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シャニマス新ユニット「ノクチル」の第一印象

私はここ1年くらい『アイドルマスター シャイニーカラーズ』というゲームを遊んでいるのですが、先日このゲームに新しいキャラクターが追加されることが予告された。

ユニット名「noctchill(ノクチル)」だ。情報が出た当時は「わっ……アッ……うわあああ、ノッ、ノクチル、のくちる……」となってしまったが、やっと落ち着いてきたので現状公開されてる情報だけからいろいろ勝手なことを予想して遊ぼうと思う。

去年はこんな、キャラのプロフィールだけから内容を予想する記事を書いてた。いざキャラクターを深く知ったら自分でもかなり面白く読み返せたので今回もやる。無知は宝。

ノクチルは現状ではまだゲームに本格的には登場していない。PV映像と公式サイトのプロフィール、ゲームに追加された短いティザーイベント、そして公式4コマ漫画が情報源の全てだ。

「ノクチル」の意味

ノクチルの由来は夜光虫の学名「ノクチルカ」だと言われている。夜光虫とは海洋性のプランクトンで、刺激に反応して青く光るという生態がある。

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ロゴや衣装デザインなどを見ても、ノクチルが「海」をモチーフにしているのがよく分かる。

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PVでは4人が膝下まで水に浸かっているように見える演出があるが、これは夜光虫の輝きが見られる場所が、海の比較的浅い沿岸部だからかもしれない。

なぜ「夜光虫」なのか

なぜモチーフに夜光虫が選ばれたのか。「シャニマス」にはこれまで5つのユニットが登場したが、どれも「光」を意識したコンセプト作りをしている。

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イルミネーションスターズ……電飾、星

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アンティーカ……炎、エネルギー、闇と対比した(希望の)光

一見すると分かりづらいんだけど、ゴシックなファッションが示しているような産業革命前後のモチーフが頻出するため。楽曲の歌詞もそういうのが多い。

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放課後クライマックスガールズ……太陽

色の取り合わせはヒーロー戦隊を意識している。

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アルストロメリア……花

これはちょっと苦しいけども花は光を浴びて育つし、輝く光の比喩としての咲く花というモチーフはそこまで珍しくもない。

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ストレイライト……迷光、蛍光色、光線

LED機器が発する人工的な光のイメージ。迷光は散乱する光のこと。



一部やや強引ではあるものの、ユニットのモチーフは基本的に「光×色」で出来ていて、ノクチルもその例に漏れない。

ではなぜ夜光虫なのか。

これまでのユニットを見渡してみると、アイドルが放つ「光」のモチーフが人工的である割合が高い。「イルミネーションスターズ」が指す星は、文字通り「電飾」の光の比喩だし、「アンティーカ」の光は自ら意志をもって灯す炎。「ストレイライト」は半導体素子の放つ光だ。

「放課後クライマックスガールズ」は「太陽を浴びてはしゃぐ女の子たち」というような感じの売り出し方で、どちらかというと光を浴びる側。「アルストロメリア」は「光を浴びて花を咲かせる少女」という感じなので、これも浴びる側。「放クラ」「アルスト」については、(自分が幸せになるという)共感を軸に観客を照らすという手法をとっている。

夜光虫は「自ら発光する生物」である。モチーフが人工光でもなければ光を浴びる側でもなく、どちらのパターンにも当てはまらない。


「人工物」に対抗する「幼馴染4人」という設定

シャニマスでは「人工的」であることを様々な形で肯定するエピソードが多い。そもそもアイドルというもの自体が虚構性の高いエンターテインメントだし、「放課後クライマックスガールズ」のメンバーは年代も学校もバラバラで団結しているところが売りだ。本来の性格と外向けのキャラのギャップに悩むメンバーも複数いる。

