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アコギ旅の終焉:購入記

1.遂に!

アコギをついに買いました。実に、12月後半から3月半ばまでほぼ3ヶ月かかりました。前回にアコギ旅を開始したことを書いたので、今回は終焉するまでの流れをマニアックにお届けしたいと思います。ちなみに、私はギター中級者くらいだと自称してますw

前回の投稿で、求めているものが2つあるという事、そしてOM程度のサイズのギターが良いのではないかと探している事を書きました。具体的なモデル等の詳細は有料化しているので、その辺りが気になる人は上記を読んでみて下さい。

求めている事とは、1.弾き語りに使うこと 2.ソロギターも弾くこと です。

ギターを弾いている人はわかると思いますが、この2つは矛盾してるんですね。それなので候補が難しかったんです。

今回のアコギ探しの旅で試奏した総数は約50本です。これが多いのか少ないのかはわかりませんが、結構探したほうだと思います。物は試しと、気になったものはなるべく弾いてみた結果です。(みなさんは、どれくらい弾いてみて購入してるんでしょう?)快く弾かせて頂いた楽器屋さんに感謝です。

当初の条件は

・予算20万程度
・できればオール単板
・トップはスプルース

くらいの漠然とした感じでした。予算20万というのは、今手持ちのギターが定価15万くらいのギターだからです。もう少し良いのが欲しいというのと、できるだけ安いのがいいという希望です(笑)。単板なのは、合理的な理由はありません。ただの憧れですね。合板でも良い音がするものはあります。スプルースが希望なのは手持ちにシダートップのエレアコをもっているからです。

(ここからは主観になりますので注意してください。人によって弾き心地や音の良し悪しの感覚が違うので、私の感想が適切かはわかりません。)

2.探し始め:YAMAHAとの出会い

当初は弾き語りをメインに探していました。例えばGibsonのJ-45。音は良かったのですが、ネックが手に合いません。このGibsonのJ-45は恐ろしくサブタイプがあります。年代ごとやリイシューモデルなど自分に合う奴があるのかもしれませんが、それを探すのは大変だなと感じました。そして意外と胴が厚いので座って抱えた時に右手がやや大変です。自分にはあんまりしっくりこなかったんですね。じゃあ、もう少し小さいB-25ならばどうだろう、なんて具合にGibsonで探していました。結局、現行品のB-25はネックがしっくりこなくて、これでソロっぽいのは難しいなあと感じたんですね。これらのギターはオープンコードがメインでジャカジャカ弾くならアリだと思います。(osamurai-sanみたいにJ-45タイプでもソロ系もできるわけですが。)

ならばと、ネックがしっくりくるGibsonのコピー系を探すのはどうか。ところが今度は音が気に入りません。なかなか難しいです。それで一旦、Gibson系から離れることにしました。

そんな時に、YAMAHAのFS3というモデルが目に留まります。ちょっと不思議な形でオレンジっぽい色のギターです。偶然、楽器屋でみつけて試奏したら驚きました。FSはトリプルOサイズですが、低音感がしっかりしているんですね。箱がなっていて腹に触れている部分にちゃんと振動が伝わってきます。おお!これいいかも。そして安い!(9万弱なんですけど、それまで20万程度を見てたので。)衝動的に買おうかと思ったのですが、一先ずは落ち着こうと帰りました。

YAMAHAには格安ギターのイメージがあったので、中堅や上位機種に目が向いていませんでしたが、調べてみるとFS/FGシリーズというものがあります。(Lシリーズもあるのですが、この時はまだ考慮外でした。)

ネットで調べると、このシリーズを激推しているブログが見つかります。ふむふむ、いいギターなんだなあと。

楽器屋で実際にFSやFG、ピックアップ付きのFSXやFGXも試してみました。さらにこのシリーズには、3シリーズという中国産と5シリーズという日本チューンナップ版があります。つまり全部で8種類(FS or FG / 3 or 5 / エレアコ有 or 無)あるんですね。私の耳には3よりも5の方が良いとわかりました。3は明るめで元気な音、5はまとまった落ち着きがありやや深い音がします。それからFSとFGだと、FGの低音感がまさに弾き語りにぴったりです。エレアコにするかどうかで迷って、FGX5を試したのですが感覚的にピックアップなしの方がわずかながら生音がいいような気がしました。というわけでFG5が候補になったんです。

