
やべえ利用者と社長があぶり出したLUUPのジレンマ
おはようございます。自分の好奇心にドライブされて知らないことを調べるのが大好きなだっくです。
タイトルに「ん?!」と思ったあなた、僕と同じアンテナがありますね!しばしお付き合いくださいませ。
さて、結論からまずお伝えしましょう。電動キックボードLUUPはちょっとどうにかしないとマズい目に余る問題を抱えているので放置せずなんとかしてくだちい。では、そのことについてお伝えしますね
電動キックボードは、都市部での新しい移動手段として導入されてきました。一応は環境に優しく、手軽に利用できる点が魅力という触れ込みです。
しかし、その普及が急速に進む一方で利用者のいい加減な運用による交通違反や事故が急増し、社会問題として着目されるに至っています。
そんな状況の中、12/3の新聞における電動キックボードシェアサービス「LUUP(ループ)」の岡井大輝社長の発言が炎上し、さらに運が悪いことに同日になんと首都高速道路への進入事件も発生するなど、「ちょっとこれはどうなのよ」と疑問視せざるを得ない状況が連発しています。
以下に、これらの問題を掘り下げ、国内外の事例や対策を交えながら、電動キックボードの現状と今後についてお話ししたいと思います。
LUUP社長発言が引き起こした炎上
2024年12月3日、LUUPの岡井大輝社長が時事通信の記事で「一部の利用者が何度も違反を繰り返している」と発言したことが、半ば炎上と言えるような大きな批判を呼びました。
この発言は、交通違反や事故の増加について問われた際のコメントでしたが、多くの人々から「一部の利用者だけではなく、多くの人がルールを守れていない」「事業者として責任を果たしていない」といった厳しい意見が寄せられました。
SNS上では、「そもそも電動キックボード事業自体に問題がある」「規制緩和によって安全性が損なわれている」といった声も多く見られました。
ものによっては、「議論ばかりで話しが進まない日本で 随分とスムーズに許可が降りたもんだね?」「警察OBがLUUP社に天下りしているようですが、危険なので、一刻も早く日本でも全面禁止にすべきだと思います」などとちょっと実証されてなさそうな憶測もまことしやかに言われています。
記事では冒頭あたりに「一部の利用者が何度も違反を繰り返している」と書かれていて記事見出しも「一部利用者が」と書かれているので、イマドキの人達らしく最初の数行でカチンと来たらもう自家発電で燃え上がってしまう典型のような化学反応の結果です。
元々LUUPという電動キックボードという新しい移動手段に対して「なんだあれ。やだな」的にこれまで抱えてきた社会的な不満や不安をここぞとばかりに爆発させた結果なのかなと僕は思います。
そこで少し深呼吸して記事の続きを読んでほしいです。以下が引用です。
「軽微な違反でもペナルティーが付くことで、真剣に乗ってもらうようにすることが重要」と厳罰化の狙いを語る岡井氏。「ごく一部の(悪質な)違反者からは売り上げを得る必要がない。一切許す余地がなくていいと思う」と断言した。
その上で「おもちゃなのか、自転車と近いのか、車と同じなのか。新しく出てきたものだからみんなルールが分かっていない。車両だと意識すれば飲酒は絶対しないし、速いスピードで歩道に乗り上げることもない」と持論を述べた。同社は全ての利用者に対し、交通規則に関するテストの全問正解を求めており、今後も問題数や質問内容を見直すなどルール周知を強化していくという。
まあ、ここでも「ごく一部」「売り上げ」などと追加燃料を振りまいているので「一部じゃねえだろ!?」「結局は金かよ!銭ゲバが」となるのが必定ではありますが、大事なのは強調した部分です。
基本的に社長は「容認すべきでは無い」「原動機付自転車としての利用者への認知が足りない」という問題の本質はきっちり伝えています。
まあ、LUUPが目に付くのは、普通ではありえないくらい規制緩和を早く進めてきたことでぶっちゃけ癒着があるんじゃないかという疑惑があったり、ちっちゃいスタートアップなのに何故かレンタル電動キックボード業界で圧倒的なシェアを誇っている事に違和感を持ったりといったところはあります。僕もちょー不思議に感じています。
ここら辺を上手く纏めていた記事があるので紹介しますね。
