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ICFとミーシー(MECE)でリハビリの効果を最大化:機能・活動・参加の全体最適とは?

「機能訓練はしっかりやっているのに、なぜ子どもの生活は改善しないのか?」
そんな悩みを抱えていませんか?

リハビリテーションにおいて、「何に介入するか?」は重要なテーマです。
ある人は「筋力を強化すれば改善する」と考え、またある人は「歩行動作を繰り返し練習するべきだ」と考えます。さらに、「社会参加が最優先」とする人もいます。

これらの考え方はどれも間違いではありませんが、一つの視点に偏りすぎると、患者さんにとって最適なリハビリにならないことがあります。

私は 療育センターで10年以上勤務し、発達障害認定理学療法士として臨床経験を積んできました。さらに、大学院で健康科学を学び、一児の父としても発達を見つめています。

本記事では、ICFとMECEを活用し、リハビリ介入の偏りをなくす具体的な方法を解説します。子どもにとって最適なアプローチを実践し、臨床の質を高めましょう!

1. ICFでリハビリの全体像を捉える

ICFでは、健康状態を 「心身機能・身体構造」「活動」「参加」 の3つの側面から捉えます。

  • 心身機能・身体構造(機能レベル)
    例)筋力、関節可動域、感覚、神経筋制御、疼痛など
    →「筋力を上げる」「関節可動域を広げる」といった介入はこのレベル。

  • 活動(能力レベル)
    例)歩行、立ち上がり、書字、食事動作など
    →「歩く練習をする」「食事の動作を獲得する」といった介入。

  • 参加(社会レベル)
    例)学校への通学、友達と遊ぶ、職場で働くなど
    →「学校での移動をスムーズにする環境を整える」「職場での身体的な負担の少ない働き方を提案する」といった介入。

この3つの視点をバランスよく評価することで、リハビリの方向性を適切に決めることができます

ICFを活用した問題点の整理の例
例えば、「歩行が不安定な子ども」 の場合を考えてみましょう。

(1)心身機能・身体構造レベルの問題

  • 大腿四頭筋や腓腹筋の筋力不足

  • 足関節の可動域制限

  • 前庭機能の問題

(2)活動レベルの問題

  • 10m歩行がスムーズにできない

  • 障害物を避けながら歩くのが苦手

(3)参加レベルの問題

  • 学校の体育の時間に友達と一緒に走れない

  • 校外学習や遠足で長距離歩けない

このように、「なぜ歩行が不安定なのか?」を 多角的に分析 することで、偏りのないリハビリ計画を立てることができます。

2. ミーシー(MECE)でリハビリの偏りを整理する

ミーシー(MECE:Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive) は、
「漏れなく、ダブりなく」 という意味のフレームワークです。

  • Mutually Exclusive(相互に重複しない)
    → 項目同士が重ならず、ダブりがないこと。

  • Collectively Exhaustive(全体を網羅する)
    → すべての要素をカバーし、漏れがないこと。

リハビリで偏りが起きる原因をMECEで整理すると、以下のように分けられます。

(1)特定の機能に固執するケース

  • ある一つの要素だけに執着し、それ以外を軽視する

  • 例)「足関節背屈角度が足りないから歩けない」と考え、他の要因を無視

問題点:歩行は筋力、協調運動、バランス、環境要因などの複合的な要素で成り立っている
解決策:歩行動作全体を評価し、他の要素も考慮する

(2)機能面に偏りすぎるケース

  • 「関節可動域と筋力が上がれば解決する」と考え、活動や参加への介入が不足する

  • 例)「足関節の背屈可動域を拡大させ、股関節の筋力を鍛えれば歩けるようになる」と考え、歩行練習を軽視

問題点:関節可動域が改善し、筋力が向上しても、歩行や日常生活で使えなければ意味がない
解決策:活動・参加レベルの介入と組み合わせる

(3)活動・参加への介入に偏るケース

  • 「実際の生活場面が大事」と考え、機能の向上を軽視する

  • 例)「学校で困っているから、環境調整だけすればいい」として、機能訓練を行わない

問題点:機能が不足していると、環境調整だけでは解決しないこともある
解決策:機能・活動・参加のバランスをとる


3. では、どうすればバランスの取れたリハビリができるのか?

(1)ICFで全体像を把握する

  • まず「機能」「活動」「参加」のどこに問題があるのかを整理

  • 例)「筋力低下があるが、それだけが原因ではなく、バランス能力も関係している」

(2)MECEを意識して、偏りなく考える

  • 「この介入は機能・活動・参加のどのレベルに働きかけるか?」 をチェック

  • 例)「筋トレだけでなく、実際の歩行練習や、歩く環境の調整も必要」

(3)ゴールを明確にし、適切な介入を組み合わせる

  • 「その患者さんにとって最も重要なことは何か?」 を考える

  • 例)「学校での移動が課題なら、筋トレだけでなく、学校内の環境調整を行う」

MECEを活用したリハビリの実践例
例えば、「学校での移動に困難がある子ども」 に対する介入を考えてみましょう。

機能レベルの介入(筋力・バランス向上)

  • 大腿四頭筋の筋力強化

  • 足関節の可動域拡大

活動レベルの介入(歩行動作の練習)

  • 段差のある場所での歩行訓練

  • 通学路を想定した実践的な練習

参加レベルの介入(学校生活でのサポート)

  • 教室の座席を移動しやすい位置に調整

  • 先生やクラスメートへの情報提供

このように、MECEの視点を取り入れることで、偏りなくリハビリを計画できます。

4. まとめ

リハビリでは 「機能」「活動」「参加」 のバランスが重要です。ICFの視点を活用し、それぞれの要素を整理することで、偏りのない介入が可能になります。

また、MECE(漏れなく、ダブりなく)の考え方を取り入れることで、リハビリの重点が特定の領域に偏らず、全体を考慮したアプローチが実現できます。

ICFで全体像を捉え、患者さんの状況を整理する
MECEを活用し、リハビリの偏りを防ぐ
ゴールを明確にし、機能・活動・参加のバランスをとる

この視点を持つことで、子どもたちの 生活の質を向上させる効果的なリハビリ が提供できます。
ICFとMECEを活用し、より良いリハビリを実践しましょう!

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