ところがです。ソロギターの要件としてダウンチューニングがあります。実際にFSX5で試してみると、ゆるくてうまく弾けません。これは駄目だなあと感じました。なんでだろうと思ったら、スケール長なんですね。634mmの弦長だとややダウンチューニングが厳しかったんです。(モデルによってはこのミディアムスケールでも問題がないものがあります。)

ということで、FG5はひとまず保留となりました。もちろんレギュラーチューニングで弾き語りするなら、心地よいギターですので、ドレッドタイプよりやや小さめなモデルをお探しの方は試してみるといいかもしれません。オススメの一本です。
このYAMAHAのシリーズはFG5に限らず全体的に良かったので、予算が15万程度だせる人はこれらの8本から選ぶと幸せになれるはずです。

ダウンチューニングをしても問題ないものということで、スケール長を意識することになりました。するとOMというものがあります。Martinが作った規格でトリプルオーサイズのボディにドレッドのネックを接続したものです。今後は、このOMを中心に探せば良いことになります。アコギ旅はOM探しの旅になりました。

3.OM探しの旅

まずMartinのOMはどうか。OMJM, OM-42, OM-28, OM-18などがあります。またマニアックにはOM-21やOOO-16GTという型番とは無関係にレギュラースケールのモデルもあったりします。残念ながら、これらは高いんですよね。安くても35万くらいからです。OM-28が40万弱。この中でも、OM-21には興味があったのですが、そもそも売ってなかったりします(って今調べたら、なんとクロサワ楽器で売ってますね)。
 中古も考えました。一本だけOM-28Vというモデルのビンテージを試奏しました。若干のVシェイプという事や、音が、よくいえば枯れている、悪く言えばあまりならなかったんです。また弾き心地的に欲しいとは思えませんでした。中古は良いものに遭遇したときに買うという白物って感じですね。身近に程よい中古がなかったので探索は諦めました。

高くても良いものなら、というのはよくわかります。私もそういうタイプですから。私の感覚では、今回のアコギ探しの旅で感じたのは、おおよそ30万という基準です。木材の値段とか技術的なこととか諸々で、30万前後に音の一定基準があるようです。アコギを、普通に良いと思われる材で、普通の設計で普通に作ると30万くらいになるという感じです。
 じゃあ、それより安い物はどういうものかといえば、どこかの部分をコストダウンにしてるんですね。木材等の素材や、技術的なこと、例えば機械か手工か、また人件費などにおいてコストダウンをしたケースです。安いものは、結局コストカットが様々なところに及んだからという事になります。
 逆に高いものは、プラスアルファしたものです。木材を希少材にグレードアップしたとか、装飾を施すとか、手工にするとか、コンター加工など特別な事をすると値があがります。それらは必ずしも、音を向上させるとは限らないものです。音のベースは決まっているので、あとの部分はその修飾なんですね。

では、40万前後のMartinはどういう事かといえば、およそブランドだと思います。他のメーカーと同等プラス10万くらいというイメージです。もちろんMartinの音がありますから、それを求めるなら仕方がないと思いますが、そこに含まれてくるブランド料を払うのはどうなのかと感じる所があります。結果的にMartinは今回は考慮から外すことになりました。

さてそれで、OMタイプの探求ですが、Martinを外してみて探索してみると、2つの方向性が見えてきます。一つはMartinのOMをコピーする方向性です。もう一つはソロ・ギターへの特化です。OMサイズのスケールをもつギターはどうやら、ソロ・ギターからの要求でもあるわけですね。私もある意味でその一人なわけですがw

そもそもアコギはローフレットでオープンコードで弾くような設計で、あんまりハイフレットを弾くことは考慮されていません。ソロギター向けはその辺りもちゃんと弾けるように設計されています。そのためワイドフレットで、低い弦高というのがスタンダードです。一方で、通常のOMはブルースやジャズなコードワークをメインにした楽器です。ネック幅は狭めで、握り込みやすい感じです。

