澎湖諸島へひとりで行ったおはなし①【高雄→澎湖編】
2019年の夏、数回目の台湾。そろそろ離島に行ってみたいと思うようになった。
まずは気軽に行けそうなところを考えて澎湖と小琉球に候補を絞る。脳内会議の結果、小琉球は高雄からも日帰りでいつでも行けるでしょう、となり今回は澎湖へ行くことにした。
行程は2泊3日。今回は飛行機もホテルも現地ツアーもレンタルバイクも自分で手配することに。基本的にはざっと調べて、あとはそのときの気分でのんびり行動するスタイルで。
高雄から澎湖へ
台湾へ行くとき、たいてい旅の始まりは高雄で終わりは台北にすることに決めている。なので日程の真ん中、高雄から台北への移動も兼ねて澎湖への旅を組み込んだ。
初日、朝のMRTで高雄空港へ。いつも国際線だから国内線ターミナルは初めて。月曜だからか、ターミナルはガランとしている。
8:30発の便に乗るのにだいたい1時間前には着いた。まずはチェックイン。日本の国内線とはだいぶ勝手が違う。事前の座席指定は出来ないのでチェックインの時に指定してもらう。あと、当然パスポートは必須。ないと乗れない。
そして預け荷物のカウンターはまた別の離れたところにある。長期滞在で荷物が多かったのと、乗る飛行機が小型だったのもあってか追加料金がかかった。(といっても数百円程度だが)
今回乗るのは立榮航空(UNI AIR)。台湾の大手航空会社エバー航空の子会社である。
チェックインを済ませて、セブンイレブンで軽食を買って手荷物検査へ。ここも空いていた。
国内線の待合室は大きなドーム状のスペースになっていて、ゲートが端にひとつ。時間が来るとゲートから出て飛行機まで歩いていくシステムになっている。コンビニで買ったおにぎり(飯團)を食べながら時間を待つ。
自分が乗る便のひとつ前に出発したのは澎湖諸島にある望安島へ行く便だ。ほんの数人がゲートをくぐり飛行機へ向かっていく。調べたら20人も乗れないような小さなプロペラ機だそうだ。
しばらくして自分の便も搭乗開始となった。今回の機材はATR72とかいう割と新し目のプロペラ機だった。ちょうどコックピットの後ろあたり、窓のないあたりが貨物室らしく、乗客は後ろから乗るというのがとても新鮮だった。
乗ってしまえばあとはいつも通りである。澎湖まで1時間もかからない短い空の旅。搭乗率は7割くらいだった。
水平飛行はほんの15分くらいだったが、驚いたことに飲み物のサービスがあった。3種類くらいから選べたのでりんごジュースにしてみた。周りを見渡すと紙パックだったので飲まずに持ち帰る人も多かったみたいだ。
そうこうしているうちに澎湖へ到着。あっという間の快適な空の旅だった。
澎湖空港からホテルへ
飛行機を降りたら歩いてターミナルへ。預けた手荷物を受け取る。日本と違ってタグの確認をされるので、預り証はなくさないように注意が必要だ。
まずはホテルへ向かうことにする。事前にホテルのLINEを教えてもらっていたので連絡する。澎湖縣の中心である馬公の市街地と空港はちょっと離れているので、今回は無料の送迎があるホテルを選んだ。てっきりホテルの送迎だからホテルの名前が入ったバンが来るのかと思ったら、契約?しているタクシーが来るらしい。
事前の連絡と違ってなぜか30分くらい待つ羽目になったけど、まぁそこは台湾のゆるさってことで。ちなみにLINEのやり取りは英文中文ごちゃまぜ。
写真はホテルのHPより
今回の宿は瑞欣大飯店(Penghu Royal Hotel)。空港から20分ちょっと。タクシーの運転手さんはとても親切だった。運転しながらよく電話してたけど。
ホテルに着いて、まずは荷物を預ける。フロントにいたのは金髪のお姉さん(以下金髪姐さん)。この金髪姐さんが風貌に反して(失礼)とても優しい。日本語は喋れないけど、懇切丁寧に色々と説明してくれた。
とりあえず荷物は部屋まで上げてくれること、次の日のツアーの詳細は後でしてくれるってことで話はまとまり、自分は観光に出かけることにした。
澎湖でバイクをレンタルする
澎湖諸島の離島へは次の日にツアーで行くことにして、この日は本島(実際には橋伝いにいくつか島があるが、便宜上こう呼ぶ)を回ることにした。時間はまだ11時前、まずはバイクを借りよう。
ホテルの向かいにある中興租車というレンタルショップへ。金髪姐さんいわくホテルでもバイクの手配をしてくれるみたいだったけど、ここも事前に予約をしておいた。
写真は中興租車のページより
お店のfacebookページからメッセンジャーで問い合わせと予約をした。返事も早いし応対も丁寧。facebookって普段使わないけど、台湾だと小さなお店でもページ持ってるからこういうときに使える。
お店で免許証と翻訳文を提示し、クレジットカードの番号を用紙に書く。台湾で交通違反があったとき、罰金を課せられるのはあくまでバイクの持ち主(レンタル会社)なので、あとから違反が通知されたときにはカードに請求される仕組み。用紙は3ヶ月で破棄される。
借りたのは50cc、KYMCOのMANYというバイク。2日間で700元。よく整備されたいいバイクだった。
地図をもらい、車体を確認。タンクの開け方とか質問関係はこの時済ませておく。出発したらまずは給油。満タン返しではないので、ガソリンはほとんどない。
さっそく盗んだ、じゃない借りたバイクで走り出す。高雄と台北でバイクに乗ったことあるし、離島だから余裕かなって思ってたけど、全然そんなことなかった。自由な右左折、飛び出し、信号無視がものすごい。都市のほうがバイクレーンも整備されてたし、流れに乗ってしまえば走りやすい。給油したあとはとにかく郊外に逃げたしたい一心でスロットルを回し続けた。
