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キモシェアハウス漂流記第三十三話〜キモシェ史上最大の珍事件〜

キモシェアハウスのリビングにある麻雀台が、やりすぎでついにぶち壊れた。

俺達のコミュニケーションはほとんど麻雀をしながらやったから、キモシェアハウスから会話が減ってしまった。

「麻雀牌が汚れすぎて、牌の中のマグネットが馬鹿になってるんじゃないか…」という声があがり、木田に麻雀牌を拭くように頼んだ。

その姿はまるで中国でそれだけで飯を食うてる奴みたいな姿だった。

木田は首をくねくねさせながら、YouTubeから中国っぽい音楽を流した。

めちゃくちゃ笑った。

そして拭いた麻雀牌を機械に入れ、動かしてみると、まだ動かなかった。

木田が麻雀牌を拭いただけになった。

もうダメか…と、皆肩を落とした。

そこで立ち上がったのがラッパーの飯田さんだった。

「僕、工業高校出身なんですよ」

そんな一言を放ち、俺達の麻雀台に立ちはだかってくれた。

ネジを外しパーツを分解しカチャカチャと音を立てながら麻雀台をいじる。

「あぁ、ここがダメになってんだ」

俺達はもう何が起こっているか分からなかった。ただ飯田さんが俺達の為だけになんの利益も無いのに闘ってくれていることだけは分かった。

そして約40分の時間を費やして、死んだはずの麻雀台が生き返った。

そして俺達は失ったコミュニケーションを取り戻すことが出来た。

しかし、それ以降も麻雀台は動かなくなったりするようになったが、飯田さんは完全にツボを押さえて、動かなくなってもすぐに動かせるようになった。

飯田さんが居る限りキモシェアハウスの麻雀は守られていく。

事件は他にも起こった。

これはキモシェアハウスに住んでから最大の珍事。

ある晩、酒を飲んで帰った俺は、風呂にも入らずそのまま寝ようとしていた。

外で履いていたズボンからリビングに置きっぱなしにしていたハーフパンツを履き替えようとしたときに何やらポケットに違和感があった。

(なんか入ってる…)

そう思ってポケットに手を入れると、単4電池が10個ぐらい入っていた。

「え、何これ…」

咄嗟に俺は呟いた。

リビングに居たのは飯田さんと古川さん。

飯田さんはヘッドホンを付けてパソコンをいじっていたが、俺のことを心配してヘッドホンを外し「どうしたんですか?」と、聞いてきた。

この時点で飯田さんが白であることは確定した。

「いや、なんか僕のハーフパンツに単4電池めっちゃ入っててね…」と、言うと

古川さんが

「あっ、いや、すみませんっ、それっ!あのっ、僕です…」

犯人は古川さんだった。

しかし、犯行の意図が分からなかったので

「え、どういうことですか?」

と聞いたのだった。

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