存在しない回botが変わってしまった回

「存在しない回bot」というツイッターbotが存在します。

テレビ番組の「存在しない回」を淡々と書いていくというネタbotの一種で、地味に人気を博していました。

元々は、テレビ番組などで実際にあった面白い出来事を淡々と紹介する「いろんな回bot」が先行して存在し、「存在しない回bot」はそれのパロディとして登場した形になります。


ツイートネタはDMで募集していて、ラジオのネタ投稿のような楽しみ方をされているアカウントでした。

しかしここ最近、この存在しない回botに変化が起こりました。

アイコンの変化

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まず、アイコンの変化です。現在の存在しない回botのアイコンはこんな感じですが……

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もともとはこのようなきなこ餅2コのアイコンでした。

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これは元ネタである「いろんな回bot」のアイコンがサーターアンダギー2コであったことを意識していると思われます。これサーターアンダギーですよね……? 未だに確証が持てないんですけど。

きなこ餅、というわりとシュールな感じのアイコンが、文字画像というわかりやすい方向性に変わったわけです。

反応をツイッターで検索してみると、アイコンが変わったのは2020年の2月19日前後だったようです。

ツイート内容の変化

また、ツイート内容にも変化が起こったように見受けられました。

もともと存在しない回botのネタはナンセンスなものが多く、その突拍子のなさがウケていた印象があります。

そのネタの方向性が、ここ数ヶ月で様変わりしたように思えます。

2月末~3月に入ったあたりからツイート数が増え、また内容も時事を取り入れたネタが増加しました。

ナンセンスというよりは不謹慎よりの時事ネタが増えたほか、

画像を用いたネタ、同じ内容のネタの複数投稿も目立ち始めました。

引用はしませんが、別人が投稿した動画をそのままアップする転載ネタも散見されています。


また、ツイート方法も変化しています。

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2月19日まではtwittbot.netからツイートされていたのですが、

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この日を境に、iPhoneからの手動投稿に変化しています。

19日はツイッターアイコンがきなこ餅から文字画像に変化した日です。運営体制に大きな変化があったのではと思います。

運営者が変わったのでしょうか?


そして、付近で少し気になる内容の投稿も。

2月24日に「存在しない回botは売却をしたりアフィリエイトをすることは一切ありません。」というツイートがなされたのです。貼られているのはツイッターDMのスクショ画像。

内容は、「Yahoo! 知恵袋名言集」というアカウントから、アカウントの買取を持ちかけられたというものでした。

もしこのツイート内容が事実であれば、「存在しない回bot」は売却されていないはずですが、この時期を境にアイコンやツイートの方向性、投稿頻度、投稿方法などが大きく変わっているのが気になりますね。

もともと「存在しない回」という虚構をつぶやくアカウントなので、この声明自体が虚構(=存在しない回botは売却された)と解釈することもできそう。

ちなみに、これまでDMでネタを投稿していた人が「アイコンなどが変わってから、bot側から返事が来るようになり、ツイート内容も微妙に添削されるようになった」という旨のツイートをしています。


リツイートするようになった

また、存在しない回botは最近になってから、他アカウントのツイートをRTするようになりました。

たとえばこの「動物・癒しbot」のツイート。

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動物・癒しbotは、全てのツイートがペット動画の転載のようです。

なぜこのアカウントを急にRTしたのでしょうか。


転載アカウントによる相互RTネットワークの存在

ところで、存在しない回botにアカウント買収を持ちかけた(とされている)Yahoo!知恵袋迷言集とはどんなアカウントかというと、こんな感じです。

ヤフー知恵袋の珍回答を掲載していくbotですね。

実はこちらのアカウントも、頻繁に他アカウントのRTを行っています。

そのひとつがこちらの、平成を忘れないbot

これは平成に起こった面白いできごとを振り返るという趣旨のネタbotですが、全ての内容が人気ツイートの転載であるため、他の転載アカウントと同様にときどき問題視されています。

そして平成を忘れないbotもまた他アカウントのRTを行っています。最新がこちらの「Coffin Dance bot」。リズミカルに棺を担ぐバズ動画の改変ネタをつぶやくbotのようです。

実はこのアカウント、平成を忘れないbotと同じところが運営しているようで、自ら「新しいアカウント作りました」と宣言しています。

他にも「令和速報」や「ツイッター迷言集」などの転載アカウントも「Coffin Dance bot」の宣伝を行っていました。同一人物または団体が運営しているようです。

転載アカウントを複数作り、相互にRTをしあってフォロワーを増やしていく施策なのかなと思います。


そしてその中に、あの存在しない回bot買収を持ちかけた(のかもしれない)Yahoo!知恵袋迷言集の姿も。ここも運営元が同じなんですね。

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確かに、アイコンの雰囲気や作り方がよく似ている気がします。

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そして、新しくなった存在しない回botのアイコンも、随分方向性が似ています。

やはり存在しない回botの「買収」は実際に行われたのでしょうか。それとも偶然なのでしょうか。

(追記)「平成を忘れないbotのようなアイコンを募集しているのを見た」というコメントを頂きました。このアイコン変更自体が「存在しない回bot」による転載botのパロディである可能性もあります


なんのために転載アカウントを多数作るのか

存在しない回botの方向性が2月から変わったのは確かですが、運営元が変わったという確証までは得られません。もしかしたら単なる気まぐれかもしれません。

それはそれとして、ネタ転載によってフォロワーを増やしているアカウントがツイッターにはたくさん存在すること、そして、ひとつの運営元が多数のアカウントを動かして相互RTをしていることは確かです。

なぜそんなことをするのでしょうか。


転載アカウントを見てみると、ネタツイートにぶら下がる形で外部リンクが貼られていることがあるのに気づきます。

動画サイトへの誘導となっており、動画の内容はいずれも転載物。そして、リンクはBuzzVideoというサイトに繋がっていました。

BuzzVideoは動画アプリで、手軽にたくさんの動画を見られるのがウリのようです。

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レビューを見てみると、投稿されている動画の大部分が無断転載であることを咎める声が多数。実際にダウンロードして見てみましたが、たしかに転載動画が目立ちました。

調べてみると、このBuzzVideoを運営しているのはByteDance incという会社。

中国発のベンチャー企業で、ここ数年で急成長を遂げています。

あの人気アプリ「TikTok」も実はByteDance incが開発したものでした。いまはだいぶ改善されているものの、TikTokも初期は権利関係でいろいろと揉めていたことを思えば、それほど不自然ではないかもしれません。

(追記)BuzzVideoには動画投稿の視聴回数によって収益を受け取れるシステムがあります。BuzzVideoのいちユーザーであっても、BuzzVideoへ誘導することで利益を得ることは可能です。


まとめ

いかがでしたか?


・存在しない回botの方向性は2020年の2月ごろを境に変わった

・ツイッターには無断転載アカウントが多数あり、ひとつの運営元が動かしていることがある

・「令和速報」「平成を忘れないbot」「ツイッター迷言集」「ヤフー知恵袋迷言集」などはひとつの運営元が動かしている

・「令和速報」「平成を忘れないbot」「ツイッター迷言集」「ヤフー知恵袋迷言集」は、BuzzVideoというサイトへ誘導するリンクを頻繁に貼っている

BuzzVideoを運営するByteDance incは、TikTokなどを開発した企業


ということがわかった回でしたね。

どういうことなんでしょう?

これからも存在しない回botは注目ですね。


最後に私の好きな「存在しない回」を貼ります。

さようなら。


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品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)
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