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SaaS事業を成功させるためのチーム作り by2018年現在

SaaS事業に関するTipsが増えてきたものの、自らがSaaS事業を運営する中でピンとこないTipsも多く見受けられたことからその理由について考えていました。

(「クラウドサイン 」というSaaS事業を運営しています)

例えば、「プロダクトチームが作った新規プロダクトをセールスチームが売らない」のような話だったり、「セールスチームは目先の利益ばかりでプロダクトの中長期目線と合わない」のような話。そのためには、SaaSでは●●をするといい、というようなTipsが見られます。

その他にも、インサイドセールスやカスタマーサクセスチームを作る利点や、カスタマーサクセスを経営マターで顧客にコミットする秘訣などがSaaS業界で数多くの講演会や記事が生成されています。

しかしながら、自分はプロダクトチームとセールスチームに齟齬が生じたこともなければ、リリース後、一環として顧客優先(言うは易しで、本当にあらゆる意思決定で徹底しています)の組織で、カスタマーサクセスチームはTipsを見るまでもなく存在していました。

あるあるネタは、「顧客を優先しなくなったから」それをリカバリーするためのTipsや、「セールスチームとプロダクトチームが疎遠になったから」それをリカバリーするためのTipsなども多く、そもそもその局面になったことがないことが違和感の正体でした。

だとすれば、本当に注力すべきはそのような局面にならない、良いチームを作り上げることにあるのではないか。Tipsにあるような各論は、良いチームさえ作り上げていれば、そもそも必要ないことも多く、仮に必要な局面にはすぐさに取り入れ、課題は瞬時に潰すことが可能になります。

自然と、良いチームを作ることだけに自分は専念に、意思決定はチームメンバー各自が広い裁量のもとで日々普段に意思決定し、即時実行できるような熱量の高い施策を実行していけばいいのだと考えるようになりました。

意思決定の方法は、以下で書いたこともあります。

良いチームとは

Google re:Workという、Googleの働き方に関する研究発表がすごく参考になりました。Google re:Workは以下のように定義つけています。

まず、チームの定義は以下です。

チーム: メンバーは相互に強く依存しながら、特定のプロジェクトを遂行するために、作業内容を計画し、問題を解決し、意思決定を下し、進捗状況を確認します。チームのメンバーは、作業を行うために互いを必要とします。

Google re:Workより引用)

チームとは、会社組織においては従業員は相互に依存し、計画、解決、意思決定等を行いながら、互いに必要にしています。当たり前ですが、皆で事業の課題解決に取り組むのです。一人ではできないことを、チームでできるようにすることは当然でもあります。

そして、Google re:Workは、効果的なチームに影響するファクターを突き止めています。

真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めました。チームの効果性に影響する因子を重要な順に示すと次のようになります。
 ・心理的安全性
 ・相互信頼
 ・構造と明確さ
 ・仕事の意味
 ・インパクト

Google re:Workより引用)

また、重要じゃないファクターもとても参考になります。

チームメンバーの働き場所(同じオフィスで近くに座り働くこと)、合意に基づく意思決定、チームメンバーが外交的であること、チームメンバー個人のパフォーマンス、仕事量、先任順位、チームの規模、在職期間

チームでの仕事をする上で、各個人の仕事量を管理したり、チームの適正規模を管理したり、メンバーが外交的であることは効果的なチームを行う上では重要でないという発表です。メンバーにそれらを求める指揮命令の話は他社でよく聞きはしますが、重要なことはそれ以外にあると学び取れます。

他にもサイボウズ代表取締役の青野さんの「チームのことだけ、考えた。」と「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」も何回も読みました。

自分が考えた良いチームにするためのファクター

これらを参考に、5つのファクターを重視してチームを作り上げると定めました。これは自分で重要だと考えたもので、特にチームで決裁を取ったものではないですが、チームメンバーには共有しているものです。

基本的に自分は、「チームに所属するメンバーが熱量高く仕事ができるかどうか」が、「顧客のために価値を提供するために迅速かつ的確な意思決定と実行ができる」と考えています。

意思決定の精度とスピードとともに、それは実行力のある施策でなければなりません。トップが行った意思決定が、現場で実行されないという現象はよくあります。実行とセットで現場が自己の裁量権で意思決定することが重要だと考えるのです。

そのため、Google re:Workの発表よりも、個人が活躍できるための要素で構成されています。

・成長を実感できること
・社会的貢献を実感できること
・チームで働くことが楽しいこと
・心的安全性が確保されていること
・成果が金銭的/心理的フィードバックに反映されること

上の2つで意識したことは、成長を客観的にしていても、主観的に成長が実感できなければ、モチベーションは下がる構造にあることから、実感ができるいくつかの仕組みを用意しています。それは会社側が用意することだと判断いたしました。

また、「働くことが楽しいこと」を会社側が用意することも重要な要素です。金銭を得ている以上、楽しくなくとも労働すべきだとのプロフェッショナル論は理解できますが、金銭という外在的な理由では創造的な判断が生まれにくい構造にあることを肌感覚で同時に認識しています。自由な発想で、遊び心を忘れない環境を用意するから、顧客のために継続的に意思決定が可能になると心から考えます。

いくつかの施策はここから生まれました。

そうして生まれた成果が金銭的でなく、心理的にもフィードバックを得られ、仮に失敗したとしてもセカンドチャンス、サードチャンスを与え続ける環境があるから、次なる大胆な挑戦が可能にあると考えています。

良いチームを作れば、良い施策は日々不断に生まれる

このような環境作りにリソースをきちんと投下することで、施策自体は現場から日々不断に生まれ続けています。

クラウドサイン の内側の人たちの発信はこちら

どんどん施策を意思決定して、どんどん実行に移されています。失敗したら即時に改善して、即時にさらなる意思決定をして、即時に実行に移すことができます。

良いチームでなければ、失敗したら責められ、挑戦する機会が与えられず、次なる実行に何段階も決裁が走り、を想像すると、現場は自分で意思決定することや実行することが怖く、結果、顧客のための施策は生まれません。

最初から正解のように思えるSaaS Tipsよりも、自らのプロダクトで本当に顧客のためになることは何かを意思決定/実行できる良いチームを作り上げることの方が遥かに価値が高いのだと考えています。その結果、クラウドサイン はチーム人数を●倍の人数になりましたが、昨期1人の退職者も生まれず、チーム運営ができました。

タイトルに「by 2018年現在」とつけたのは、この良いチームの作り方すら改善していき、どんどんブラッシュアップしていくべきと考えているからです。

隙間時間が30分くらいあったので、急ぎで書いてみました〜

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橘 大地
お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