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“不在なるものの輝き”

何よりもまず人は見えてはいないものしか創造したりはしないものだという事実があるからであり、もし、リュミエール兄弟が、開かれた未来の中空に鮮明な輪郭で描かれた映画のイメージを認めていたのだとしたら、「グラン・カフェ」での最初の興行など永遠に延期され続けていたはずであって、だから映画は、その幼年期の夢想をむさぼっていたベル・エポックの幸福な昔から、映画の暗がりといった容易な比喩では把えてほしくないより生なましい闇によって、一貫して未来を閉ざされ続けてきたはずのものなのだ。

——蓮實重彦『映画の神話学』

これまで創造されてきたものは、その生なましい闇に手を差し入れ、その闇に一歩を踏み入れることで、いや、そうする刹那に逃げていく闇に向かってきた軌跡なのだ。
「未来はない」からこそ、さあ、闇に向かっていこう!

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2021-04-29 14:34(UTC+0900) @TSD /TT
2021-04-29 22:55(UTC+0900) @TSD /TT

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