上京物語(後編)
前編はこちら
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約10日ぶりの続編。記事の間隔もソーシャルディスタンス。
押忍。
空手の挨拶をすることにより、威圧して文句を言わさない策士ぶりにもはや色気を感じる。
前回の続き行くで、振り落とされんな。
愛知の朝。ホテルを出て原付に跨ると外は雨がパラついていた。
そしてとにかく風が強かった。
ほっぺたが向かい風で波打つ中、ハンドルをひねった。
前日にあまりの遠さに泣きながら叫んでたけど、ホテルでしっかり睡眠を取った俺は再び元気を取り戻し、雨と強風の中走る冒険感に胸躍らせていた。
そして愛知から静岡に向かった。
原付を運転して1時間、風はさらに強くなった。
俺はまた泣き叫んでいた。
昨日みたいに帰りたいとか遠いとかじゃなく、ただただ純粋に怖かった。
風が強すぎてハンドルが言うことを聞かない。
もう戻れない、進むしかない。
そう自分に言い聞かせてもみあげが涙でびちょびちょになりながらひたすら走った。
そして道を進めるとバイパスが。バイパスとはどういうものか説明すると、【高速道路の弟】みたいな感じだ。
原付は高速道路を走れないがこの弟は走れる。
この弟が兄と全く変わらないのだ。
トラックビュンビュンオーバー100キロ。
弟というか双子の弟。親しかどっちが兄でどっちが弟かしか分からない。
そこに原付で走り始める俺。
これ以外の道が無く、もう腹を括るしかない俺はバイパスに乗るとき「殺すぞ!ボケがぁ!!」と泣きながら啖呵を切って走りはじめた。
トラックが早すぎて怖いのでなるべく左端に迷惑にならないようにむちゃくちゃゆっくり走っていった。
風は相変わらず強い。
向かい風と大型トラックが追い抜くときの風で、今俺どの風浴びてんねん状態だった。
バイパスの真ん中らへんでそれは来た。
「ビューーーン!!!!!」
見えるんちゃうかと言うぐらいの向かい風が俺を襲った。
ハンドルを取られて、左端の木の枝みたいなのにタイヤも取られた。
そしてバイパスで思いっきり転倒。
「ブー!!!」
クラクションの音。
死んだ!!!
そう思った。
頭をギリギリ交わすトラック。九死に一生。
25年間生きた中で1番死ぬと思った。
なんとか助かった俺はバイクを立て直し、バイパスで「ぎゃぁぁぁあああああ!!!」と叫んだ。
めちゃくちゃ怖かった。
人は死を感じると子孫を残さないといけないと言う本能から勃起するらしい。
再びバイパスを走った。
亀頭がズボンからはみ出す程勃起しながら。亀頭ライダー。
そしてようやくバイパスを抜けた。静岡県は広い。2日目の目標は静岡市。
これ以上怖いことは無い。あとはもう消化試合や。さっきまで号泣して叫んでいた俺はそこにいなかった。ちんちんもめちゃくちゃデカいし。
ここで俺の人生の教訓が生まれることになるとは、このときはまだ思いもしなかった。
油断禁物。
なんと茶畑で迷ったのだ。
ずっと同じ景色でおかしいと思ってた。バイパスを抜けて安心していた。
俺は茶畑の中でまた、大号泣をしていた。
苦戦しながら茶畑を抜け、なんとか静岡市に到着。
ホテルにチェックインし、テレビを見るとその日は春一番が吹く日だったそう。通りで風が強かった訳だ。
そして旅に持ってきていた所持金の3万円は8000円ぐらいになっていた。
足りない。これはヤバい。と焦った俺はスロットに行った。
4万円になった。1度死線を潜った男は強い。
スロット屋からチェックインしたホテルに戻ると所持金は2万円に。
帰り道に風俗に行ったからだ。
静岡の俺は富士山よりも豪快だった。
そしてホテルで寝て翌朝また原付を走らせ、東京まで難なく到着。
八王子で一回間違えて高速に乗りかけて戻ろうとしたらトラックにぶつかりそうになって亀頭ライダーになったのはご愛嬌。
そして上京してから2か月。俺の原付は
ぶっ壊れた。
R.I.P. YAMAHA JOG
頑張って書いたから目が充血するぐらいのサポートよろしくお願いします