2024 U30ドリームトーナメント 新利根川戦 プラ編
「全然釣れねぇ…」
新利根川。
関東マディシャローリバーのレンタルボートフィールドとして長門川、将監川と人気を二分するメジャーフィールド。
ホームというほど知ってるわけでもないが、流石に知らないというには無理がある。
年に数回は大会で来るし、入賞経験もある。(※勝ったことはない)
なので大体どれくらいがアベレージで、試合ならどれくらいで勝てるか、一応は分かってるつもりではいるのだが、
試合一ヶ月程前に入ったプラでは散々な結果だった。
9/17
珍しく平日釣行。
立秋過ぎて暦ではおおよそ秋、だが真夏の様な暑さだった。
特に難しい事を考えずに全体をふらっと見て回ることに。
基本的に新利根川での自分のスタイルは川上流でのカバーや葦撃ち。
洲の野原+妙義水道は荒れたら出られない事、バスボートも入ってくることを考えて試合で行くことはほとんどない。
霞ヶ浦でバスボートに乗っていると風に強く、ある程度魚影が濃い場所…となると真っ先妙義水道が頭に浮かぶ人は多いと思う。
つまり試合中の選手だけじゃなく、バスボートを持ってるようなガチ勢ともバッティングする可能性がある。
そして今回の試合でもJBの試合と日程が被っていて9時までは入れない。
妙義水道が得意な選手が一人また一人と頭に浮かび、出来ればいつも通り川上流でのプランを…と考えていた。
ただ残念ながら一日やって怪しいバイトが1、2回あっただけで、持っていたポイントはことごとく不発だった。
不発、というよりほとんどの場所でルアーをアプローチすることすら出来なかった。
ナガエツルノゲイトウ
通称「地球上で最悪の侵略的植物」、こいつが理由である。
その旺盛な生命力は凄まじく、2センチ程度の植物片から再生し芽を出す。
一度その水域に入ってしまうと根絶は不可能。
陸に上げ乾燥させても雨が降れば復活し、
特に川との相性は最悪で台風や大雨などで増水する度に切れては再生、増殖を繰り返し水面を覆い尽くす。
また流れによって圧縮された塊は1ozシンカーですら場所を選ばないと貫通せず、仮に貫通してバスを掛けても中々出てこない。
これは極々個人的な価値観なのだが、ツルノゲイトウのパンチングはあまりしたくない。
純粋に苦手というのが一番大きな理由だが、釣りする時にどうしても切ることになるので増殖に手を貸すことになるのだ。
他人様の釣りに何かを言うつもりは毛頭ないし
特定外来生物にフックをかけて遊んでる時点で言えた口ではないのは重々承知しているのだが、こういうことが一度気になってしまうとどうしても性格上集中できない。
なので自分にとってツルノゲイトウが生えてる場所=釣りできない場所になる。
そして奴らは厄介なことに流れが淀む一級のポイントに流れ着いては繁茂するのである。
そういった事から近年では流石にコレを無視しながら釣りをするのも限界があり、自分の気持ちをどう整理したものかというのが目下の悩みである。
最後に来たのは今年の春。
その頃はまだ自分の釣りができたのだが
多くの生き物にとっては地獄の様な夏の暑さを乗り越えてなお、その旺盛な生命力は水面を覆い尽くさんとしていた。
9/21
まだ暑さ続く9月の下旬。
前回は川筋の持ってるポイントを巡ったがかなり厳しい手応え。
正直かなり気は進まなかったが、洲の野原、妙義水道方面もチェックすることに。
こういう時に限って答えはあっさりと返ってくる。
ただ釣れ方が良くなかった。
朝イチに入った水門でドライブビーバーのフリーリグ。
サイズには大変満足だが、釣れ方は前回散々試して不発だった釣りで、出来れば何か変えてから釣れてくれれば自分の中で納得も出来たのだがそうも行かず…
そして何よりオカッパリも入れる超どメジャーな水門での反応だった。
試合中こんな所に朝イチに入れたら苦労なんてしない…
その後は葦撃ちやハードボトム、ブレイク、真珠棚。
誰もがやるような定番エリアを片っ端から試す。
9時になってからは妙義水道もチェックした。
ナガエツルノゲイトウも元気だがコイツらも大概元気だった。
ここで気がついた。
「川も釣れんが、コッチも大概だわ…」
9/29
この日は松屋さんではJLBAが開催されるので、迷惑にならないように上流のボート屋さんから出船。
一週間仕事をしながら悩み続けた。
普段行く川上流ポイントはナガエツルノゲイトウで潰れ、チャレンジした洲の野原、妙義水道は微妙な結果、かと言って川の中下流域は大会の参加人数を考えた時に絶対にバッティングする…
悩み続けた結果、一つの可能性を思いついた。
「そうだ道を切り開けば良いんだ!!(物理)」
ルール的に問題はあるか要検討。
というかあれだけ切ったら増えると自分で言ってた訳で…
ただ普段からエンジン船で無理矢理突破する人はかなり多いし、他団体の試合でルールとして禁止されてるのは聞いたことがない。