馬公市街地を出て、まずは一番遠い「西嶼塔燈」へ向かってみることにした。島伝いに行って奥の奥にある。澎湖縣には幹線道路となる縣道が数本あって、バイク屋のスタッフも200番台の縣道を辿ればだいたいの観光地に行けるよと教えてくれた。
縣道203號を快調に走る。途中の白沙島にはたくさんの風力発電所があった。澎湖は風がつよい。冬はもっとらしい。
にしてもよく整備されたバイクだった。うっかりすると速度計の針は70を示している。もちろん日本でいうところのオービスもあちこちにあるし、日本のそれより測定がシビアらしい。
オービスの前にたいてい表示があるのでありがたい。結局帰って来てだいぶ経ってもバイク屋から音沙汰がなかったから、速度違反で摘発されるということはなかったみたいだ。
広く単調な道が続く。直線で走りやすい。
ひとつ目の目的地は白沙島から最後の島である西嶼を結ぶ澎湖跨海大橋。手前の橋詰に駐車場があり、ちょっとした観光地のような休憩場所のようなスペースになっている。
ちょっとした土産物なんかも売っていた。名物のサボテンのアイスの出店もある。曇天で特にやることもなかったので、再びバイクを走らせることにした。
澎湖跨海大橋は長さが約2.5キロある。海の上なのでさらに風が強い。この橋は2代目らしく、平行して所々に初代の橋脚が残っていた。
西嶼に入るとアップダウンが激しくなった。長い急坂の途中に駐車場があったので立ち寄ってみることにした。
高台から海を望む。とにかく曇天なのが残念だった。しかしその曇天でもわかる海の美しさ。
そこからまた少し走って目的地の「西嶼燈塔」へ。この日は月曜日。見事「週一公休」にぶつかり見学できず。(台湾って日本より月曜休みが顕著な気がする)
仕方ないので少し戻り、右の細い道に突入。
どん詰まりの先が崖になっていて、その下には小さな港町があった。
最果ての集落「外垵」。ぎゅぎゅっとした小さな集落だ。
高台にはいつの時代のものかわからない建物の遺構が残っていた。どう見てももう何十年もたったような廃墟。詳細は不明だ。
最果てまで来たので少しずつ戻る方向へ。
次にやって来たのは「外垵餌炮」だ。日本統治時代に作られた偽の砲台である。
偽の砲台ではあるのだか、ひと世紀前のコンクリート構造物が野晒しでここまで残っているとは、当時の日本の技術もなかなかだなと思う。
よく見るとこれ、艦船に配置される砲台の形状をしている。近頃では実際に敵を威圧するためのものではなく、ワシントン海軍軍縮会議で日本が戦力の削減を求められ、艦船に取り付けられていた砲台を外したカモフラージュではないかとも言われているらしい。
澎湖の道は信号もなく、とても走りやすい。海岸沿いの道をのんびり走りながら最初の島に戻る。
下調べをあまりせず澎湖に来たわけだけど、ひとつおさえていたのがここ「摩西分海」。日本語だと「モーセの分海」。小豆島のエンジェルロードのような引き潮になると道が現れるいわゆるトンボロという地形。同様な地形がある伊豆の堂ヶ島と友好関係があるらしい。いい感じに引き潮の時間に来れたけれど、やはりお天気が悔やまれる。
駐車場も広く、それなりに観光客も来ている。いかにも観光地といった趣。いろいろまわって疲れてきたし、ホテルへ戻るとする。
途中空港の前を通って、そこからは朝タクシーで通った道をなぞる。航空会社の制服を来たお姉さんのスクーターとなぜか抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げる。お姉さん、攻めの走りで惚れる。
なんやかんや20分くらいでホテルに戻ってきた。市街地も朝より交通量少なめで助かった。フロントには金髪姐さんともう一人黒髪メガネ女子がいた。金髪姐さんに話しかけようとしたら、黒髪女子の方を指差す。この方、日本語がなかなか堪能であった。翌日のツアーや朝食、部屋に関する説明を丁寧にしてくれる。そうそう、ツアーは事前にLINEで申し込み済み。ツアー代もホテル代とまとめて支払う。そんなやりとりを金髪姐さんは隣でニコニコ見守っている。やっぱり雰囲気いいな、このホテル。朝言っていた通り、荷物は部屋に置いてある。しかもめっちゃきれいな部屋。
ふと見ると手がすごいことになっている。そりゃずっとバイクで走ってたからね。焼けても痛くならない人だからとりあえずよし。
にしても疲れた。涼しくて快適なお部屋から出たくない。けれども腹は減る。しかしながら何を食べるか考えるのも面倒だ。とりあえずスクーターにまたがり、サクッと買いに行くことにする。こういう時、バイクって便利だな。
ドリンクスタンドに行き、困ったときの八方雲集で餃子と酸辣湯を買い、コンビニで6本パックのビールを買い込み部屋に戻る。ビールはスクーターの足元に置いて、両足で挟んで走ってきた。
離島に来て海のもの食べないのもあれだけど、食べたいときになんとなく食べたいものを食べるのがちょうどいいんだな。
NHKつけたら香港がえらいことになってた。香港、いいところだよなぁ。また飲茶したい。カチャカチャ音ならしながら食器洗いたい。茶器にじょぼじょぼ雑にお湯入れてもらいたい。明るい香港がまた再び訪れますように。
さて、この日はそのまま寝ることにして、次の日は離島ツアー。いちばんのメインイベント。楽しみしかない。
翌日へ続く。
続きはこちら→澎湖諸島へひとりで行ったおはなし②
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