「どこで売ってますか?」
とてもわかりやすく、そしてとても喜ばしいメッセージが届いたのは昨日のことだ。「ああ、これは」と打ち込んでそのまま固まったのはiPhoneではなく僕の指だ。
「どこで売ってるんだ…」僕はその前日、目の前で作られたそれを手に入れる方法を知らないのであった。それに売り物としての価値があることは当然わかっていたものの、どこで、誰が、いくらで、売っているのかを知らないのであった。
しかしこれは喜ばしいことで、僕らがつくったもの(厳密にいえば参加した高齢者の皆さん)を「お金を出しても欲しい」と思ってくれているということだ。
「それで」やりとりを見ていた彼女はいつもの無表情でこちらを見ている。
「売るほどの在庫なんてどこにあるのかわたしにはわからない、倉庫には本しか積まれてないようだけど」そういう顔をすると、彼女は青と緑の間を分け入って消えた。いつもどおり気まぐれな足音だけを残して。
さぁ、販売をしよう。
チャームをたくさん作ろう。
チャームは500円、リングは2,000円で販売しよう。
一緒に作ってくれるばーちゃんたちも、喜ぶと思う。いや、きっと喜んでくれる。