キモシェアハウス漂流記第十八話
飯田さんが仕事でちょっとの間キモシェアハウスを空けることになり、またキモい奴らだらけになった。
リビングはいつも通り誰かのカップ麺の残骸が残っている状態になり、そして部屋の臭いにおいもまた戻って来た。
リビングを見渡すと、ゴミ、にんにくを大量に入れたパスタを食べる土岐、半ケツを出して卵焼きを作る古川さん、ソファに横になりながら屁をこく木田、フルコンプリートだ。
俺はというと人の服を枕にしながら皆が寝たあとリビングでシコっている。
ただある朝木田、土岐、俺がキモシェアハウスがキモくなってることに気づいて誰からともなく軽く掃除を始めた。
成長しない人間なんていないのだ。あと、俺たちだって綺麗な方が良いという気持ちぐらい持っている。
木田は小さいゴミを捨て、土岐はリビングの机のゴミを捨て、俺は台所のペットボトルの分別をし始めた。
しばらく黙々と作業を進めていると、土岐が
「おい!この家の奴はゴミ箱の使い方も知らんのか!!」と叫び出した。
土岐の元へ木田と俺が向かうと、「あぁ、これはこの家汚くなるのは当然やわ」という光景があった。
ゴミ箱の使い方をあまりにも知らなすぎていた。
しかも犯人が見つからなかった。ということはだ、皆無意識でやっているということだ。
根っこがこうなのだからもう綺麗にしようなんて生意気やないかとなり、俺達はもう恥ずかしくなって掃除をすることを辞めた。
俺の中でこの掃除には裏テーマがあった。部屋を綺麗にして、この家で無くしたチャンピオンのトレーナーを探すこと。
一時、木田が盗んだと思い、問いただしたら「リビングで一回見た」と言っていて(リビングにあるなら良いか)と思って探さずその日は終わっていた。
今回の掃除で見つけたかったが
これのせいで捜索は白紙に戻った。
またチャンピオンのトレーナーと会いたい。めちゃくちゃ気に入っていた。ただリビングの目のつくところに無いのだ。てことは掃除をしなくても見つからない、つまり俺はキモシェアハウスの誰かが盗んでいると睨んでいる。
まず最初に飯田さんは入居する前からトレーナーが無かったことから容疑者リストから外す。
1番最初に疑ったのは木田だが、実はその線はかなり薄い。何故なら、木田は利尻のnoteで巨万の富を得て欲しい服は全て買い、チャンピオンのトレーナーなんぞ目にもくれないだろうから。
そして土岐はまず、俺より15キロも体重が軽いから俺の服を着るとダボダボになるし、まず普段の服装からして俺が着るような服は好まないはず。
となると、炙り出される人間はただ1人…
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