澎湖諸島へひとりで行ったおはなし②【離島ツアー編】
前回はこちら→澎湖諸島へひとりで行ったおはなし①
さて、澎湖2日目。とりあえず朝ごはん。地下の朝食会場へ行く。種類少なめのビュッフェ会場にはあまり人はおらず。
おかゆとおかずを少しずつ。うん、味はノーコメント。台湾っておいしいものたくさんあるけど、それでもやっぱり日本ってごはんのハズレあんまり引かないよなーと思ったりする。台湾はちょいちょいハズレ引く。一応メンマは美味しかったよ。ま、とりあえず気を取り直して。
離島ツアーへ参加する
今日は日帰りのツアーに参加する。現地ツアーとか申し込んだことない人間が、ひとりで、しかも海外ではじめて参加することになろうとは。ちなみに費用は1000元。うん、悪くない。
とりあえず集合時間すこし前にロビーへ。フロントには金髪姐さんと若いお兄さん。どうやらツアーのピックアップがホテルまで迎えに来るらしい。ぼーっとしてたらお兄さんに引っ張られてマイクロバスに乗せられた。
バスは数ヶ所のホテルを回って船のターミナルへ着く。中はたくさんの人でごった返していた。たくさんのツアー会社のカウンターがある中から、ホテルでもらった予約表に書いてある会社を探す。乗船券のような紙をもらい、とりあえずここで待てばいいらしい。けども案内もよくわからず不安だ。係のおっちゃんつかまえて聞いたら、とりあえずここで待てと。
しばらくすると人が動き始める。するとおっちゃん、この流れについて行けと教えてくれる。優しい。たどり着いた船は沖縄の離島航路くらいのそこそこ大きい旅客船だ。座席は自由席。酔う人もいると聞いていたので、念のため窓側をおさえる。
少しして船が動き始める。思ったより穏やかに進むなあと思っていたのもつかの間、湾を出たあたりからえらい揺れ始めた。
2つ島を巡るので通算3回船に乗るのだが、まず一番遠い島から行くので最初の船が長時間になる。それが約1時間半。
湾を出て少し行ったところにある島。たしか虎井島。地形が変わっていてそれについてのガイドもあったけど、当然なに言ってるんだかさっぱりわからず。ガイドする時停船するもんだから、船が波をもろに受けてめちゃくちゃ揺れる。
ここからは最初の目的地である七美島へ一直線で向かっていく。さっきの停船時の揺れで、少しずつやられ始める人が出てくる。普段一切乗り物酔いをしない自分でさえだんだん辛くなってきた。案の定遠くの方で誰かが○○をしている苦しそうな声が聞こえてくる。しかも何人も。そして隣の席のお姉さんもおもむろに立ち上がりトボトボとどこかへ。結局その後、座席に帰ってくることはなかった。かわいそうに。
七美島をめぐる
そういえばこの日は台風から数日後だった。そりゃ揺れるよな。えらい荒波の中、とりあえず臨界点に到達することなく七美島へ到着。下船するとバスに乗せられる。バスに乗る人は少数で、他の台湾人の多くは島でバイクを借りてまわるようだ。
七美島は4000弱の人口の島。こんな島の港にもコンビニがある。セブンイレブンとファミマ。しかも並びで。台湾のコンビニはどんな辺鄙なところにもあるから、あんまり驚かなくなったけど。
んで、バスに乗っていたのは20人ほど。結局このグループで、この島と次の島を巡ることになる。団体ツアーなのにガイドさんいないのかなと思っていたけど、実際はいた。けど、次の島に行くまでその存在に気づかず。
最初に連れられてきたのは「七美人塚」。ここが島の名前の由来。明の時代、襲来した海賊(一説には倭冦とも)から逃げられなかった7人の女性が身を投げた井戸を、埋めて墓にしたところだとか。雨がそこそこ降っていたのと、集合時間がよくわからなかったのとで、結局ささっと見ておしまい。
次は「小台灣」。台湾の形に似ている。それだけ。確かに似ているけども。そういえば雨が止んできたな(唐突)。
