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キモシェアハウス漂流記第十九話

キモシェアハウスに住んでからもうすぐで5ヶ月が経ち、初めての冬が来た。

夏も最悪だったのだが、冬は冬で最悪だ。

俺はガクヅケ木田の部屋の押し入れで寝ているのだが、この木田が夏は27度の静かモードで、冬は暖房をつけない人間なのだ。

夏はなんとか乗り越えれたのだが、初めての冬に今心が完全に折れかけている。

何故なら俺が寝ている押し入れのすぐ横はベランダに繋がる窓で、隙間風が直撃して毎朝体の先っぽが冷たくなって起きる。

どれだけ寝ても体が冷たいから寝た充実感が無く、少しの物音で起きる忍者並の浅い眠りになってしまっている。

これ以上寒くなったらどうなるんやろうという恐怖感を数週間味わい、氷河期に絶滅した恐竜の気持ちが日本一分かる男と言うキャッチフレーズを付けても違和感が無いぐらいに仕上がった。

そして冬のキモシェアハウスでの絶望はまだ終わらない。

この間朝、モンスターを飲みながらタバコを吸っていたら飲み口にコバエが6匹居た。

一瞬夏かと思った。

寒いのにゴミが多すぎてコバエが冬になっても産まれてくるのだ。

土岐に「冬やのにめちゃくちゃコバエ出る!」と言ったら「ね」と言われた。

俺が「ラーメンって美味しいよね」と言ったなら「ね」と反応されるのはまだ分かる。当たり前だから。

ということは冬にキモシェアハウスでコバエが出るのは当たり前だったということなのだ。

汚いが当たり前になった人間の末路を皆はご存知か。

俺はこの間それを見て引いた。

まぁお察しの通りサスペンダーズ古川さんなのだが。

ある日古川さんはお風呂から上がってパンツ一丁でリビングにやって来て料理を始めた。鍋料理だったのでお湯が沸くその間、部屋から着替えを持って来た。

着替えを持ってきたタイミングでお湯が沸き、古川さんは台所へ。そしてあろうことか持ってきた服を

一旦ゴミ箱の上に置いた。

しかも生ゴミが入っているゴミ箱だ。こんなん床に置いた方がよっぽど綺麗なのに、古川さんはゴミ箱の上に置いた。

すぐ写真を撮ったら、(なんでゴミ箱の写真撮るんだろ)という顔をしてこっちを見ていたので、この行動の異常さを彼は気づいていないのだ。

そして鍋を作っている古川さんに「〇〇(共通の知り合い)が古川さんがウーバーイーツしてる間に結婚しましたよ」と言ったら

「うわぁっ…うわぁぁぁあ!!」

と言いながら顔をくしゃくしゃにしながら吠えた。

こんな顔して悔しがれる権利が自分にはあると勘違いしているようだ。

また別のある夜大事件が起きた。

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