Leica M6が遺していったもの
タイトルからお察しの通り、つまりそういうことだ。
フィルムカメラの最高峰というとこんなイメージがある。中判のHASSELBLAD、二眼レフのRollei、そして35mm判のLeica。
ボーナスで浮かれていたこともあり、かねてよりタイミングを窺っていたLeica欲が爆発した。それに抗うことなく、Leica M6をポチったのが半年前の12月のことだった。
超美品のシルバーボディ。ぴかぴか。二重像で確かにピントを合わせる感覚。心地よい静かなシャッター音。金属塊だということを実感する重量。
あぁ、これがLeicaか。
ただ、残念ながらレンズはCarl Zeiss Planar T* 2/50 ZM。フィルムカメラだからLeicaの写りを知るには、Leicaのレンズを買うしかない。今思えば、これで良かったのかもしれない。
「12月から何本のフィルムを撮り終えただろうか・・・」と思い返すと実に10本。ほとんど撮っていなかった。理由はわかりきっている。仕事が忙しいから。
しばらく愚痴。
今の仕事はなかなかに忙しい。今年は月に3〜5回ペースで休日出勤をしていて、来春まではこのペースが続く。金融関係のシステム屋さんなので、休日に仕事がある。平日にシステムトラブルなんて御法度なのだ。休日出勤の回数は忙しさのバロメータ。
働き方改革ということで「残業を減らせ」と指示が降ってくる。でも業務の量は減らない。働き方改革とは名ばかりなのだ。
日付が変わる頃に帰宅する。朝は6時頃には起きる。土曜日は死んだように寝る。日曜日は休日出勤。「働き方改革」で代休を取らなくてはいけないが、代休を取ると仕事が滞るので残業する。代休は死んだように寝る。
写真を撮るどころか、動く気力が湧かない。
そんな状態なので、ほとんど写真を撮っていない。12月から今までに撮ったフィルムはたった10本だ。その半数以上は購入してから2か月以内のものだった。まだ忙しくなかったとき。
4月頃に「よりコンパクトになれば、外に出る気が起きるかも?」とVoigtlander COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 PII VMに買い替えてみたものの、結果は変わらず。
職場の近くにあるカメラ屋さんで話は聞いていた。「M6は最近人気なんですよ」と。そこから考えがまとまるのは早かった。
私がこのままM6を持ち続けても、宝の持ち腐れになってしまう。私じゃない誰かに、私が見せられなかった景色を見せてもらって欲しい。
そう思って、M6をみんなの防湿庫に返却した。
ありがとう。