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システィーナ礼拝堂の扉が閉じる時、ローマ教皇選出方法「コンクラーベ」とは?

こんにちは!ニュース連動型おじさんだっくでございます。

現ローマ法王のフランシスコ教皇が、土曜日早朝に「長期にわたる喘息のような呼吸器系の危機」に見舞われ、容態が引き続き「危篤」であると発表された。回復傾向を伝える報道が続いていた中の急変には、正直不安を感じます。

健康寿命が長期化する昨今ではあるけれど、88歳が高齢というコトは間違いありません。僕の家系は比較的母方は長寿ですが、父方は早逝傾向で、僕自身残りの人生の長さは短めに見積もるようにしています。

さて、表記について話していきましょう。存命なのに不謹慎と怒られる向きもあるかとは思いますが、備えは常に必要と僕は思います。いざというときでは遅いのです。

バチカンのシスティーナ礼拝堂に枢機卿たちが集結する時、世界が息を呑む瞬間が訪れます。

コンクラーベ(Conclave)という荘厳な儀式は、ラテン語で「鍵と共に」を意味する言葉が示す通り、外部と完全に遮断された空間で行われるのです。

この千年以上にわたる伝統は、単なる選挙手続きを超えた霊的プロセスとして発展してきました。現代のコンクラーベがどのような手順を経て行われるのか、以下にその詳細を紐解いていきましょう。

中世から歴史が刻んだ選出の儀式「コンクラーベ」

ミケランジェロの天井画が睨みを利かせるシスティーナ礼拝堂で行われる現代のコンクラーベは、中世の混乱から生まれた知恵の結晶です。

1268年のビテルボでの教皇選挙が転換点となりました。当時18人の枢機卿が3年間も結論を出せず、市民が枢機卿を宮殿に閉じ込め食料を制限するという劇的な措置が取られました。

この経験から、グレゴリオ10世が1274年に制定した規則が現代の原型となっています。

16世紀にはシスティーナ礼拝堂が恒久的な会場に定められ、ミケランジェロの「最後の審判」が完成した1541年以降、この空間が聖霊の導きを求める場としての性格を強めていきました。

1978年までの慣習では、枢機卿たちは選挙期間中礼拝堂内に寝起きしなければならなかったのです。これは、ヨハネ・パウロ2世の改革で近隣のサン・マルタ館での宿泊が可能に。ただし、外部との接触は厳格に禁止され、違反者は破門の危険に晒されます。

多少は緩められたものの一カ所の閉塞空間に枢機卿達を集め、接触を断つというところは何ら変わりなく実行され続けており、宗教としての戒律の厳格さ、歴史の重みを門外漢の僕でも感じ取ることが出来ます。

現代のコンクラーベが動き出すまで

現教皇が死去または辞任すると、バチカンは「使徒座空位」という特別な状態に入ります。

開始までのスケジュール感

ヨハネ・パウロ2世の使徒憲章「ウニベルシ・ドミニ・グレギス」によれば、コンクラーベは15日から20日以内に開始。

この期間は全世界の枢機卿がローマに集結するための猶予期間ですけど、ベネディクト16世の2013年の改革で柔軟性が加えられ、全員が揃えば早期開始も可能となったそうです。

対象者

選挙権を有するのは80歳未満の枢機卿で、最大120人までと定められています。

120人に制限されている理由は、教皇パウロ6世の改革に由来します。この制限は「コンクラーベの効率性と管理可能性を確保するため」、年齢制限は「聖霊の導きを受けるに相応しい活力を保つため」という解釈がなされています。

秘密厳守

選挙参加者は厳粛な宣誓を行い、秘密保持を誓約し、携帯電話や電子機器の持ち込みは禁止され、礼拝堂内には電波妨害装置が設置されます。

現代において物理的な隔離だけでは足りないのは当然なのかも知れません。特にSNSみたいなものがあると、一瞬で世界中に拡散されてしまいます。

まして、Xのようなねつ造、フェイクニュースの殿堂ではそれこそ本人がいなくてもディープフェイク画像が溢れかえっていますから、そこに文字でも画像でも餌を与えたら、どんな妄想の産物が生まれるか想像すら出来ませんからね。

聖霊の導きに集中できる環境にトランプとかイーロン・マスクとかの雑味が入ることがあってはなりません。

投票という祈りのプロセス

コンクラーベの核心を成す投票プロセスは、厳格なルールに支配されています。

超大変だったプロセスも現代化しつつある

コンクラーベの開始時に、枢機卿たちは「ヴェニ・クレアトール」という聖霊の助けを願う歌を歌いながらシスティーナ礼拝堂へ移動します。

ローマ法王選出の流れ

そして、初日午後の第1回投票で3分の2以上の得票者がいない場合、翌日からは1日2回(午前と午後)の投票を行うのです。

3日経過後は1日の祈りの期間を挟み、7回の投票を実施。それでも決まらない場合は再び中断期間を置きます。

歴史上最も長期化した1292-1294年の空位期間(2年9ヶ月)を教訓に、現代の制度では投票方式の変更が組み込まれています。

2007年のベネディクト16世による改正後、33回目の投票からは決選投票方式が導入され、上位2名の間で過半数の得票を争います。この制度変更は、20世紀後半に増加した長期化選挙への対策として考案されたそう。

確かに決まらないからと言って7回も実施する間、一カ所に120人押し込めて実施するのはあまりに非効率だし、本人達も疲れちゃいますよね。

白い煙と黒い煙

各投票用紙にはラテン語で「わたしは最もふさわしいと信じる者を選ぶ」という文言が記され、投票者は被選挙人の名前を変筆して記載します。

投票終了後、用紙は焼却処理され、黒い煙(未決)か白い煙(決定)が外部に知らされます。この劇的な演出は1939年から化学薬品を用いた色分けが行われるようになり、2013年からは電子式煙発生装置が導入されています。

