見出し画像

“神を宿す”

シュクジンにはいろいろと奇妙な属性があたえられていた。もともとが荒れやすい神で、動物霊や植物の霊とも深いつながりをもっていた。シュクジンが降りてくると、職人たちの技は冴え渡るようになり、芸人は神かとみまごうばかりの神秘の芸を演ずることができる、と信じられた。その神は人間のなかに不思議な通路をつくりだして、そこをとおして動物や植物といった非人間の世界に入り込んでいくことを可能にした。また、シュクジンは北極星だとも言われた。天体の運行全体を支えながら、不動の存在として、天体の世界を抜け出している、と考えられていた。能の世界の古伝承では、こういう不思議な性格をもったシュクジンこそが、翁のほんとうの姿であると伝えられていたわけである。

——中沢新一『ミクロコスモス』能の胎生学

ポラリスのまわりを舞う スーフィーの旋回
北斗七星をなぞって歩く タオの踏斗
直面で現れ、白色尉を着ける翁

画像1

[ P1 ]
2021-07-12 18:12(UTC+0900) @TSD /TT
2021-07-12 20:52(UTC+0900) @TSD /TT

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?