「本物じゃないこと」への葛藤と肯定は重要なテーマだ。「ありのまま」じゃないこと、をありのままに認めようとするねじれが、シャニマスを面白くしていると感じる。

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公式サイトによると、ノクチルのユニットメンバーは幼馴染4人で構成されている。これはシャニマスのアイドルとしては過去に例がなく、アイドルユニットとしてもかなり珍しい(『アルストロメリア』のうち2人は双子だけど)。

幼馴染。つまり彼女たちの関係性は、アイドルとしてデビューする前からすでに出来上がっているということになる。アイドルという「人工物」を自覚的に描いてきた後に、「自然物」が投入された構図だ。

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夜光虫は周りを照らすようなものではない。夜の波打ち際で淡く光るだけだ。太陽のように強烈ではないし、花を咲かせることもない。ノクチルのネーミングはもちろん「chill out(ゆったり落ち着くこと)」ともかかっている。自己完結的に静かに輝く青い光は、誰かを照らして引っ張り上げる「救い」としての光のイメージとは大きく異なっている。だから幼馴染で構成されたノクチルのモチーフは「夜光虫」なのかもしれない。


次はメンバーを見ながら妄想を書きます。


メンバー

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浅倉透

・「浅」「透」と、かなり直接的に夜光虫のモチーフが使われている。

・性格も「自然体で飾らない」と書かれているとおり、「人工」に対する「自然」を体現するようなキャラだと思われる。

・ネクタイをしているあたりボーイッシュなイメージだが、男性的というよりは無性的な印象。「透」という名前も男女両方に使えるし。

・透明感が強調されているので、アイドルデビューしたとき最初に適応する(それでいて、かんたんには染まるわけではない)役割なのが想像できる。

・胸にペンが2本も入ってるので、何か書き物を頼まれる機会が多いか、あるいはちょっとしたきっかけで何かひらめくことが多く、メモをよく取るのかもしれない。

 ・(追記)よく見たらもう一本はヘアピンにも見える。腕にはヘアゴムも付けてるな。ショートカットのわりに髪を留めることへの意欲がすごい……。

 ・(追追記)いやこれはダッカール(メイクするとき前髪とめるやつ)か!?


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樋口円香

・樋口の「樋」は「とい」なので、一応水に関係がある名前かも。

・「プロデューサーに冷たい態度を取る」とあるが、こういうのは一瞬にして覆されるので信用しないほうが良い。

・浅倉透とは対照的に、カラーリングがかなり重い印象を与える。透が「染まらない」「透明な」キャラだとすれば、円香は「染まった」「不透明な」キャラなのかもしれない。黒いタイツに上着と、体の露出も最小限だ。

・プロデューサーに冷たいという描写からも、あまりアイドル活動へ乗り気ではないのだろう。おそらく、幼馴染4人の関係性がアイドル「ノクチル」としての関係性に塗り替えられることや、それが周囲から見られること、それによる変化を恐れているのではないだろうか。

・「わたしたちの関係の何がわかるっていうんですか」みたいな反発を、するのだろうね……。

・透を信用し、憧れてもいるが、包み隠さずあけっぴろげな彼女の態度に触れるたび、逆に「何を考えているかわからない」と感じるタイプなのだろう。アイドル活動も彼女の気まぐれに付き合ってあげてるくらいのつもりだ(妄想です)。


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福丸小糸

・名前に海や水に関係する要素は……ない。強いていえば「○○丸」というネーミングが船を想起させるくらいか。

・「こいと」という名前は、関西の商人が使う「こいさん」「こいとさん」という言い方を思わせる。可愛い娘さんみたいな意味です。

・ユニットのバランサー的な印象だ。透が超然としてて、円香が隠して抱え込むタイプだから、困惑がすぐ顔に出てワタワタしつつもしっかりお話を動かしていくのだろう。「糸」という名前は、メンバー間の関係をつなぎとめる役割を示してるのかもしれん。


