浮かぶ国々: フランス
今回はフランスです。
フランスは北部に平野や丘陵地帯が広がり、南部に山間部が集中しており南のピレネー山脈、東のアルプス山脈は特に険しい国境地帯です。
面積は日本の1.5倍程度ですが、首都パリは東京23区の約1/6と小ぶりです。
日本からの海外旅行先としても人気で、常に上位にランクされています。
プロヴァンス
フランスには全部で96の県がありますが、いくつかの県がまとまって一つの地域圏を作っています。地域圏はフランス本土だけでも12あります。
上の画像は正確にはプロヴァンス・アルプ・コートダジュール(Provence-Alpes-Cōte d’Azure)地域圏の場所です。
プロヴァンスといえば、オリーブ畑、ラベンダーの香り、地中海の新鮮な魚介類を使ったブイヤベース、ブドウ畑とおいしいワインといったところでしょうか。
よく聞くプロヴァンスとプロヴァンス・アルプ・コートダジュールはどこが違うのかというと、・・・・・ほぼ同じです。
もともとは、かつてのプロヴァンス領主が治めた地域のことを言うようです。
フランスの人はこんな長い名前良く言えるなと思っていたら、Provence-Alpes-Cōte d’Azureの頭文字をとってPACAと呼ばれています。
このプロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏は名前は長いですが、日本人にはなじみの深い都市が存在しています。
ニース(Nice)、カンヌ(Cannes)、マルセイユ(Marseille)、あとフランスではないですがモナコ公国(Monaco)はこの地域圏の中にすっぽり収まっています。
この辺りの場所でよく聞くのがコートダジュール(Côte d'Azur)ですよね。日本語では紺碧海岸です。コートダジュールはプロヴァンスの海岸の事で、イタリア国境からマルセイユの手前ぐらいまでの範囲を指します。
19世紀に作家が「ラ・コートダジュール」という本を出版したことからこの名前で呼ばれるようになったようです。多分、紺碧の地中海が広がる地域だったことからコートダジュールと呼んだのでしょうね。
地中海に面したマルセイユの有名料理と言えばブイヤベースですよね。以前にマルセイユの港にあるレストランでブイヤベースを注文したのですが、その量が多いこと多いこと。
涙目になりながらひたすら食べ続けたのですが、とうとう途中でギブアップ。それ以来、私は日本に帰ってからもブイヤベースを食べることができなくなってしまいました。
でも隣のテーブルに座っていたおじさんは一人でぺろりとブイヤベースを平らげていました。恐るべしフランス人。
アルプス山脈
アルプス山脈の東側の画像です。
この画像では、アルプス山脈はフランス、イタリア、スイスにまたがって続いています。
ニース(Nice)からアルプスを越えるとイタリアのトリノ(Trino)があります。
北側はスイスとなりジュネーブ(Geneve)、ベルン(Bern)に続いています。
レマン湖(Lac Léman)はちょうどフランスとスイスの国境にあたり、南側がフランスで北側がスイスとなっています。
画像ではジュネーブがレマン湖の南にあるのですが、国境線が入り組んでいるためこのような位置関係になります。
モンブラン、リヨン、グルノーブル
オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ(Auvergne-Rhône-Alpes)地域圏です。
この地域圏には、ヨーロッパアルプスで一番高い山のモンブラン、過去オリンピックが開かれてグルノーブル、フランス第3の都市のリヨンがあります。
フランスで一番高い山はモンブラン(Mont Blanc)です。モンブランという呼び方が一般的なのでフランスの山だと思われがちですが、頂上はフランスとイタリアの国境線上に存在します。イタリアではモンテ・ビアンコ(Monte Bianco)と呼ばれます。フランス語のモンブランが有名な理由の一つとして、ケーキのモンブランがあるのかもしれません。
