キモシェアハウス漂流記第十四話
ゴキブリ戦争についに終止符が打たれた。
結果は俺の負け。
ゴキブリが出ないように部屋を片付けるか片付けないかで俺は関係ないと片付けない選択をし、そして片付けようという木田に対して面倒くさいのと、あと俺はそこまで汚していないという自負からシカトを決め込んでいたのだが、それも言ってられない出来事が起こってしまったのだ。
ライブの日、いつも通り服を着て出発しようと思ったときのことだった。
上に羽織るシャツに袖を通そうとしたときに事件が起きた。
シャツから何やら黒い物体がぽとり。
カサカサ…
「ぐぁああ!!!」
誰もいないキモシェアハウスに俺の叫び声が響く。
ゴキブリが俺のシャツの中で宿泊していたのだ。
頭はパニック、しかし本能で(殺さねば…)と思っている。
急いでティッシュを探す。
無い。
部屋が汚すぎてティッシュがどこにあるか分からない。
気づくと、もうゴキブリは目の前からいなくなっていた。
嫌すぎた。片付けないと言ってられないと、そのとき悟った。
そして木田、土岐、俺の3人でいるとき木田が「…マジで一回本気で片付けへん?僕ちょっと利尻行ってたのもあるけど、この汚さもう耐えられへん」と言った。
土岐は「俺は、やるならやりますよ。ただ、マジでやりますよ。」
土岐もキモシェアハウスに住んでどんどん汚くなっていったが、まだ完全に心は犯されていなかった。
そんな2人を前にして無言の俺。
(片付けるって決意したんちゃうんかっ!)自分で自分を責めた。
言葉は発さず目の前に落ちているペットボトルのラベルをはがし、分別して捨てる。それを見た木田は俺に何も言わずにうなづいた。
俺達の戦争が終わった瞬間だった。
そこからはとにかくペットボトルを分解し、捨てまくる。
木田と土岐はゴミや、落ちている片一方しかない靴下を捨てて行った。
一目瞭然とはこのこと。
俺達はゴキブリによって1つになった。ゴキブリが繋いだ絆。
そしてある程度目に見えるゴミを捨てたあと、床に落ちている砂や、埃、髪の毛なども掃除しようとなったのだが、キモシェアハウスのヤングプリンス、フランツ土岐がとんでもない行動に出た。
村田木田
「ちょっ!土岐!何してんねん!!」
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