岬のマヨイガを観に行きました
先月の事になってしまいますが、フォローしているてつをさんが感想をアップされていたので興味を持ち、観に行きました。
興味があったのは、監督や作画スタジオが関わっているところに、私の好きな作品が幾つもあった事と、物の怪や東北、遠野と言ったキーワード。
震災とそれらがどう繋がるのかが興味深かったと言うのがありました。
原作があるとの事でしたが、公式サイトを少し見ただけで鑑賞。
感想は、作画面は文句なし。
演技も芦田愛菜ちゃんは上手かったし、大竹しのぶさんも達者。
ただ、どこかしら物足りなさが残る・・・そんな感じでした。
ストーリーは東北大震災の後、
両親を事故で失い、声が出なくなり、東北の親戚に引き取られ、震災に遭い一人生き残ったヒヨリと、両親が離婚、父親に引き取られたがDVにより逃げ出した所を震災に巻き込まれたユイ。
この二人が避難所で不思議なおばあさん キワさんと出会い、岬にあるマヨイガで生活を始める。
そんな所から始まります。
三人が暮らす家はマヨイガ 昔話にある人をもてなす家。そこから何かを持ち出すと幸せになれると言う家です。
(私は、故小山田いくさんの迷い家ステーションと言う作品で知りました)
三人の新しい生活を続けるうちに、日常を取り戻していく二人。
しかし、震災で古来から封印されていた人の心を食らう妖怪 アガメが復活し、生活に異変が起き始めます。
それを倒すためにキワさんは不思議っ人と呼ばれる物の怪や神様達の力を借りて二人を守るための戦いに挑む。
これ以上詳細は書きませんが、大体こんな感じの作品です。
物足りなさの原因は、主人公二人の設定が地元民で無い事等、震災自体の描写が薄かった事かも知れません。例えば地元の人達の心理描写と言った部分。
この辺りはどこまで入れるか、対象層を考えると難しい所でもありますが。
映画を見終わった後、気になったので原作を読んでみました。
児童文学です。柏葉幸子さんの活動40周年記念作との事。
原作では、人物や詳細設定が映画と異なります。
ユイは、高校生でなくて既婚女性。夫のDVから逃れて出た旅の途中、たまたま親戚の元に向かう途中のひよりを見かけ、気になり付いていきます。
その矢先、震災に巻き込まれると言う展開。
(ヒヨリの設定は映画と同じ)
その後、キワさんが借りた家で三人生活を始めるのですが、三人は祖母、母親、娘の関係です。
描かれる視点もひより視点の描写がメイン。
ヒヨリはしゃべれませんが、心の中でユイをユイママと呼んでいます。
映画で私が気になったのがヒヨリと仲の良い玲子ちゃんと言う女の子の描写だったのですが、原作では、震災で傷を受けた地元の子供と言う位置づけがしっかりしているように思いました。
映画を見て、感じた物足りなさが保管された感じでしょうか。
映画が失敗だ、とか言うつもりは無いです。
小説の情報量を映画の尺に全て詰め込むのは難しいので。
文字では簡単に表せる登場人物プロフィールも、映像で説明すると結構大変です。
映画版のノベライズも出てるので、そちらだと印象が変わるかも知れません。
ユイを母親→姉 と変更した事に関しては、個人的には評価が難しい所。
親視点で見ると、ユイの過去も含めて人物設定に中途半端さを感じる部分もあります。
でも、劇場作品としての対象層を考えると改変した方が馴染みやすかったかも知れません。
玲子ちゃんは、ユイのキャラ改変で割を食った感じかな・・。
何にしても、色々と考えてみるきっかけが出来て面白かったです。
映画を観に行ったのも正月明けの新解釈三国志以来でしたし。
柏葉幸子さんの作品は折を見て読んでみたいかな、と思います。