もうちょっとざっくりいえば、指で弾くか、ピックで弾くかでしょうか。ソロギターはフィンガーメインなので、弦高は低めで反応が良いものが良くて、OMはピックで弾くのがメインなので、強いアタックがあっても飽和しない程度の反応性がいいわけです。

私が求めているのは、弾き語りが出来て、ソロ・ギターもできるというギター。なんだかわがままな要求に思えてきました(苦笑) ここからの方針は2つです。OMコピー系の中から、ソロが演りやすいのを探す。もしくは、ソロ・ギターの中で弾き語れるものを探す、です。もっと簡単にいえば指で弾いても、ピックで弾いても、応えてくれるギターという事になりますね。

このワガママに応えてくれそうなモデルは一体あるのかしらん?

そこで、探してみました。メーカーはMorris、Asturias、Headway、Switch、VG、Larrivee、Maestro、History、VINCENT(K.yairi)、AYERS、Furch、Cole Clark、Maton、Northwood、Godin、YAMAHAとまあ、幅広く探しました。全てのモデルを列挙すると結構な量ですが、OMというキーワードで探してみれば、それぞれにおそらくこれかというものが見つかると思います。

4.評価の条件

OMを探し始めた時に、こんな記事を読んで勇気づけられました。

ちょっと記事が古くなっていて、記事にあるOM-60やOM-21は実際には触れなかったのですが参考になりました。彼の選定基準は、弾きやすい事、ボーカルとの音量・音質バランスが良い事、チューニングが合う事、その他(見た目など)です。

私のギターの選定基準は、

1.価格
2.音
3.弾き心地
4.見た目

の4つです。OM付近に絞ったので似たようなものばかりを触るわけですが、そのうちに自分が何を基準に選ぼうとしているのかが明確になってきて、上記の4つに絞られました。先のブログ内のチューニングが合う等は価格が保証すると考えていて、自分とのマッチングはOM基準で担保されていると思っています。

この4つがオール5なら買いです。しかし、なかなか困難でした。そもそもオール4もなかなか出てきません。価格はともかくも、音と弾き心地が両立しているモデルすら、あんまりないです。更に見た目も良しとなると更に狭くなります。(もちろん「私にとっての」です。)

そうして、色々と探した中で、オール4を超えたモデルはいくつかあります。そのうちのいつかを特別に紹介しましょうw

5.評価が良かったギターたち

Headway HC-531

このモデルはカッタウェイ付きのOMタイプです。胴厚は浅めで芯のある音がします。低音は強くないのですが、中音域から高音にかけて良い音がします。弾き心地は最近のHeadwayの細いネックで握りやすいです。特にエレキを常時弾いている人の持ち替えには良いと思います。見た目フィンガー向けっぽいですが、ストロークもいけます。見た目もカッコいいと思うのですがどうでしょうか。価格だけが、やや高めで実売で27万ちょいでしょうか。一応、20万円台ということで価格を4とすると、オール4以上ですね。(価格4、音4、弾きやすさ4,見た目5)

Switch OM-70

あまり聞いたことないブランドかもしれません。私も今回探して初めて知ったブランドです。https://switchcustomguitars.com

ドルフィンギターというショップのオリジナルブランドだと認識していますが、違っていたらすみません。ちなみに制作は寺田楽器で行われています。

OM-70はなかなか痒いところに手が届く感じで作られています。良い材で、普通に設計し普通に作っておしゃれを施してみたらこんな感じというギターです。つまり良いギターなんですね。音は程よい感じで、案外低音が出ます。バランスがいいというのが率直な所でしょうか。逆に言えば、音は卒がないので特徴が少ないと思う人もいるかもしれません。また、なんかこう、日本製って感じがする音がします。どこが?と言われるとはっきりした事は言えないのですが、丁寧な音という気がします。それが好みならかなり良い選択肢です。フィンガーでもストロークでもオッケーのギターでした。

