キモシェアハウス漂流記スピンオフ〜レンタルぶさいく〜Part.4
レンタルぶさいくこと篠原さんは彼女とレンタルぶさいくの活動を天秤にかけ
レンタルぶさいくとして生きていくことを選んだ。
お互い忙しくなったが、暇な時間を見つけてはキモシェアハウスに遊びに行ってはパワプロという野球ゲームをしていた。
パワプロは自分で好きな選手を作れるというのが人気の部分なのだが、
そこで篠原さんは「ルイバブ」と言う選手を大量に作り、チームを作った。そのチームのピッチャーは変化すると緑色のエフェクトがかかるルイバブボールを全員使えるのだが、これがものすごい変化球で何があっても打てなかった。
そもそもこのルイバブとは何ぞやと言うことなのだが、元カノと付き合ってるときに篠原さんの下の名前「塁」から付けたニックネームだ。
それをいたく気に入り、パワプロの自作の選手全員にルイバブと付けている。未練を具現化したようなチームだった。
夜キモシェアハウスに遊びに行き、皆んなが寝静まった頃、「村田、パワプロやろうぜ」と誘ってきて俺はチームルイバブにボッコボコにされていた。
「村田、次ルイバブ行くぞ」
と、言って160キロ以上のストレートを投げて来たりもした。
結局俺は1度もチームルイバブには勝てなくて、一回「俺チームルイバブ使わせてくれよ、篠原さんは普通のチームで」と交渉をした。
篠原さんは快く受け入れてくれて、俺がルイバブボールを投げるとホームランを叩き込んだ。
篠原さんはルイバブを使ってたから強いんじゃなくて、ただただパワプロが強かった。
2021年の夏。篠原さんは東京オリンピックのバイトを始めた。
そして毎日海外の人と触れ合う中で俺といるときにこんなことを言い出した。
「俺スペインでうどん屋やる」
なんでスペインでうどん屋やりたくなったのかは分からなかったが、とにかく海外に行きたいとのことだった。
そしてその次の週には
「タイで焼きそば屋やる」と言ったり、なんかとにかく海外で麺類をやりたいらしかった。
オリンピックのバイトが終わり、しばらく経ってから篠原さんは
「フィリピンで就職する」と言い出した。
そして、面接とかも済ませてとんでもないスピードでフィリピンへの就職が現実味を帯びていくのだった。
篠原さんは会うたびに
「フィリピンは物価が安いから日本では給料が低くてもフィリピンじゃ大金持ちだ」とか
「社宅にプールが付いてるから夏は毎日プールだ」とか
「日本人はモテるから経験人数がすごいことになる」など目をキラキラさせながら俺に話してきた。
そして2022年8月日本を発つことが決まった。
そして俺、ぐんぴぃ、古川さん、ならた、木田で成田空港までお見送りをしに行った。
空港に着くと、荷物だらけの篠原さんが居た。
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¥ 300
金で窒息させてくれ。