まあ、とにかく色々と拙速だったというのが実際のところなのでしょうねえ。
ニノ君。。。。いやあ、まだフツーーじゃないっス。つうか、普通になるかどうか怪しいから、もう少しその全開のアクセル緩めた方がいいっス。
それと「交通規則に関するテストの全問正解」なんてぬるいことで対策とか言ってたら駄目っス。いっそのこと、イーロンマスクのニューラリンクと提携して乗車時に脳内に規則をインストールして違反をしたら頭がパアになるくらいの措置をすれば、流石に反対派も「そこまでやらんでも」と白目を剥いてドン引きで去って行くと思うッス。
首都高速道路への進入事件
よりによってLUUP社長記事と同日に起きた首都高速道路への電動キックボード進入事件は、多くの人々に衝撃を与えました。
2024年12月3日午前3時頃、東京・渋谷区の首都高速道路3号渋谷線で電動キックボードが約1キロメートルにわたって走行するという危険な事態が発生しました。
この様子は首都高速道路株式会社によって公開された映像にも記録されており、路肩から車線へ膨らんで走行する電動キックボードと、それを避ける後続車両の様子が確認されています。
幸いにもこの事件では事故には至りませんでしたが、高速道路という特殊な環境での走行は重大事故につながる可能性があります。
首都高速道路株式会社は「誤って進入してしまった場合には、安全な場所に避難し警察に通報してほしい」と注意喚起しています。この事件は、利用者教育や技術的な対策(例えば、高速道路など特定エリアへの進入を防ぐGPS機能)の必要性を強く示しています。
実を言えば2年も前からそういった高速道路侵入は発生していました。以下の動画は静岡の事例です。
高速道路で自動車を運転していたらガス欠になったのです。そうすると脳が湧き上がった運転手はピキーンと思いついてはならぬ事を思いついたのです。「そうだ!持ってきた電動キックボードでサービスエリアまで行けばいいじゃないか?!」そして、こういう無駄にアクティブなお馬鹿は後先考えず実行しちゃうのですよねえ。
まあ、高速道路を走るのは確かにちょっと頭のおかしい一部の利用者くらいですよね。
ただ、首都高速道路では、2024年に入ってから12月3日までに電動キックボードが進入するケースが7件確認されていると言いますから、やべえ奴はそれなりにいるのです。
日本国内で増加する事故とその背景
死亡事故と重傷事故
電動キックボードによる死亡事故や重傷事故も増加しています。
2022年9月には東京都中央区で国内初となる死亡事故が発生しました。このケースでは50代男性がマンション駐車場内で運転中、車止めに衝突して転倒し頭部を強打して死亡しました。男性は飲酒状態でヘルメットも未着用だったことから、安全意識の欠如と装備不足が原因とされています。
また、2023年12月には長野県軽井沢町で39歳女性が赤信号を無視して交差点に進入し、高速バスにはねられ死亡するという痛ましい事故も起きています。この女性は免許不要と思われる機種を使用していましたが、実際には免許が必要なモデルだったことも判明しました。
重傷事故も少なくありません。東京都豊島区では20代女性が運転する電動キックボードが歩道上で60代女性と衝突し、高齢女性はろっ骨骨折などの重傷を負いました。このケースでは運転者がそのまま逃走し、ひき逃げ事件として捜査された後お縄についての調べに対し「当たってはいないが、女性が転倒したのは私が原因だと思う」と容疑を一部否認というおまけ付きです。
件数的にも結構累積していますから、これを怖いと思う人が出てくるのはやむなしじゃないかと思います。自転車ですら酒気帯びは一発アウトに法改正でなったんですから、電動キックボードは尚更です。
海外における事故事例と対策
日本だけでなく海外でも同様の問題が報告されています。
海外でも電動キックボードに関連する事故や規制が多く報告されています。以下に具体例を挙げますね。
イタリア
2023年の電動キックボード関連事故で21人が死亡し、3365人が負傷しました。これを受けて、イタリア議会は2024年11月にヘルメット着用と保険加入を義務付け、無断駐車への罰金を強化する法案を承認しました。
韓国
