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fOULの留守。〜17年経ったら帰ってこよう。17年経ったら帰ってくるから〜


17年間のfOULの休憩…
2021年に映画が公開された時点で予感はしていたが、ようやく復活したのが去年。

もういい加減、Twitterを始めとしたエコーチェンバーが気色悪いSNSにうんざりしていたので、不覚にも復活の情報を逃していた…
気付いた時にはソールドアウト…

そしてfOUL活動時は恒例だった年末のeastern youthの『極東最前線』への出演も無かったので、しばらくは観る機会も無いかと油断していたら、ふた月に1度のペースで自主企画『砂上の楼閣』も復活していたではないか…
更に更に、年明けの『極東最前線』にゲスト出演するのもソールドアウト後に知る始末…

マイフェイバリットバンド3つの内、1位にいる時間が1番長いのがfOULなのだ。
休憩前の砂上には出来る限り観に行っていた。
何があってもfOULの復活には駆けつけるつもりでいたのに、この体たらくである。

俺は免疫的な持病があるのでコロナを人一倍恐れていた上に、いわゆる陰謀論者的な反ワクでは無いものの、あまりに拙速な治験による新しいタイプのワクチンに不安があったので未だに打っていないこともあり、この3年間ライヴには一切行っていなかった。

世間のコロナ終息ムードには思い切り懐疑的だが、流石にfOULが17年もの休憩を終えて活動しているのだ、行かざるを得ない。

そんな折にZAZEN BOYSをゲストに迎えた『砂上の楼閣』の発表。
ようやくチケットを抑えることに成功した。

何年もライヴに行ってない間にチケットもだいぶ値上がりしてるし、諸々の手数料だけでチケット2枚で1980円も余分に取られることには唖然とした。

クアトロに入るのも10数年ぶりではないだろうか。
相変わらず柱が邪魔だった。

ZAZEN BOYSもライヴを観るのは17年ぶりくらいだろうか?
アルバムも10年くらい出していないとか。
『ZAZEN BOYS III』までは聴いていたので俺でも知ってる曲が殆どだった。
新しいベーシストのMIYAさんの音が太い太い。
ここのリズム隊は本当にドスドス来る。
柔道二段とカシオマンは相変わらずで良かった。
向井のfOULに対する敬愛っぷりは知っているが、『裁判所の架空の訓示』にやられたことは初めて知った。

そして個人的には18年ぶりのfOULである。
休憩に入った2005年のSHELTERでの砂上を観た時は、活動再開までこんな年月が掛かるとは思ってもみなかった。
その17年間に色んな人も死んでしまったし、俺自身の状況は…相変わらず底辺のままか。

ミリオンセラーとか、アリーナクラスのバンドならともかく、200人クラスの箱で活動していたバンドがこんなに長期間活動休止して、そのままのオリジナルメンバーで活動再開するなんてどういうことなのか?(笑)
全くもっておかしなバンドである。

18年ぶりのライヴなのに、感涙することもなく、不思議なくらいあの頃のまんま入っていけた。
待ちに待ちすぎたライヴなのに、全くブランクを感じなかったのだ。
メンバー3人の見た目は流石に18年という年月による変化が見られたが、演奏、佇まいも変わっていなかった。
いや、2つだけ変化があったかな?
ひとつは健さんのギターが上手くなったように感じた(笑)。
もうひとつは、大地さんのあのやたら高かったシンバルが低くなってたこと。
学さんは相変わらずのキレだった。

それと、フロア側のリアクションは昔より良くなった。
それは待ち焦がれた人たちの歓喜からなのか、半ば伝説化していたバンドの復活から観始めた新規のオーディエンスによるものなのか。
素晴らしかった。

セットリストも良かった。 

1. わらをもつかむ思い
2. あの入江に棲むとき
3. ヨナが呼んでいる
4. フッサリアーナ
5. ドストエフスキー・グルーヴ
6. 悲しみを身にまとった男達の行進
7. Smart Boy Meets Fat Girl
8. 柊の葉
9. dark on you
10. IT'S A LONG WAY BACK
11. 裁判所の架空の訓辞
12. wax & wane
encore.向こう三年の通暁者


とにかくとにかく最高だった。
楽しくて仕方がなかった。
活動休止前からそうだが、fOULのライヴ終了後はみんな笑顔になっている。
歌詞世界は苦渋に満ちた労働者のことだったりするのにだ。

かつて友人が
「世界中の人がfOULのライヴを観れば、世界は平和になる」
と言ったが、本当に納得してしまう。

健さんはfOULのことを "牧歌コア" と自称したが、そんなバンドは世界にひとつしかないのである。

俺は「fOULに入りたい」とか「fOULのメンバーの誰かになりたい」とは思わない。
が、「fOULになりたい」とは思う。
全くもって意味不明だが、何故かそう言いたい。
俺はfOULになりたいんだ!

ライヴ終演後、もう5時間くらい経とうとしているが、余韻に浸り続けている。

休憩前と同じようなペースで活動していくみたいなので、それも嬉しい。

bloodthirsty butchersが吉村秀樹の死によって止まってしまったが、ここにfOULの長すぎる休憩が開けたことに、とても心強さを感じる。
eastern youthはバリバリ健在だし。

コロナ禍以降初の、今回のライヴ参加で感染してなければ、また通いたいと思う。

2023.04.06. 渋谷CLUB QUATTRO