無駄にテクニカルなのですが、とにかく何かを遺してしまうと秘密投票の原則が守れなくなってしまうのです。

閑話:コンクラーベ中の食事も過酷です

期間中の食事は修道女たちが食事を準備してくれるのですが、質素で健康的な内容だそうです。

イタリア紙コリエレ・デラ・セラは「病院食のようなこの食事が、もしかしたら後継者選びのスピードを速めるかもしれない」と報じていました。

カナダ人枢機卿のトーマス・クリストファー・コリンズ氏は、コンクラーベの食事について冗談を言っています。「コンクラーベは4日目に入ると、乾燥したパンと水が出てくるんだ」とのこと。

いずれにせよ過酷そうなことは間違いなさそうです。

現代のスケジュール、時計仕掛けの神事

現教皇が崩御または辞任した場合、厳密なタイムテーブルが発動します。

最初の9日間は「エクスコウィアス」と呼ばれる葬儀期間に充てられ、全世界からの弔問を受けます。

10日目に枢機卿団の公式会合が開かれ、コンクラーベの日程が確定する。ベネディクト16世の辞任例(2013年2月28日効力発生)では、3月12日からコンクラーベが開始され、13日間で新教皇が選出されました。

選挙期間中の枢機卿たちの1日は厳格に管理されます。

午前7時のミサから始まり、午前中に2回の投票、昼食後は個別の瞑想時間が設けられ、夕方の投票後はグループディスカッションが許可されるけど、特定の候補者名を挙げることは禁じられています。

この制約は、聖霊の導きを優先させるという伝統に由来しているのです。

白い煙のその先に

新教皇が選出される瞬間、首席枢機卿は「あなたは教皇位を受諾しますか?」とラテン語で問いかけます。

承諾の返答があれば、「どの名を名乗りますか?」と続きます。

この伝統的な質疑応答が終わると、直ちに白衣の準備が整えられる。最初の「バルコニー出現」では、首席枢機卿が「ハベムス・パパム(教皇あり)」と宣言し、新教皇が初めて公の場に姿を現すのです。

2013年のフランシスコ教皇選出時には、アルゼンチン出身初の教皇という歴史的瞬間が演出されました。

伝統的に新教皇は直ちにサン・ピエトロ大聖堂の「免罪の扉」を3回叩き、司牧を開始。この一連の儀式はテレビ中継されるけど、先に触れた投票過程自体は厳格な秘密保持の対象となっています。

コンクラーベのプロセス全体を通じて、人間的な判断や外部からの影響を最小限に抑え、聖霊の導きを優先させる仕組みが組み込まれています。

これは、新教皇の選出が単なる人事選考ではなく、神の意志を反映した霊的なプロセスであるという信念に基づいています。

聖霊と政治の狭間で

コンクラーベの本質は、単なる人事選考を超えた霊的プロセスにあります。

参加枢機卿は投票前に「聖霊降臨」の祈りを捧げ、個人の思惑を超えた導きを求めます。

しかし現実には、地理的バランス(欧州・南北アメリカ・アフリカ・アジア)やイデオロギー的傾向(保守・革新)が投票行動に影響を与えます。

近年では発展途上国出身候補の台頭が顕著で、2013年のフランシスコ教皇選出はその典型例と言えましょう。

次期教皇を巡っては、アフリカやアジアからの候補者への期待が高まっています。ただし、イタリア人枢機卿の優位性は依然として根強く、史上最多のイタリア人教皇輩出という伝統が現代にも影を落としています。

アメリカを筆頭に世界全体が保守化に傾倒する中、バチカンだけが異なるという訳にもいかないかもしれません。多様化と聞いただけで、暴れ出す人達がいるのですからね、非常に残念なことですが。

未来への扉は開かれるのか?それとも閉ざされるのだろうか?

デジタル時代においても、コンクラーベの本質は中世のまま変わりません。

ソーシャルメディアが世界を繋ぐ現代でも、システィーナ礼拝堂の扉が閉じられた瞬間、時空を超えた祈りの共同体が出現します。

2025年現在、次期コンクラーベでは投票年齢の引き下げや女性枢機卿の登用に関する議論が水面下で進んでいますけど、伝統と革新の狭間でバチカンの苦悩が続きます。

白い煙が上がるその時、世界の13億カトリック教徒は固唾を呑んでバルコニーを見つめます。

コンクラーベは単なる指導者選出を超え、人類の精神的指針を定める神聖な儀式であり続けています。この千年の伝統が、次の時代にどのような変化を遂げるのでしょうか?

ちなみに2025年は25年ごとの聖年、つまり、ローマを訪れた巡礼者たちに、教皇が聖年の大赦と呼ばれる特別免償を与える年なのですが、コンクラーベと重なった場合、どうなっちゃうんでしょうか?

素人ながらの調べなので足りない部分やおかしい部分もあるかと思います。お気づきの際は教えていただけますと幸いです。適宜、修正して参ります。

何分、世界ではあまり類を見ない実質無宗教者が多数の日本です。一応は仏教国ではありますが、所詮は初詣して七五三して寺で法要し、クリスマスを祝うお国柄ですから、浅薄さは否めません。

でも、今を生きていることには変わりが無く,未来をより明るくありたいと思う気持ちも同じです。僕も希望を日々持って楽しく生きています。

あなたは、どう思いますか?

ではまた


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