Vol.2 おっさんトランペッターの給湯室⑴
ー迷走プログラマー・ニッシーとDabelの密月を振り返るー
愛知県のとある町。
午前5時過ぎに、その男は現れる。
くしゃくしゃ頭の人影の手には長四角のケース。
日の昇る前、薄暗い朝の寒気に身震いしながら、
男は、建物の階段を上がって、屋上へと向かう。
敷居は低く、志は高く
「幸子さんのウクレレ配信でやろうと思ったんですよね^ ^」
おっさんの割には、声の弾み具合が、高校生のようなこの男。
Dabel界隈ではニッシーと呼ばれている西岡克真というプログラマーだ。
みんなで始めれば怖くない。
音声アプリDabelの中で、ある時、初心者のウクレレ練習ラウンジがポツポツと上がり始めた。Shinさんというプロのウクレレ弾きのラウンジで、その素晴らしいウクレレの音色とShinさんの人柄に惹かれた人たちが、コロナ禍の自粛の中で、Shinさんからウクレレを習い始めた。幸子さんも、そのひとりであった。
初心者なので、当然うまくはない。でも、その練習する音の風景は、何故かその音を聴くものを勇気付ける。ニッシーの家には、娘のお古のトランペットが放置されていた。「俺もやってみようかな。」幸子さんのウクレレがニッシーの背中をポンッと押す。
早朝のトランペット配信。誰もいない屋上から、空に向かって吹く。
Dabelで配信しても、誰も聴かないかもしれない。聴かせる段階でもない。
それでも、聴かれることも覚悟して、吹いてみる。
Dabelとの出会い
ニッシーがDabelのアプリをダウンロードしたのは、自粛が始まった4月。
「ひるちゃんに誘われて、そんで入ったんすよ」
好奇心旺盛なニッシーは、いつでも新しいものを探してる。
「井口さんのことはイノベーターとして好きで、ずっと見ていて、Dabelのことも記事で見てたんですよね。そんなところに、昼ちゃんと自分達で触ってみようってことになって」
そして、自分ひとりでの初めての配信。
Dabelで初めて知り合った人たちと1時間もトーク。これは新しいし、自分自身の課題も色々見えてくる。zoom飲み会よりも気楽でBAR感がいい。
Dabelすげー。。。井口さんやっぱ天才だわ。絶妙な距離感。動画だと情報量多いし、テキストだとかるすぎる。その間の絶妙なレンジついてる。
ニッシーのアンテナは、すぐにこの音声アプリのプロダクトの優れものぶりをかぎわけた。その当時のTwitterのつぶやきに、ニッシーの声と、その興奮が伝わってくる。
Dabelの世界に触れるうちに、テンションは上がってきた。毎日のように雑談の海に飛び込み、その感想をつぶやいたり、まとめてみたり。どうやってこのオモチャで遊ぼうかと、真剣に取り組む大きな子供。
そして、ある日。
Dabel朝やってたら、まさか開発者(セカイカメラの)の井口さんとお話できるとは!
ファウンダーのタカさんにDabel上で遭遇!
これまで、日本人ユーザーが少なかったDabelに、多くのユーザーが生まれたことを、一番喜んでいたのはタカさんであることは間違いない。そして、始めてDabelの中にできた日本人のコミュニティ、ユーザーのひとりひとりに、あの時期、話しかけていたのも、ファウンダーであるタカさんだった。
ニッシーのDabel熱は、ますます高まっていく。
(第2部「西岡、だべる、辞めるってよ」につづく)
編集室より
11月7日に豊橋でオフ会として、幸子さんのハイボールフェスが開催されるというので、Dabelを豊橋のコワーキングスペースを経営する柴田さんに紹介した西岡さんのことを書いておきたいと思いましたが、あまりにも、書きたいことが多すぎて、まずは、最初の部分を公開することにしました。Dabelというアプリに感動し、それをどんなふうに使っていくか、いろんな配信を立ち上げながら、自分や他のユーザー、そして、オンオフの世界を、少年のような好奇心を持って、走り回ってた西岡さんの軌跡やその思いを第三者の目から、キチンと記録しておきたいというモチベーションを、最近、西岡さんが立ち上げているバーチャル給湯室に寄って駄弁る度に、高めてもらってます。明日のハイボールフェスの報告と一緒に、もっと、この東三河地方(名古屋とは一緒にならないらしい)のダベラーたちの存在を伝えていきたいですね。
今日のおまけは、西岡さんが、豊橋のおぐらさんの娘さん、りんちゃんに描いてあげた女の子の絵。Dabelを通して、リアルの人とのつながりにも変化がある様子も、伝えていければと思います。
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