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キモシェアハウス漂流記第三十七話

キモシェアハウスが終わりに近づいていることはご存知だろうか。

去年の暮れから、ガクヅケの木田が「5年も住んだし、そろそろ一人暮らしをしたい…」と言い出した。

俺は最初は冗談半分で第三十五話のLINEのやり取りのようなメンヘラムーブをかまし、木田の足止めをしていたが、とうとう最近物件の紙を持って帰るようになってきた。

木田は行動は人より遅いし、その行動を成し遂げる力もあまりない。だから一人暮らしは結局しないだろうとたかを括っていたのだが、ついにその日が近づいているということを物件の紙によって痛感させられるのだった。

三十六話での年越しの写真。もうこの光景は来年は無い。そう思うと、なかなか寂しい。

漂流記を始めて、約1年半。

最初はキモシェアハウスから早く出たいと思っていた気持ちが、次第にここにずっと居たいという気持ちになり、さらには旅立って行く者を止めたいとう気持ちになっている。

俺はもう芯までキモシェアハウスの住人になったのだ。

木田を止めたいというのは寂しさだけではない。何よりの1番の問題が【家賃の急上昇】だ。

今俺は木田の部屋の押し入れに18000円で住んでいる。

ただでさえそれでも高いと言われている家賃、それが木田が出て行ったら28000円になるというのだ。

28000円で1人部屋なら良いじゃないか。

読者の皆はそんなことを思うだろう。しかし、この28000円にはとんでもない落とし穴が隠されているのだ。

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