潔いほどのなにもなさが物凄く爽快だった。風が強いからか木はあまりなく、青々とした草が繁っている。たまに牛やらヤギやらがいた。
ちっさい台湾はさておき、バスに乗せられまた次の場所へ。七美といえばここ。日本語だと「ダブルハート」とか言ったりする。
これを一度は見たいと思って来たけど、曇天が残念すぎる。時間的に潮の加減はいい感じだったから、さらにそう思う。ちなみにこれは石で作られた漁の仕掛け。魚は壁伝いに進む生き物だそうで、この仕掛けの中に入ると出れなくなるらしい。昔の人の知恵なんだな。
港にバスが戻ってきた。滞在は2時間もなかったかな。また船に乗る。隣にも船がいて、自分の船とほとんどおんなじような大きさ。よーく見たら日本の船名を白で塗り潰してあった。「ざまみ~」って書いてあったから、昔は沖縄の離島航路に使われていたのかな。
さっきより若干少ない人数で出発。揺れは少しおさまったみたい。快調に海原を走り1時間弱。次は望安島だ。
望安島をめぐる
船から降りて、またバスに乗る。七美島では終盤に乗ったから座りたいところは埋まってたけど、ここでは最初だったから座りたいところに座れた。またさっきの20人ほどを乗せて走り出した。
と思ったら50メートルくらい進んで止まった。てか、まだここは港の中。とりあえず降りる。食堂の前、ここで昼を食べろってらしい。さっそくメニュー片手のおばちゃんに捕まる。日本人だよ(しかもひとり)って伝えたら、それがどうしたと言わんばかりに席に連れていかれる。もらった注文表とにらめっこ。まわりのテーブルが食べてるスープが気になるけど、すり鉢みたいで巨大すぎる。でもおなかそこまで空いてないし、炒飯で妥協。安いし早いし外れないし。実際ふつうにおいしい炒飯だった。50元。よき。
昼ごはんはツアーに含まれてないらしく、払って店を出る。バスいない。ちょいとコンビニで飲み物を買う。望安は港にファミマが一軒だけある。ファミマは普通に台湾のファミマだった。店内だっていつもの匂い。
お茶買って縁石に腰掛けてぼーっとしてたら、さっきの食堂のおばちゃんが声かけてきた。腕を捕まれ連れてかれる。おばちゃんが指差した先、よく見たらファミマの影にバスがいた。あれあんたのバスよね、そんなことを言っているのかも。おばちゃん優しすぎるで。教えてくれてありがとう。
バスに戻る。みんなのんびり昼を食べてるのか、誰もいない。ちょっとすると少しずつ戻ってきた。ごはん食べて眠いし、発車までまたぼーっとして待つことにする。
すると、ヘイ、ミスター!って声が聞こえる。横を見ると森公美子さんみたいに恰幅のいいおばちゃんがこっち見ながらニコニコしてる。「ひとりなの?どっから来た?」典型的なおせっかい台湾人だ(私は嫌いじゃない)。ひとりで日本から来たと言うと、「ニホン?トーキョー?オーサカ?ワタシハ台中からキタ!ワタシノナマエハ○○!キョウカラトモダチ!」と捲し立てる。この感じ、いいな。台中も何回か行ったと伝えるとすごい喜んでくれた。
ちなみに前の島のバスでは自分の後ろに座ってた赤ちゃん連れ夫婦がターゲット?だったみたい。旦那さんが韓国人らしく、モリクミおばちゃんが赤ちゃんのことを「この子はペ・ヨンジュンよ」とか言ってた。おばちゃん、いいぞ、おもしろいぞ。おばちゃんがちょっかいだしても赤ちゃん全然動じないし泣かないしで、おとなしかったな。将来は肝が据わった立派な人間になりそうだ。
昼食タイムも終わり、また観光が始まる。この頃になってやっと目的地に着くときに出発時間を言ってることに気づいた。とにかくそれを聞き取るのに必死。
望安島の最初はやったら眺めのいいとこに連れてこられた。本島と七美島の間にあるから、両方見えますよってことらしいけど、当然なにも見えない。
澎湖に限ったことじゃないけど、台湾のカタツムリはデカい。たぶんアフリカマイマイってやつ。台湾って結構いるけど、触っちゃいけないのよ。寄生虫持ってて死んじゃうから。
