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キモシェアハウス漂流記第三十四話

キモシェアハウスは今重大な問題に直面している。

キモシェアハウスの喫煙は普通の家と同じように一丁前に台所でしか吸ってはいけない。

ここ最近台所でタバコを吸うたびに足元がびちゃびちゃになっていた。

履いたばかりの靴下でそれを踏み、出かける気分を殺すその水分。

俺はすぐ原因を探した。

最初は古川さんが冬になり毎日おでんを作っているから、その調理過程で台所の床にこぼれた水ではないかと推理した。


その推理は大きく外れていた。

普通に台所の水道管に穴が空いていた。

そこから水がドバドバ出ていた。

水道管の周りは腐った水で溢れていて、シンクの下の棚はエゲツない臭気をまとっていた。

俺達キモシェアハウス民達が眉間にシワを寄せる匂いと言えば相当だろう。

応急処置で水道管の下にバスタオルを置いた。

しかし、ものの2日でそのバスタオルはエゲツない臭さの水でヒタヒタになり、そして結局床にその水は流れていった。

「管理会社に電話や」

村の長老の如く木田が呟いた。

そして、管理会社に電話をした結果、台所丸々入れ替えることになった。

「え…大丈夫?めちゃくちゃ金かかるんちゃん…」と言うと、木田は

「大丈夫、無料や、その為の…管理費や。」

木田は俺より一歳年上。今まで年上やなぁと思ったことは無かった。

この日初めて木田を年上だと思った。

台所がどうなるか。また追ってここに記したいと思う。

12月に入り年末のキモシェアハウスは相変わらずで、もうここに来てから1年5ヶ月の時間が経った。

最近キモシェアハウスでのしばらくのブームは替え歌で、YouTubeにも載せていた時間替え歌から、今は念押し替え歌というものが流行っている。

念押し替え歌というのはオレンジレンジの花で言うと普通なら

花びらのように散りゆく中で〜🎵

めっちゃ綺麗な花びらのように散りゆく中で〜🎵

と、ただただ歌詞で念押しするというものだ。

こう言うのは大体キモシェアハウスで麻雀をやってるときに産まれる。

「マジでウルトラソウル!!」

が麻雀中に爆笑を起こした。

全員アラサーなのにこんな毎日を過ごしている。30になってまだ替え歌で笑うなんて思ってもいなかった。

M-1で全員が死んだ日。

こんな愉快な仲間達がいれば凹んでもすぐに前を向ける。

そう思った矢先だった。

最近木田が一人暮らしするかもという噂がキモシェアハウス中に広がった。

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