2019年に447件だった電動キックボード事故が2023年には2389件に増加し、死傷者は8人から24人、負傷者は473人から2622人に急増しました。飲酒運転による事故も増加しており、有名アイドルグループのメンバーによる飲酒運転事件も報道されています。
フランス
2023年に3人が死亡するなど事故が多発し、運転マナーの問題も深刻化したため、2023年8月末でパリでは、レンタルサービスが廃止されました。フランスのマルセイユは禁止を検討したのち、最終的に規制を見送ったそうです。
オーストラリア
2024年8月、メルボルン市はレンタル電動キックボードの禁止を決定しました。2022年2月の導入以来、数百件の事故が発生し、市民からの苦情が相次いだことが理由です。また、2022年には約250人の利用者が救急外来を受診したとの報告もあります。
アメリカ
サンフランシスコやサンディエゴなどの大都市が、安全面や駐車場に関する懸念から、厳しい規制の導入や禁止の検討されています。電動キックボードによる頭部外傷患者が増加し、医療機関から警鐘が鳴らされています。特にヘルメット非着用や飲酒運転による事故が多く見られます。
イギリス
ロンドンでは、公道で私有電動キックボードを使用すること自体が禁止されています。それでも違法使用者は後を絶たず、警察による取り締まりや罰金徴収など厳格な対応が取られています。
まあ、こうやって見ますと他国の状況をどう学んで電動キックボードを導入、解禁したのか不思議に思うところが沢山あります。
軽車両である自転車と何が違う?
原動機付き自転車の電動キックボードは、軽車両である自転車とは異なる特性があります。
その最大の違いは安定性です。自転車は大きなタイヤと座席によって安定感がありますが、電動キックボードは小さなタイヤと立ち乗り構造ゆえ、不安定になりやすいです。最近は座る構造のものも提案されていますし形状が色々ありますが一般的にキックボードと呼ばれるタイプは立ち乗りです。
また、自転車は前後輪それぞれに効果的なブレーキシステムがありますが、多くの電動キックボードではブレーキ性能が十分とは言えません。そのため急停止時などに転倒するリスクも高まります。
さらに、異論はあるとは思いますが、自転車は法整備や安全教育プログラムなど長年かけて社会的受容性を高めてきました。一方で電動キックボードは比較的新しい乗り物であり、その普及スピードに法規制や安全対策整備が追いついていないし、何より利用者がアレな人が多いような気がします。(数字的根拠はありません。僕の偏見です)
LUUPという会社の理念は今もきっと変わらない(2024/12/7追記)
なんとなく虫の知らせがあったので、noteでLUUPという単語で文字列検索をしてみました。するとLUUP公式のnoteを見つけました。覗いてみるといくつかのことに気付きました。
1.4年半前にスタートアップとして始動したときに作成したもので、一ページに収まるくらいの記事を書いて止まっている。
2.公式noteなのにその割にスキがついていない。但し初回の思いを乗せた記事だけは別格
ここから分かることは、よくある起業時の思いを乗せて書いたnoteだけど、その頃は全く無名に近く、先走る思いだけを書き連ねて大した反応も得られないままnoteでの活動を終わった残骸なのでしょう。
多くが目を通され、恐らくは心を揺さぶったであろう初回の記事を読んでみました。
協議会に参加する企業は、言わば競合企業です。それでも建設的な議論をしながら業界を進めていけるのは、たとえ競合であっても業界として協力をして、日本に安全なインフラを作りたいという協議会企業の目標が一致しているからだと思います。
関係省庁ともしっかり議論を重ねていく中で日々感じるのは、「なんとか規制緩和させよう」という考えではなく、「悲しい事故を起こしたくない」という各社の思いに尽きます。
多分この岡井大輝社長の初志は混じりっけが無かったのだろうと思います。利害関係が無い僕から見ても崇高で美しいものだと感じ取ることが出来ます。
ただ、4年半という期間はスタートアップにとっては短くはありません。ここで交わされた建設的な議論や世の中に寄与したいという思いが今はどうなっているのかが非常に気になるところです。
色々と理想と現実が一致させられない隔靴掻痒さや、現実は残酷なまでに悲しい事故へと結びついています。4年半前これから絶対伸びるインフラだと思っていたものは世界中で問題を起こし規制がかけられています。