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市川雛菜

・ひなな。見た目の印象通り、かなりマイペースで自分中心な女の子らしい。ワガママキャラとしてプロデューサーを振り回すのではないか。

・しかし「市川雛菜」という名前は「雛流し」から来ているのでは? 雛流しとは、雛人形を川に流す行事のことで、災いやら汚れやらを人形に肩代わりしてもらう清めの儀式である。ふつうの雛人形も川に流しこそしないがルーツは同じだ。

・そうなると、彼女は「人形」がモチーフかもしれない。「市」の字は「市松人形」を連想させるし、いずれにせよ人形は誰かの思いを着せられる存在である。そんな彼女が「自分のしあわせ」を追求するエゴイズムを標榜しているということは、これはもう過去に親絡みでなにかあったに決まっている(妄想です)。透を慕っていることと併せて考えると、透の自由な性格に触れたことで過去に救われた経験があったんじゃないだろうか。

・小糸とともに1歳下の幼馴染、かつ同じ学校ということは、年上の透や円香のために同じ学校を受験した可能性が高い。学校指定の制服はブレザーのようだが、彼女の羽織っているパーカーはセーラー服風。本当はセーラー服デザインのほうが好みだったとすれば、雛菜が何を「しあわせ」だと考え、何を取捨選択して受験したかが少し見えてくる。

・雛菜だけ出身が神奈川県(ほかは東京出身)だが、神奈川には今でも住んでいるのだろうか? それとも小さいときに引っ越してきたのか、みんな神奈川よりの東京の学校に通っているのか。京急本線に乗ってたら雛菜がいるのか……?

・過去を語ったあとに「だからね~、雛菜、決めたんだ~、これからは自分の”しあわせ”のために生きるって。」みたいなセリフ言いそう。


どういうシナリオになるのか

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すでに出来上がった関係を描くということで、過去(アイドルになる前)にどんなことがあったのかを小出しにしながら進んでいくんじゃないかと思っている。

また、葛藤と成長のポイントとしては「こんなことしなくても自然に上手くやれていた4人組だったのに、『透明』であることを捨てて、なぜアイドル活動をしなければならないのか」「衆目に晒されることで関係が変わってしまうのではないか」あたりに集約されてくるのではないか。その不安を主に担うのが樋口円香なのだろう(これを『関係性オタク』に消費されることへのメタ的な批判として見るとちょっと面白い)。

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ゲーム中のごく短いティザーイベントでは、透が霧吹きで虹を作れることに興味を持つ。この、コンセプトの比喩としての「霧吹きで作る虹」はかなり見事だと思った。霧吹きという「人工物」で、虹という「自然物の輝き」を再現する、ということであればシャニマスの根幹に関わる。「透明」な水が「虹」を作る、として読めば、ノクチルの未来を暗示している。

しかも「透明」だったものが「虹色」になることには解釈の二面性がある。無からのアイデンティティの獲得と読めばそれは希望だし、人工的な作用によって色付けされてしまうアイデンティティの剥奪と読めば不安に変わる。

ノクチルのキャッチコピーは「さよなら、透明だった僕たち」だ。これまでのユニットは、アイドルになってから知り合ったメンバー間で信頼を築き上げていくようなエピソードが多かったが、ノクチルではすでに安定したサークルにもたらされる変化を、光と影の両面からゆっくり描くのだろうと予想している。


仕事で「キャラ」みたいなものを演じることになって、円香が「なんとも思わないの? あんなキャラやらされて……」みたいな感じで、レッテルを貼られることに不満を示したりしそう……。でも正しく理解されたからといっていい気分になる人格にも見えない。円香さん、「私がいちばん透のことを分かってる」みたいな雰囲気を顔で醸し出しているから。そんな関係を日なたに引きずり出してきてどうしようっていうんだアイドル業界。「プロデューサーだからって、私たちのことならなんでも分かってるみたいな顔するの辞めてください。……これは、私たちの問題なんで」とか言われたら死んじゃうかもしれないな。やめてくれ~~! ギスギスしないでくれ~~~! 


全部勝手な予想だった。


ホッ……。

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品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)
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