バラバラにならないように丁寧に切断し、破片は全て陸揚げして、特定外来生物なので万が一自分の荷物に紛れ込まない様に最新の注意を払いながら30分ほどかけて突破。
これなら下手にエンジン船で突破するより増えないだろう。
有史以来、地球上に存在した全てのスポーツで勝つために雑草を刈ってる選手が他に何人いただろうか。
突破した先では明らかに水が変わっていた。
水温は変わらないのだが透明度が高く、何より生命感に満ち溢れていた。
コレは?と思い近くのブッシュにドライブビーバーのフリーリグをキャスト。
答えはすぐに返ってきた。
引ったくるような強烈なバイト。
慣れない除草作業で疲れて反応が遅れた!と思った瞬間に、水面に浮かぶ巨大な影。
「デカい!」
しかし無常にもルアーが空中を舞った。
間違いなくキッカーサイズ。
今の状況ならあの一本でお立ち台すら見えて来る…
呆然と巨大な波紋を見つめつつ、バラした悔しさよりも強く、心が沸き立った。
「勝てる…かもしれない…」
冷静にバイトがあった場所を見つめ要素分解。
他と何が違う?と考える。
思い当たったのは。
風が当たる水深のあるストレッチの中で、風が当たらない小さなスポット。
そこからは早かった。
あまり釣り込まず、ラフに、条件にあった場所をひたすら流す。
この3本で2キロは超えた。
もし最初のミスがなければ3キロが見えた。
全く釣れない、ウェイイン出来るかどうか、という状態から一気に勝ちが見えるウェイト。
現にこの日行われたJLBAの優勝ウェイトは1940g(わーさんとやすたかさんが優勝)
しかもツルノゲイトウを突破してまでこんなところまで登ってくる選手は多くない…
これは…イケるかもしれない…
1本釣れるかどうか?というレベルから一気に勝てるウェイトを獲ることが出来た。
確かな手応えと一抹の不安を抱えながら帰宅。
一抹の不安…
永遠に続くと思えるような過酷な残暑に陰りが見え
川原を抜ける確かな秋の気配を含んだ風と
空高く虫の声響く帰り道で頭をよぎる
(このまま季節が秋に進んだらパターンが消えるな…)
大抵こういう時の悪い予感は当たるものである。
10/5
何度か雨が降り一気に季節が変わった。
そしてこの日も冷たい雨が降っていた。
この日も上陸域をチェックするために上のボート屋さんから出船。
前回の条件に合う場所をひたすらにチェック。
「…全然釣れねぇ」
嫌な予感はしていのだが、案の定である。
一応同じ様な場所でバイト自体はあったのだが、ノンキーが1本獲れただけでバイト数も激減していた。
一段下がったか?と思い、ブレイクを巻いたりしても何もなく。
結局ほとんど反応を得ることが出来ずに終了。
びしょ濡れになっただけだった。
10/6
明けて次の日。
一応本番と同じ様に…と水神屋さんから出船。
パターンを見失ったので最初から全てやりなおしなので気は重い。
ボート屋周辺から全域を探ろうかと思ったのだが、大会と被り参加者に迷惑をかけるのも気が引けるので昨日と同じく、人が少ない最上流域まで一先ず走り、大会が終わりそうになったタイミングで下ってきてそこから探すことに。
イメージとしては一気に下がった水温でシャローは厳しいだろうと考え、一段下のブレイクを横の速い動きで、もっと厳しいようなら真珠棚をメタルバイブでと考えていた。
大会までは一週間、それまでずっと雨予報。
本番ではもう一段水温が下がり、相当厳しい戦いになると予想。
上流域を横の動きを中心にブレイクやハードボトムを探っていくも反応はほぼない。
巻き中心の釣りをして改めて思う、ツルノゲイトウが本当に邪魔である。
大会参加者に迷惑をかけないよう上から下まで探るがバスからの反応はなし。
要所ではシャローカバーにも手を出すが、明らかに小さいバスか、他魚種、主に雷魚のアタリ。
結局チャターで1本アメキャを釣っただけで最終プラを終える。
見失ったままで終わってしまったプラ。
分かったことはひたすらにタフで0か1の試合。
6本揃える選手はいないだろう、4本、下手したら3本くらい優勝、入賞なら1本でも可能性があるな…という事。
あまりにバイトが遠く、大移動は時間の無駄でルアーを水の中に1分1秒でも長く入れてる方がマシ。
パターンもポイントも見つからず、その時を釣るしかない。
結果、当日に水を見て判断、行き当たりばったりのトータル戦法で行くしかない。
我ながらなんとも情けない話だがその程度しか分からなかった。
今度こそ優勝を!と息巻き、初日の練習で絶望し、エリアを見つけ優勝の可能性を見いだしたが、それも崩壊。
結局そのまま新しい答えを見つけられず、本番へ向かうことに。
不安と絶望だけが残る。
大会までの一週間、空も心も曇ったままだった。
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