数値的に見れば、ごく一部問題がある人達が引き起こしたものなのかもしれません。だけど、それを提供者が「ごく一部で全体のことではない。本当は安全なインフラなんだ!」と言い募るのは違うと僕は思います。
安全安心とよく言いますが、仮に数字が安全だったとしても安心という心理を担保してこその事業です。
例えば、全く違う話ですが、いわゆる対人の死傷事件の発生数というのは戦後ずっと右肩下がりです。
ザックリ言えば戦争直後年当たり2000件超の事件数に対し現在は年当たり約200件程度です。いわゆる残酷な凶悪事件と言われる事件も過去は比較にならない割合で発生していました。
それなのに僕らの体感は凶悪事件も少年犯罪も増え深刻化しているようになっています。
マスメディアの報じ方が針小棒大に事件を長い期間部分を拡大し、深刻な論調で伝え、多くはろくな考えもなく「社会の闇が」などと浅い万能のパワーワードを使い続けた結果というのもあります。
でも、それだけではないのです。数字をただ示したところで響きません。何故なら、人間は数で事象を認知するよりも気持ちを遙かに優先するからです。
僕みたいに冷血で他人事のような立ち位置の人間からすると「アホは数字を見ても分からないからアホなんだ」と言い放ちますが、岡井大輝社長あなたはそれが許されないところにいます。
初志が変質していないのであるならば、この現実をどう受け止め、どう着地させるのかは間違いなくあなたが賽を振る立場にあります。僕がどうこう口さがないことを書き連ねるのを読むのでは無く、今一度ご自分が書いた記事を読み直すのが良いのかもしれません。
僕は、2025年を迎えようとする今この瞬間のあなたの「「公共交通機関」のあり方が見直される世界で、僕がLUUPというインフラをつくる理由」を読んでみたいです。
おわりに
まあ、こうやってツラツラと書いていくと、本当にやべえ乗り物じゃんという話に着地するのですが、流石にそれも偏りすぎな気もします。
本来、自転車などもそうなのですが、軽車両や原動機付き自転車は車道を走るものとされています。ただ、この手の乗り物は制限付きで歩道にも乗り入れることが出来たりで両生類的というかビミョーな存在でもあります。
そのビミョー故に隙間で便利に使って貰いたいというコンセプトは理解出来るのですが、実のところそのビミョーさ故に利用者の認識がまともなものにならないままテケトーに運用されて問題を起こしているように見えます。
そもそも、車道で走らせるには自動車から見て危険極まりない存在ですし、歩道を走ったならば殺傷兵器となり得るブツです。運用するならば、電動キックボード専用レーンを設けるといった大規模な環境整備が必要だったのでは無いでしょうか?
ただでさえ、日本の道路はせせこましいです。自動車と歩行者でいっぱいいっぱいなのにそこに新しい乗り物をというのは結構無理筋です。
加えて都市圏に顕著ですが路面の凹凸(おうとつ)も整備されているとは言い難いです。先に触れたように電動キックボードはタイヤの大きさが極めて小さい小径車が多く、路面の状態からもろに影響を受けてしまいます。安定運転させることがそもそも構造的に難しいのです。
僕が思うに、そういった環境面を考慮して導入を諦めるか、しっかりインフラにお金をかけて整備するかの二択だったところを、「そんなの関係ねえ」と押し進めてしまったLUUPや警察関係の判断には強い疑問を感じます。
頭の逝かれた一部利用者というのは確かにいて、彼らが問題に脚光を浴びせてくれたと考えるのはポジティブ過ぎるかも知れませんが、この機会にもう少し関係者は真面目に現状を改善するか、それが出来ないのであれば手仕舞いするくらいの覚悟を見せてほしいものだと僕は思います。
みなさんはどのように思われましたか?
ちなみに、無料記事でもお値段をつけました。寄付というより、この記事に興味を頂けたなら続報、深堀りを追記します。
追記分は有料領域に書きます。特に続報や深堀りを「知りたい!」というご希望があれば少額(トッブバリュ干し芋二袋分)頂いてノリノリで進めますし、特に無ければ必要ないのだと考えます。既存の公開部分は無料のままです。
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