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アラスカ旅行記⑥ 「アラスカ鉄道」

前の晩に10時間くらい眠ってしまったせいか、はたまた遠くの部屋で泣き止まぬ子供を叱るお母さんの声のせいなのか、ほぼ眠れない状態で迎えた2日目の朝。

アンカレッジ駅はホテルから近いですが、何があるか分からないので1時間に宿を出て、UBER(白タク)を頼みます。

UBERの良いところは、アプリ配車なので、行き先も事前入力で、GPSのナビでおおよその金額まで分かること。観光客的にもトラブルが起こりにくいしオススメ…

……でもなかった!

乗車したタイミングで電話が掛かってきて、話し終えて電話を切ると……おや?違う方向に向かってる。

(僕はGoogle Mapを見ながら)
「運転手さん、電車の駅の方向と逆なんだけど」
「え?あんたが事前に行き先を入力しないからだろ?」
「は?事前に入力してるし(UBERのアプリを見せる)!入力してないって言うなら、そもそもどこに向かってたんだよ?」
「バスターミナルだよ!」
「そんなこと一言も言ってないぞ」
「いや、お前はバスターミナルって言った」

押し問答の末、予定より10分遅れで駅のターミナルに到着。同時に車側のナビのAI音声が告げます。

「Daisukeの目的地に到着しました」

目を逸らす運転手。やっぱり分かっていながら、わざと遠回りしやがったな。自動決済で返金の手続きも面倒だし、所詮7ドルくらいだから許してやるけど、チップは絶対に払わねーし、おめーのことは最低評価つけるし、東京でお前が有名になるくらい方々で話してやるからな!うわっはっは!

●から■に行くのに意図的な遠回りも
全部記録されてるUBERってすごい

売薬宿、アル中、タクシーの遠回り……田舎の素朴な街にしか見えないけど、それでもアンカレッジはアラスカの州都。都会が抱える"病気"を、同じく抱えている街なのかも…


気を取り戻して、アラスカ鉄道。

アンカレッジ駅

アンカレッジからデナリ国立公園駅まで、車ならば4〜5時間で行ける距離を、山岳地帯なのもあって列車は8時間くらい掛けてゆっくり移動します。

ある程度は想像していたし、ある程度は途中から慣れたし、ある程度は中盤寝ましたが、それを差し引いても、アラスカ鉄道、まーじーでとんでもなく素晴らしかった!

「今日は彼の27歳の誕生日なの
皆でお祝いしてあげて」
と車内アナウンスされてた乗車員さんが
アラスカの州旗型に鋏を入れてくれる
完全に東山魁夷の世界
THE アメリカ!
曇天もまたよし
こちらはアンドリュー・ワイエスの世界
再び東山魁夷の絵画みたい
デナリ国立公園に入る
この川をサケが遡上するのか
予約時に残り1席しかなかったのに
銀河鉄道333ばりに空いているのは
どういう仕組みなんだろう
トナカイのルドルフ、また会えたね…
今日の調理法はイマイチだね…
(食堂車あります)
デナリ国立公園駅に到着


アラスカ鉄道の席が空いている理由が知りたくて調べてみると、アラスカ鉄道の収入の大半は貨物と不動産業らしく、そもそも乗客をたくさん乗せようとしてないのかも。

デナリ国立公園内は、環境保全も目的で、レンタカー会社が存在しません。移動は事前申込制の乗合タクシーか、公園外から乗り入れる車のみ。僕は予約してあった乗合タクシーでホテルまで20kmほど移動します。

ドライバーさん曰く、夏のアラスカは天気が崩れやすいらしい。この日も残念なくらい天気悪くデナリ山頂も一切見えない。こんな天気で明日予定してるデナリ山頂ツアーって実施されるのかな。

手前のアラスカ鉄道払い下げの
車両の中に泊まれるのかと思ったら
これは受付棟で宿泊は奥のコテージでした


にしても、大自然以外、本当に何も無い。ホテルにレストランも併設されておらず、最寄りのレストランまで歩いて1マイル(1.6km)。すぐに拾えるタクシーも無い。天気は良くないけど、歩こうじゃないか。

曇天に映える鮮やかな花
元気?
レストランに到着
The アラスカという感じの店内

標高のせいか、寝不足のせいか、ビール1杯でいとも簡単に酔っ払い、白夜で明るい道をダラダラ歩いてホテルに帰ってもまだ20時台。ホテルにはWi-Fiはあるにはあるけど、電波は弱い。通常のスマホの電波もほぼ届かない。

国立公園の中にわざわざ泊まっているし、何かしないと勿体ない気にもなるけど、雨雲で山も夜空も見えない。レジャーがひとつも無い。けど、ここまで何も無い状態って、ここ20年くらい一度たりともあったかな。少なくとも、東京の家を出発してから、つい先ほどまで、なんだかずっとバタバタザワザワしてたな。

街の灯りからも、電磁波からも、久々の海外旅行に浮かれるドーパミンからも、都会の闇に立ち向かうアドレナリンからも、遠くの部屋で子供を叱る怒声からも、久々の英会話に要する瞬発力からも、全て解放されて、あるのは窓外の小雨の音だけ。

僕はアラスカに来ました。

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