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もう本は捨てないと決めた
「断捨離」という言葉を耳にするようになってもう何年経つだろうか。ミニマリストが良いことで、モノを持つことはいけないように思えてくる。モノをたくさん持ってはいけない、という話ではない、ということはわかっているつもりだけれども。モノを捨てない、大切にするという価値観と、とにかく捨てるという価値観の間で右往左往する私。ちっとも片付かない部屋の住人は、自分の軸さえなかったのだ。
私の荷物の中で、特に多いのは本、だと思う。おもちゃは買ってもらえない家だったけれど、本なら買ってもらえたのだ。本を読むのももちろん好きだけれど、本屋さんをぶらぶらすること、本を選ぶことが何より楽しい。本を買うことはストレス解消でもある。
そして子どもが生まれ、もちろん絵本をせっせと買い込み、ついでに子育てに関わる本も買い、また本が増えた。
捨てなくちゃ・・・と泣く泣く処分した本や雑誌。例えば、学生時代に買ったTRANSIT。とっておけばよかったなぁと思う。眺めていてとても楽しかった。どこに行こう、と考えるだけでワクワクした。ふと思い出す、エッセイの一節。確か手元にあったはずなのに、見当たらない。処分してしまったのだろうか。もう読むことはないから、と思ったのに、今になってふと気になることがある。
必要になったときにまた買えばいい、という。そうだろうか。
そもそも、本は絶版になってしまうことがあるということを知った。子どもの頃好きだった本や、いつか買おうと思っていた本を調べてみたら、どこにも売られていなかったのだ。日本全国の古書店をくまなく探せばあるのかもしれないけれど、そこまでして手に入れたいわけではないのだ。積み重なる小さな後悔。
服も、時々後悔する。あのとき処分した服、これと組み合わせたら可愛かったかも!でも、服は劣化するのだ。あのときの服が今ここに現れても多分着ない。もしくは着られない。本の中身は劣化しない。文庫本はボロボロになるけど。絵本も破かれるけど。
すっきり片付いた部屋には憧れるし、片付けのしやすいモノの少ない暮らしもいいなと思うけれど、大きな本棚に本が詰まっていないと嫌なのだ。なぜか本を読むことができなかった頃でさえも、常に部屋には本棚があり、本が詰まっていた。
何年経っても、どこに住んでも相変わらずごちゃついた部屋の中で、軸の定まらない私が決めたこと。もう、本は捨てない。