モンブランはヨーロッパアルプスで一番高いのですが、ヨーロッパで一番高い山はエルブルス山でトルコの北側にあり、こちらは七大陸最高峰の一つです。
カレー海峡/ドーバー海峡
フランスとイギリスの間の海峡の中の最も狭くなっている部分で、フランス側カレーとイギリス側ドーバーの間の海峡です。ドーバー海峡(Strait of Dover)は英語の日本語訳ですが、フランス語ではカレー海峡(Pas de Calais)です。
国と国の間の海峡の名前なので、呼び方が異なってもしかたないと思うのですが、無理やり日本に当てはめると青森県側からの呼び名の津軽海峡と北海道側からの呼び名の函館海峡の2つが存在するような感じでしょうか。
また、フランスとイギリスの間にある海のことを日本ではイギリス海峡(English Channel)、または英仏海峡と呼ぶことが多いと思います。
フランス語ではラ・マンシェ(La Manche)です。マンシェとは「袖」の事なのですが、海峡の形が洋服の袖に似ているからなのかもしれません。
カレー海峡/ドーバー海峡の両側は英仏海峡トンネルで結ばれており、高速鉄道のユーロスターが通っています。
この英仏海峡トンネルの英語名は”Channel Tunnel”で、直訳すると「海峡トンネル」ですが、フランス語名はトネル・ソ・ラ・マンシェ(Tunnel sous la Manche)です。
直訳すると「マンシェの下のトンネル」となり、マンシェは袖の意味でしたので「袖の下トンネル」となります。日本語に訳すと、何か別の意味に変わってしまいそうです。
英仏海峡
英仏海峡の地形です。
洋服の袖に見えるでしょうか?
ダボダボのセーターの袖なのかなぁ・・・。
オクシタニー
オクシタニー地域圏はスペイン国境のピレネー山脈と地中海に面する場所です。
オクシタニー地域圏のほぼ中央にフランス第4の都市であるトゥールーズ(Toulouse)があります。トゥールーズは航空宇宙産業が発達しており、飛行機メーカーのエアバス社や欧州宇宙機関(ESA)の本部があります。
実際のロケットの打ち上げは南米の赤道上にあるフランス領ギニアのロケット打ち上げセンターより行っています。
地中海沿いにあるモンペリエの街の名は聞いたことがある方も多いと思います。世界的なミネラルウォーターの会社であるペリエの本社工場があります。
初めてスペインに行った時、ペリエ製のミネラルウォーターを買おうとしたのですが、炭酸なしのミネラルウォーターが「コンガス」か「シンガス」のどちらだったか分からなくなって結局炭酸入り(コンガス)の方を買ってしまった記憶があります。
デニム発祥の地「ニーム」
モンペリエの東約40~50キロのところにある町で、生地「デニム」の発祥の地です。
ニームは温暖な地中海性気候を利用して綿花の栽培も行うなど織物の産地であり、近くにマルセイユの港から海外に織物を輸出することにより発展してきました。
制服やユニフォームなどの素材として使用されていたサージ生地をアメリカ等の海外に輸出する際に、「ニームのサージ生地(serge de Nīmes)」の名称が使われていたのですが、「サージ・デ・ニーム」のサージが省略されて「デ・ニーム」となり、それがデニムとなったようです。
コルシカ島
フランスの南東側、地中海にある島です。
ナポレオンの生誕地としても有名です。
画像からも険しい山岳の様子が分かりますが、一番高い山はチント山で標高2706mを誇ります。
フランスは以上です。
今回使用した3D画像はJAXAが一般向けに公開している地形データを編集・加工して使用しています。
フランスの地形画像を作るにあたり県毎に画像を作ろうとしたのですが、全部で96と数が多いので、今回は地域圏単位でまとめることにしました。
フランスの地方自治の体制は、地域圏(レジオン:région)、県(デパルトマン:département)、市町村相当(コミューン:commune)の大きく3つに分けられています。地域圏は日本の道州制のようなものだと思うのですが、県はそのまま残っています。
地域圏は2016年に統合が進み、現在の数となりました。
フランスでは地域圏の上に国があるのですが、ヨーロッパですので国の上にEUが存在します。