キモシェアハウス漂流記第二話
キモシェアハウスは楽しい。
その楽しさ故に思ってもいない自分と出会えたりできる。
毎日仲良い友達といれることでリミッターを外すのが以前よりも簡単になった。笑ってくれる対象者が居ることで理性の弁がガバガバになるのだ。
キモシェアハウスの好きな人は知っているだろうが一時期この家には「吠え」というものが流行っていた。
まだメンバーになる前遊びに行っていたとき玄関を開けたらリビングから「うぉぉー」と地を這うような低い声が聞こえていた。
そのとき俺は皆ルームシェアでストレスが溜まって壊れちゃったんだなと思っていた。
しかし、それは違うということに住んでいて気づいた。キモシェにストレスなんか無いのだ。24時間ずっと楽しいから。
その楽しさ故に心を許しすぎて、理性を通さない行動を引き起こすのだと。
俺はこの前裸のサスペンダーズ古川さんのちんちんをシコった。そしてその動画を撮り自分でしか見ない用のFANZAのサンプル動画みたいなものを編集して作った。
本来古川さんは先輩で、そんなことをしては失礼にあたるのだが、やっているときはもうそんな考えは頭のどこにも無くただただ楽しいからやっていた。
「原始への戻り」
キモシェアハウスには文明が出来る前の人間になれる。本来の人間に戻れる。それを感じることに喜びを覚えている。
しかし、理性は捨てようがやはりキモシェアハウス。捨てたはずの理性がたまに呼び戻されるようなことが多々起こる。
それが小蝿大量発生事件だ。
キモシェアハウスは今電気をつけていても暗いぐらいに部屋に小蝿が大量発生している。
この間台所で目を瞑ってパンチを出す容量で何かを掴む動作をしたら手の中に小蝿が3匹死んでて、宮本武蔵みたいな体験を出来てしまった。
そして小蝿を意識していると普通に蛾もいたりする。もう外だ。キモシェは室内外(しつないがい)。
俺はまだキモシェの中では珍しく自分のゴミはすぐに捨てる。そして机の上にあるヨーグルトの空箱や、納豆パックなどを見つけ次第すぐ捨てている。
なのに毎秒増えている。この間木田君とリビングで話していてテーブルの上のコップを覗くと「なんやこれ!」と木田君が言った。
そして木田君がコップから透明のビーズみたいなものを取り出して俺に見せてきた。
なんやこれと言い合いそのビーズを割ってみると中から小蝿が出てきた。小蝿の卵だった。
2人で叫んだ。
28年間生きてきてまだこんなに驚けることがあるんかと思った。
俺のジャーナリズム精神が乾燥してカピカピになるまで俺は住む。