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良いスキャナーがあれば人生はバラ色になるのか?

「あなたを事務作業が苦手な方と見込んで相談があります。ここにScanSnap iX1600という高機能スキャナーがあります。確定申告シーズンも近いことですし、触ってみて使用感をレビューしてもらえませんか」

 そんな依頼をいただいた。いわゆる広告案件だ。


■「確定申告ができていません」


 たしかに私は確定申告が苦手である。

 いや、苦手というのは正確ではない。はっきりと嫌いだ。だいきらいだ。

 なんか歯ぐきの画像とか出てくるバナー広告より嫌いだ。

 国にとられる金銭の合計額を自分で計算させられるのだから、好きになれるはずないのだが、私が確定申告を嫌いな理由はもっと根源的である。

 およそ確定申告ほど後ろ向きな行為はない。手間と時間を費やすわりに、そこで得られるものといえば「自分がこの1年で何をしてきたか」という履歴だけだ。過去ばかり振り返ってどうする。人間はもっと前を見て歩くべきなのではないか。なにが悲しくて無限の可能性が広がる未来に納税の予定だけは打ち立てないといけないのか。ノスタルジーからロマンを抜いた搾りかす、それが確定申告。

 それほどの確定申告嫌いなので、最近までの納税態度は投げやりそのものだった。前科者にはなりたくないから収入についてはしっかり記録していたが、経費計算などはいい加減である。

 仕事にかかわる支出は、なるべく細かく経費計上したほうが得だとされる。そのぶんのお金が収入から差し引かれ、結果的に節税になるからだ。頭ではわかっているが、どうしても記録の面倒くささが勝ってしまう。

 数年前の帳簿を見返したら、年間の交通費の合計が120円だった。片道なわけがないだろ。

 そんな体たらくなので、昨年はついにひどいミスが発覚した。夏前に税務署から電話がかかってきて「確定申告ができていません」という報告を受けた。ちゃんと申告書は作っていたのに、電子申告の『送信ボタン』を押し忘れて、何もしていないことになっていたのである。

 追徴課税の額を聞いたとき、なぜか唾液が大量に出てきたのを覚えている。絶望が果実だったらきっと柑橘類だろうなと思った。

 以後、税理士に依頼をして税務周りはしっかりやってもらうことになった。とはいえ基本的な記録作業は自分でやらねばならず、私にとって確定申告は依然として歯ぐきのバナー広告である。


■使ってみてわかった「問題」


 話がそれた。

「ScanSnap iX1600」の広告依頼をいただいたのだ。上述のように事務作業が苦手な私としては願ってもない話だったため快諾したが、内心では懸念していることがあった。


 うれしすぎてしまうのではないか、という懸念だ。

 広告のためとはいえ、ものをもらえるというのはうれしい。

 しかも「ScanSnap iX1600」はリコー最上位のフラッグシップモデルで、Wi-Fiやらタッチパネルやら、ありとあらゆる機能が搭載されている。値段も当然安くはない。そんなものが突然もらえてしまったらどう思うだろうか。

 明らかにうれしすぎるのである。

 うれしいのは私にとって結構だが、記事にとってはリスクだ。ものがもらえたうれしさで目が曇り、あることないこと書いて持ち上げてしまいかねない。広告とはいえ製品レビューは公平に行いたい。


 数日後、「ScanSnap iX1600」が我が家に届いた。

 案の定、うれしすぎる。まだ一度も使っていないのに舞い上がって、置くための棚まで自費で買ってしまったほどだ。

 セットアップは想像以上に簡単でスムーズだった(こういう評価がうれしさゆえに舞い上がっているだけなのか、もはやわからない)。Wi-Fiに繋げば、読み取るだけでPCにデータを送ることもできる。

 さっそく手近にあったレシートの束を突っ込んで「Scan」ボタンを押してみる。


 読み取った! うれしい!!

 でも待てよ! このうれしさってタダでもらえたからか!? すみません、どっちだと思いますか!?

