キモシェアハウス漂流記第四話
キモシェアハウスの生活が当たり前になっていくことへの恐怖と闘う日々を送っているのだが、俺はまだギリギリ外の人の感覚を持ち合わせながら生活出来ている。
今キモシェアハウスに住んでようやく30日が経った。
自分が外の人の感覚を持ち合わせてる証明として、まだ俺はペットボトルのゴミを見つけたらラベルを剥がして分解して捨てれている。
この間あることが嫌になった。
キモシェアハウスの洗濯機で服を洗濯するとカビ臭くなるということだ。
皆にそれを言うと
「そうか?」
「村田の鼻の中が臭いんちゃん?」
「これが"普通"」
と、ふざけんなと叫び散らかしたくなる回答ばっかり返ってきた。
なんとかしないとと思い、俺はとあるライブの帰りに洗濯槽クリーナーを購入し、洗濯機を洗った。
洗った洗濯機の中を除いて見ると、すごい汚れが水の中を占領していた。
その後ある程度綺麗になった洗濯機で服を洗濯するとうっすらカビの匂いはするも、まだマシにはなった。
それをガクヅケ木田くんに伝えると
「なんてことしてくれとんねん!元に戻せ!!」
と、10円玉握った硬い拳で顔面をフルスイングで殴っても仕方ない冗談を言ったあとガハハと笑ってきた。
酷すぎて俺も膝から崩れ落ちるぐらい笑った。
しかし、この洗濯機を洗うと言う行動があんな大事件を引き起こすとはこのとき僕はまだ想定していなかった。
7月30日の13時。大事件は起こった。
その日俺は11時に起きて換気扇の下でタバコを吸うたり、リビングでYouTubeを見たり、ゆっくりしていた。
13時、玄関のドアの開く音と共に、まるで馬の大群が近づいてるんじゃないかというものすごい足音が聞こえてきた、そしてリビングのドアが開くと目を見開ききったフランツの土岐が。
「村田さん!!玄関の臭さ!!気づいてましたか!?」
何を言うてるか分からなかった。
だって起きたときにトイレ行ったときには何も無かったから、そう言うと
「じゃあちょっと来てください!!」
俺を玄関に連れて行き、息を吸い込むと、体に入ったもの全てを吐き出すかのような激臭が。
例えるなら「ぬるい海鮮の臭い」
人が住む家からは絶対してはいけないは完全にパニックになっていた。
「これってずっとこの家がこのぐらい臭かったんですか!?やとしたら最悪や!俺ずっと服とかにこの臭いつけたまま生活してたんですか!?」
焦る土岐に俺は
「いや、これは前からじゃない、今いきなりや」と教えてあげた。
そして俺達は臭いの原因を探すことに。まず2人が共通して疑ったのは古川さんの部屋だった。
古川さんの部屋の扉を開けて鼻から空気を吸う。
臭い。だが、玄関の臭さとは違う臭さ。そして古川さんの部屋は容疑者のリストから外れた。
そして次に疑われたのが洗濯機の中に残された濡れたパンツ。そしてこれを嗅いでみると…
「うわぁぁあ!!これや!!!」
犯人を見つけた。土岐に嗅がすと
「ゔぇぇぇ!!」
瞬殺だった。ここで2人で出した推理がこうだ。
濡れたまま洗濯機から出さずに、干すのを忘れていたパンツがこの暑さで、パンツについた水分が腐って悪臭を放ったのではないか、と。
そしてこのパンツの持ち主、木田がそのタイミングで起きてきた。
俺と土岐は「おい!コラ、どないしてくれとんじゃ!!」と寝起きの木田に詰め寄った。
木田はパニックになり「何が?」を30回くらい言っていた。
そして状況を説明し、木田にそのパンツを嗅がせると「え…臭くなくない?」と言い放った。
俺と土岐は「お前の鼻どうなっとんねん!!」とキレちらかした。
そして濡れた臭いパンツを持った木田の首根っこを掴み玄関に連れて行って「息吸い込め」と木田に嗅がせると、木田は
「ぎぃい!!」と、鳥のお腹を踏んだような音を鳴らした。
そしてリビングに走り
「ゔぇぇえ!!」と涙を流しながら、えづきまくった。
しかし、木田は目の周りをびちょびちょにしながら
「確かにこのパンツはちょっと臭い!やけど、玄関の臭いとまた違う臭いや!」
そう言い放った。
俺と土岐は半信半疑でもう一度パンツの臭いを嗅ぐと臭いが、玄関の臭いとはまた別の臭いになっていた。
パンツの臭いが玄関に広まったと思っていた我々だが、玄関の臭いが濡れたパンツに染み付いていただけだったのだ。
そして俺達3人はもう一度玄関に行き、臭いの根元を探すことに。
洗面所を嗅ぎ回ると、洗濯機の排水溝らへんで3分の3がえづいた。
そこで気づいた、俺が洗濯機を洗ったことで、全てのゴミが排水溝に溜まり、それが腐った臭いが洗面所を抱きしめていたのだと。
そのタイミングで古川さんが帰ってきた。土岐が古川さんに「ちょっと洗面所の臭いヤバないですか!?」と問うと、古川さんは
「うん、臭いね。」
やはりキモシェの不潔王古川さん、眉1つ動かさずに、最終話あたりの全てを乗り越えたエヴァンゲリオンの碇シンジみたいな声でそう言い放った。
そして皆で掃除することに。
俺と木田はパイプユニッシュを近所のスーパーに買いに、古川さんはその臭い洗面所を諸共せずにシャワーを浴び、土岐は激臭で脳の刺激されたことない部分が刺激されたのか急激に腹が減ったらしく、カレーを食べ出した。
そして俺らが帰ってきてから、4人で協力し、無事臭いは無くなった。
この高い壁を乗り越えた4人の絆はより強固なものになった。新生キモシェアハウス、動き出す。