眼福耳福MAX

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角野隼斗ツアー2019@東京追加公演(三鷹芸術文化センター)に娘と行ってきた。すみだトリフォニーホールはすぐに完売になってしまい、急きょ用意された演奏会である。今回のツアーのなかではキャパ600人超えの一番大きなホールである。
チケット発売日は仕事だったので、たまたまうちにいた娘に取ってもらった。10時の発売にスタンバって、重い“チケットぴあ”のサイトをF5連打してゲットしてくれたのは1階B列の席であった。
B列って…前から2列目~!しかも演奏者側~!私にとってはステージに上がっているのと同じレベル。当日が近づくにつれて、自分が演奏するわけじゃないのに緊張感が高まるのであった。

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今回、事前にプログラムが告知されたので少し予習をしていった。それからツアー開始からここまでの各地のファンの方々のツイッターを追いかけて、それらを参考に。2時間ほどの演奏会だったけど、あっという間だった。“YouTuberのかてぃん”を見にきたというにわかファン(自分含め)が、面喰うレベルのガチの演奏会だった。
本人がガチなのは当然だが、聴衆もガチの人が大勢いた。やっぱり規模が一番大きい東京公演なので、ご家族含め関係者が相当数招待されていたようだ。もちろん私のようなフツーの人が(予想通り女性が9割)ほとんどだと思うけど。親子連れもちらほらと。
撮影は、おとさん、けーとさんがされていた。2階バルコニーからカメラがちょっと年季の入ったスタインウェイを覗いている。

全体の流れはこんな感じ↓

本人登場して、一礼していきなり
◆「風の谷のナウシカ」より ナウシカ・レクイエム
MC…演奏中以外は撮影OKとのこと
◆半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
◆ポロネーズ第7番 変イ長調 作品61「幻想ポロネーズ」
MC
◆幻想的小品集 嬰ハ短調 作品3-2「鐘」
◆ピアノ協奏曲 第1番 “蠍火”
休憩15分
MC
◆交響曲 第2番 ホ短調 作品27 第3楽章(ピアノソロ編曲版)
◆Unravel
MC
◆ピアノソナタ第2番 変ロ短調 作品36(1931年版)
MCとアンコール
◆After the monochrome(オリジナル曲)
◆子犬のワルツ

ナウシカは、島本須美さんのCDと同じオープニングだったけど、あれより長いバージョン。もう遠慮なく最大の音で攻めてくる。これはやっぱり生で聴かないとわからないよ。打鍵が強い。圧がすごい。音が降ってくる。
MCにもあったけど、音を全身で受け止めてほしいと。ピアノを弾く人は、毎回こんな大音響を全身に浴びているのかと思うと、すごいとしか言いようがない。なんか…邪気払いされるような、魂が浄化されるような。
また、これ以降すべての曲が終わる瞬間は、拍手のタイミングをつかむために聴衆全員が固唾をのんで彼の手元を凝視するという…すごい集中力と緊張感。

バッハ(小学校4年生ですでに弾かれたそうで…)とショパンの正統派クラシックを過ぎていよいよラフマニノフ。ずっしりと重い「鐘」。そしてすうっと照明が暗くなったかと思うと「蠍火」が始まった。
今回楽しみにしていたのが、この曲だったので生で聴けて本当にうれしい。ゲーム音楽だそうだけど、彼が弾かなかったら私は一生知ることが無い。この曲はすごかった。最後は立ち上がって弾くのかと思ったくらい熱がこもっていた。

休憩をはさんでまたラフマニノフ。ラフ2と言われている有名な、映画音楽のような優雅なオケの曲を、これまた角野さんがピアノ1台でアレンジして弾くという…。ね、すごいよね。
Unravelはアニメ「東京喰種トーキョーグール」(グロくて途中で見るのをやめた)(実写映画も窪田正孝が好きで見にいったがやっぱり気持ち悪かった)のテーマで、ヤンキーの格好で都庁ピアノを弾いている動画が上がっている曲。プログラムにはあれより半音上げて、と書かれていたけど素人には全然わからない…。でもアレンジを増強しているのはわかった。
クラシックと最近の曲、絶妙なさじ加減。

最後もラフマニノフ。第一楽章から第三楽章まで弾くと20分はかかる大作。だけど、ここまであっという間。
演奏しているのは後ろ姿しか見えなかったけど、力の込め方が半端なくて一曲入魂というかそんな感じ。それなのに本人は額に汗も無く涼しい顔をしているのが驚きであった。驚きといえば、全曲暗譜してるのがもうね。どうなってるのかね。
で、アンコールはオリジナル曲。これもラフマニノフの流れを汲んでいるような美しい曲であった。今後、作曲にも力を入れてくれることに期待。
最後の最後に子犬(小犬?)のワルツをさらりと弾いて終演。

演奏ごとにピアノと舞台袖を彼が行ったり来たりするのだが、もう5メートルと離れていないところを通るのですよ。娘よ、よくこの席を確保した!彼のMCは、ピアノを弾いているより緊張してる?みたいだったけど、こうやってご本人を目の前にすると…ああ育ちのいい人だなと思った。きっとご両親や、グランドピアノが置かれているおうちを選んで、血を濃くして生まれてきたのではないか、みたいなことを考えてしまった。

終演後はサイン会があったのだが、やっぱり人数的にえらいことになったので(あれだけ手を酷使して、さらにサイン会とな…)人混み苦手な私は早々に退散。CDは買ったんだけどなー。サイン欲しかったなー。いつかもらえることはあるかしら。今日のサイン会には、なんと島本須美さんまでいらしていて思わず声をかけそうになった。

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彼のすごいところは、頂に上ったのに一度ふもとに下りてきたことだと思う(オタクとかヤンキーとかのアレ)。もうそのまま頂上にいて、筋斗雲みたいなものに乗ってあちこちすいすい行けたはず。それなのに下りてきて、下を向いていた人の顔を上に向けさせてまた上ろうとしている。
クラシックの裾野を広げたい…と、彼は動画でそう話していた。うん、ちゃんと広がったと思う。

ああもうどんどん人気が出て、おいそれとチケットも取れなくなっちゃうんだろうな。来年ももういろいろ公演情報が出ていて、楽しみいっぱい(ひょっとして国際コンクールも狙ってる?)。
ということで、今回のまじりっけ無しの100%の角野隼斗の音。なんかもう驚きと感動ばっかりで、いろいろMAX。オリジナル曲の動画がアップされるとうれしいな。

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