 想像以上に読み取りスピードが速い。レシート・名刺・請求書など違う形式の紙が混ざっていても自動判定して分類してくれる。

 文書ごとに独自の設定を作れるので、スキャン後のフォルダ仕分けも自動化できる。請求書などの文書データは指定のフォルダに勝手に入っている、といった具合だ。レシート類は帳簿記入代行サービスに一括送信し、テキスト化してもらっている。それをもとに確定申告ソフトに記入すれば、自分の作業は完了だ。

 とても便利でうれしい。問題は、このうれしさが本当に純粋なものなのか判断できないということである。ただでもらえたのがうれしすぎるばかりに。


■スキャナーで人生はバラ色にならない


 それで結局、ScanSnap iX1600は役立つものなのか。

 結果を端的に書こう。「ScanSnap iX1600」を導入してから一ヶ月以上経つが、レシート類を溜め込むことはなくなった。その意味でこの製品は私にとって「本当に良いもの」といえる。

 うまくいった理由だが、この端末が比較的大きめなモデルであることも功を奏したのだと思う。

 じつは私は「ScanSnap iX100」という同シリーズの小型スキャナーを既に持っていて、今まではそれを使っていた。充電式でポータブルな「ScanSnap iX100」は取り回しがよく便利だが、使うときに「取り出す」動作が必要だった。

 一方「ScanSnap iX1600」はどっしり構える据え置き型で、電源にもつながりっぱなし。使おうと思ったらカバーを開けるだけで起動する。これが私の衝動的な特性にピッタリはまった。些細なきっかけで気が逸れるタイプの人間には、些細なきっかけで使い始められる道具が必要らしい。

 いまやスキャンするものが家からなくなって困っているくらいである。つぎつぎ吸い込むように読み取っていく勢いが気持ちよく、無理やり手持ちのノートをちぎってスキャンしたりしている。食欲旺盛な若者に大量のめしを奢って「うまいか?」と言うのが唯一の楽しみになっている壮年の気分だ。


 では、「ScanSnap iX1600」が来てから私の生活はバラ色になったのか?

 そんなわけはない。


 スキャナーのおかげで、私の書類整理はかなり楽になった。だが私の頭の中は相変わらずガチャガチャに混乱していて灰色で、待ち受ける確定申告も相変わらず憂鬱である。請求書の「外税」とか「内税」が何を基準に決まっているのかわからないし、源泉徴収? というやつのせいで10000円の請求書が9979円とかいう気持ち悪い数字になるのも嫌だ。人見知りなので税理士とも半年くらい会話していない。

 実感したのは、工夫しながらやっていくしかない、という事実である。

「ScanSnap iX1600」は確かに高機能な製品だが、本質的に重要なのは工夫だと思う。工夫とは外界と自分とをうまく、無理なく接続することだ。私の場合は、仕事場から手の届く範囲に新設した棚の効果が大きかった。そのお陰で「思い立ったらスキャン」ができるようになったのだから。

 だから、今年の確定申告も工夫しながらがんばるぞ。

 やだけど。



■確定申告ストレスフリー・サポートデイが開催決定

2025年2月5日(水)に東京、2月13日(木)に大阪にて「確定申告ストレスフリー・サポートデイ~誰でも無料で税理士相談&ScanSnap貸出で帳簿作成を効率化~」を開催するとのことです。

もっとも恐ろしくそして有効な存在「他人の目」を存分に活かして作業に集中できるみたいです。

詳しくはリンク先をごらんください。


■ScanSnapタイアップキャンペーン開催中!(1/9 終了しました)


現在、ScanSnapと品田遊のタイアップ記念キャンペーンを開催中です。

抽選で合計3名様に
・ScanSnap iX1600
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応募条件は、ScanSnapのX公式アカウント「@ScanSnapJP」のフォロー&キャンペーンPostのリポストです。ふるってご参加ください。


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品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)
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