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Tableau を使ってデータアートを作ってみる

はじめに

BIツールTableauを利用してデータで絵画作品を2回作成しましたが「どこからこのアイディアが出てくるでしょう?」と聞かれたとき「なんとなく」と歯切れの悪い回答をしていたため改めて制作過程を振り返ってみます
対象は2022年10月に開催された#JTUG総会 に出品して「これはVizではありません」と言われた問題作(笑撃作?)“Autumn Fruit Tart“。作成経緯、どのように着想していたのか、何を考えていたのかを公開します
※ここでは情報伝達としてのデータビジュアライゼーションのセオリーは全く無視した「データアート」である点をご留意ください。

コンセプト決めと素材集め

オープンデータ祭りの「インフォグラフィックスコース」テーマ:自由、規定はサイズだけ。この前提条件ですが今回は季節が秋、9月に観に行った伊藤若冲の「紅葉小禽図」の世界観をTableauで表現してみよう。ついでに日本的美意識でもある秋の紅葉をTableauのデータアートとして世界に提示してみたらどうなるか挑戦してみよう。まずは大枠の方向性を決めました。


三の丸 尚蔵館収蔵品より抜粋

データをどうするか、こちらは当初からの考えがあって、秋なので「秋のフルーツタルト」を作る原料(小麦、卵、リンゴ、栗等)の生産量データを使う。作品タイトルは「秋のフルーツタルト」でも描かれているのは秋の紅葉。少々シュールな作品ができるかもしれない。
いつもお世話になっているFAOSTATを使えば1960年以降の国・農産物の生産量オープンデータがあるので、これをダウンロードしてとんとん拍子に進みます(ちなみに過去60年のうちに存在しなくなってしまった国もあるので歴史の流れを感じます)

制作

紅葉の部分から手を付けようと参考にしている紅葉小禽図の解説文を読むと
「繰りかえしによって、不思議なリズムが生じるとともに、夢のなかの出来事であるかのような、玄妙な浮遊感をみるものに覚えさせるのだ」
-目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』-
ふむふむ。レイヤーで作っていって重ねていけばいいのだな。
ダウンロードデータから果物の種類ごとに適当な組み合わせをピックアップして横軸に年、縦軸にValue(生産量)をプロット

形状を紅葉のアイコンに変えて

色をつけて生産量の軸を反転させる

いくつか作って重ねていくと紅葉の葉の部分が、まずできました

次に幹か枝になる部分を作ろうとしましたが、写実的表現だとふんわりした幻影のようなイメージにならないので少々いただけない。と思いながらデータをいじっていると、90年代中盤以降中国の卵とリンゴ生産量が急上昇していて折れ線グラフにすると線の絡み合った感じを枝にできないかと

軸の範囲を指定して行列を入れ替えるといい感じの枝になりそうです

最後に遠景部分をどうするか。ヒントを求めて「東山魁夷 紅葉」で画像検索すると、霧のかかった山が連なる様子や森の景色。これをグラフで作ってみたら面白いかも。どうやって作るか。再びあれこれいじっていて見つけたのが小麦の生産量

エリアチャートにして国別に色分けすると霞んでいく山の景色ができました

仕上げ

パーツがそろったので組み立ててみましたが、背景をどうするかはまだ未定。真っ赤な夕焼け、すっきり晴れた秋の快晴、月の夜。どれも、しっくりこないため保留。
本作を作成していたのは2022年9月下旬。緊迫する世界情勢、コロナのパンデミック、急速なインフレ。世界が目まぐるしく変化する真っただ中にいるのに、いつしか慣れて日々暮らしている。歴史的観点から見たら、現代はパラダイムシフトの時代なのかも?

昼から夜に変わる黄昏時

オレンジから濃紺に変化するグラデーションで黄昏の空を表現できないか

パワーポイントで作ったグラデーションをそのまま使うと平坦な感じになるため、画像加工で若干ノイズを入れてみる。なんだかいい感じの黄昏時ができました

最後に落款に見立てたFAOSTATのURLのQRコード、「わたるん」の署名、”Food and Agriculture Organization of the United Nations”の文字を埋め込む

ようやく完成

まとめ

改めて、作成経緯を振り返ってみると、特別なことはしておらず仕事でダッシュボードを作る時と同じように、データを色々な方法で可視化してみる。データの中身を見てみる。といったことを繰り返しています
仕事との違いを強いて言うならば、どんなビジュアルイメージを作りたいかを設定して素材のデータで遊びながら、行列入れ替えたり、期間を反転させたり、細部に着目してみたり、柔軟に可視化してみることでしょうか

最後にですが、今回の作品はDataFam Roundup に取り上げていただき、「秋の紅葉をTableauのデータアートとして世界に提示」の目標も達成できました


最後までお読みいただきありがとうございます。


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