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人間に向いてない 黒澤いづみ

※少しネタバレも含まれます。未読の方はご注意ください。








親の期待と子の重圧。

子の愛情と親の愛憎。

この物語は家族愛の物語。

あるレビュー記事にコロナウイルスと関連して紹介されていたこの作品。

こっちの世界ではあり得ない、ある病が世界に拡がり、それが当たり前になっている世界。

その病はコロナウイルスと重ねて読んでしまうところが、そして深く考えさせられるところがあった。

それは上に書いた

「この世界ではあり得ない」

病気が

「当たり前になっている世界」。

コロナウイルスもまさにその通りではないか。

小池百合子都知事が「withコロナ」というようにコロナウイルスは共存していくものとして捉えられつつある。

つまりコロナウイルスは当たり前になってきている。

これはそれこそ半年前には想像も出来なかったことでそれこそオリンピックは開催されるとみんな思っていたし、私に至ってはライブやフェスは普通に行けるものとして「当たり前」だったのだ。

もし半年前の自分がタイムマシンに乗って今の世界を覗いたらあまりの変容に

「あり得ない」

と言っただろう。

なのでそのレビューに関しては大変的を得ていたしこの作品を読むきっかけをつくっていただいたそのレビューにはすごく感謝している。

さて、ここからが本題。

しかし私はこの作品のその部分よりも家族の、特に親子の関係について深く考えさせられることとなった。

私は一児の父である。

それこそ愛情を注いでいるつもりだし大袈裟ではなく子どものためなら何でもできるという気持ちがある。

しかしその「親として見本」のようなその感情や姿勢が子を苦しめているかもしれない。

そう感じた時正直不安になった。

道を示してあげているようでその道は子にとっては険しい道だった。

自分の考えている道が一番正しいと勝手に思い込み、それを押し付けている。

正直いってそうかもしれないと思う点がある。

「子のためという美辞麗句が子にとっては罵詈雑言」

そんな危惧に襲われた。

この作品の中でそれに対する解決方法を主人公は実践し結末に向かっていくわけだが。。

将来何が起こるか分からない世の中。それこそコロナウイルスがこんなに猛威を振るうなんて半年前までは思いもしなかったのだからもしかしたらこの作品の中に出てくる病も現実として起こりうるかもしれない。

その病が我が子に起こらないように。

その病がもし起きた時に毅然と立ち向かえるように。

子育てや生き方を含め刺激をもらった作品でした。

一気読みしたのは久しぶり!!

大変面白かったです!!

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