眺めはすごいいいんだけど、やたらたくさんいるアフリカマイマイとやたら生えてたサボテンのイメージしか残らなかった。サボテンは澎湖の名産だけれども。こりゃいかんいかん。
またバスに乗せられて、次は古い集落に連れていかれる。そういえばモリクミおばちゃんがバスの中でなんか熱唱してたな。
ここは集団で回るらしい。ひとりのおばちゃんがピンマイクでしゃべりはじめた。この人がガイドなのか。そっか、バスで聞こえた出発時間のアナウンス、この人の声だ。パッと見た感じ普通の服だから客だと思ってたぞ。いろいろ解説してるんだけど、自分とさっきの旦那さんは全くわかってない(奥さん翻訳してないし)から、本隊から離れない程度にぼーっとあちこち見て回る。
この集落にはやたら手押しポンプがある。どれも津田型って書いてある。どうやら戦前に導入されたものらしい。歴史の経緯はともかく、台湾ってこうやって日本の時代の物がさらっと残ってるの嬉しいよね。
石積の雰囲気は昔竹富島行ったときを思い出したけど、装飾とかは独特。廃屋みたいのも多かったけど、綺麗に残してあるのもあって素敵だった。
ぬこ、じゃない、ねこ。例の旦那さんと赤ちゃんと自分は解説を適当にほっぽってねこさんと戯れる。台湾ってそこいらに犬が歩いてるから、猫の存在忘れがち。実際あんまり見かけない気がするし。写真撮ろうとするとこっち向いてくれなくなるやつ。かわいくない(かわいい)。
みんな木の写真を撮っている。最初なんだろうとか思ったけど、みんな「木瓜」がどうとか言ってる。パパイヤのことだ。パパイヤってこんな風に身がつくのね。
望安島はこれで終わり。また船にバスで戻る。モリクミおばちゃんとまたお話してたら、他の客に「この人、日本からひとりで来たのよ!(意訳)」みたいにまあでっかい声で紹介しはじめる。おばちゃんの連れは苦笑い。いつもこんな調子なのかな。面白かったし優しい人だったからよかったけど。いろいろ盛りだくさんのツアーだった。楽しかった。
また本島に戻ってくる
船で本島に戻り、バスでホテルに連れ戻される。フロントには金髪姐さんと黒髪メガネ女子さんがいた。ツアーどうだった?って、そりゃいい旅でしたよ。
お部屋戻ってのんびりしてみたけど、まだ昨日のバイク返却してないのと、返却までまだ時間があることを思い出す。ちょろっとお出掛けしてみるかな。
昨日は馬公の中心街には近寄らなかったので、そちらへバイクを走らす。中正路まで来てバイクを止めて古い路地(台湾では古い街並みを老街という)の奥へ歩いていく。お土産物を売ってる店が多いけども、これはこれで趣があっていい。
澎湖来てここに来ないわけには行かなかった。ここは「天后宮」。海の神様である「媽祖」を祀っている廟。台湾の中でも最も古い廟で、少なくても400年以上の歴史があるとか。過去色々な呼び方をされたらしいけど、そのひとつ「媽宮マーゴン」が町の名前「馬公マーゴン」の元になったらしい。そういえば、横浜の中華街にも「媽祖」を祀った廟があったっけ。
ゆるっと街中を散歩して、夜ごはんを買って帰る。よりによってハンバーガーだ。まだホテルの冷蔵庫にビールたくさんあるし、とりあえずビールが進むやつを買う。ついでにまたドリンクスタンド寄ってお茶を買っていく。台湾での夕方&夜のルーティン。この時間がいい。
ホテルに戻ったら、向かいのお店にバイクを返却する。台湾は満タン返しじゃないから楽チン。さくさく走るいい子だった。
澎湖。いいところだった。お天気が残念だったから、またいつかリベンジするのもありかもしれない。
明日は澎湖に別れを告げて、台北に会いに行く。
続きはこちら→澎湖諸島へひとりで行ったおはなし③
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