要だと考えています。
どうやら、AIが何でもできると思って頼りすぎると、痛い目を見てしまうようです。。。
※なお、AIに「人間の目視検査と同じように検査をさせたい」という場合には、においを取得したり検査対象のさわり心地を測定する等別の側面からもアプローチすることが可能ですが、今回は画像を用いた場合について記載をしています。
※以前いちご大福を例に異常検知と物体検出の記事を書かせていただきましたので、よろしければこちらもご参考まで。