ネックの形状はローポジションがややV字です。いわゆるVシェイプよりマイルドなのでほとんど気にならないと思います。それから、ナット幅は43mmで細身です。個人的な意見ですが、日本人の手のサイズ感からいえば、ナット幅は43くらいが妥当でせいぜい44mmかなと思っています。最近の若い人は体格がいいのであんまり関係ないかも知れませんが、小柄な私としては、44.5や45mmのナット幅は正直手に余ります。ウエスタングリップ?という親指で6弦を押さえる奏法を使う人にとっては、やや無理があると思われます。そういう意味でも、43mmを選んだ企画の人は良く分かっているなと思います。

価格は実売で26万ちょいです。ん?と思う所でしょうか。見た目(インレイとかヘッド形状とかピックガードとか)を普通にしちゃって、もう5万円ほど定価を落としたら結構売れるんじゃないかなあと思いますが、どうでしょうか。

トータルで価格4,音4,弾き心地4,見た目5って感じでしょうか。

ちなみに寺田楽器が企画しているVGというブランドがあって、このVGとKEY musicとのコラボで、KTR-OMというモデルがあります。これ寺田楽器が、普通の材で普通にOMのギターを作ったらこうなったという感じのギターです。OM-70からいろいろな要素を剥ぎ取ったら、こうなるみたいな楽器でした。音は中庸という感じでした。可もなく不可もなく。ちなみにこちらもマイルドなVシェイプでしたね。予算はあまりかけられないけど、日本製のよい感じのOMが欲しいという方は一考に値しますよ。実売で13万くらいからでしょうか。

Maton EGB808 artist

急に方向性が変わりましたかw 店を回っている時にコールクラークの見た目が好みだったので試したんですよね。ところが生音はちょっと違いました。アンプ通すと良い音がしますが残念。それで、そういえば同じオーストラリア製のエレアコ、メイトンがあったなと思いつきまして、メイトンを試しました。artistとPerformerとNashvillとAustralianです。そこはエマニュエルモデルだろとファンに突っ込まれそうですねw

実際は、EGB808 artistを狙いにいったのです。音は良かったです(直前にコールクラークを弾いていたためかもしれませんが。←ごめんなさい)。ちょっとだけ弾き心地に違和感がありました。これはちょっと慣れがいるなと思った点です。その内に、店員さんがPerformerとEA808を出してくれたんですね。Performerの生音は正直、ちょっと残念です。まあエレアコという感じ。一方でEA808を弾いたらびっくりしました。エレアコという事を込みでも良い音がしたんです。倍音感が感じられてリッチな音がしました。あ、これアリだなと思いました。そしてネック形状もやや異なっていてartistよりもずっと手に馴染む感じでした。ただ、価格が厳しかったです。

前評判通り、メイトンは抱えやすく、ネックも弾きやすいものでした。

artistは、価格ギリギリ4(おそらく負けてもらって20万円台)、音4,弾き心地4,見た目4です。EA808は、価格3(実売37万!)、音5、弾き心地5、見た目4でした。予算が許せばEA808はオススメです。

Furch Green Gc-SR、OMc-SR

Furchといえば、YellowシリーズかRedでしょうか。ソロギターの代表格の一つです。音に深みがあって、なんとも言えない気持ちになります。こういう音のギターが世の中にあるんだと思うような音です。音が音楽的といえば通じるでしょうか。チェコ製のためかヨーロッパな音がします。Furchは通常45mmのナット幅です。やや太めですがネック厚は薄めなので、握りにくくはないです。全然狙っていなかったのですが、店員さんが20万前半くらいなら、こういうのありますよと、Yellow Gc-SRを出してくれたんですね。そしたら、その弾き心地のスムーズさと音の滑らかさに魅了されました。フィンガーには良くあっていると感じたのですが、ストロークはやや大人しい感じでした。良くも悪くもフォルヒの音がするという感じです。ただ、感覚的にやや太めのナット幅が気になりました。それで後日、別の所で、GreenのGc-SRを試したんですね。

Greenシリーズはナット幅が43mmというフォルヒには珍しいものです。音はYellowと全然違いました。ただ、これはこれで良いなと感じます。またネックも細くなっているので、違和感がありません。ただ、ちょっとだけフレット間隔が長いと感じました。そう、スケールが650mmなんですね。そして、筐体もOMより一回り大きいサイズです。これは気持ちの程度の事ですが、少しだけ全体的にギターが大きいなと思いました。ですが、その辺りは慣れも大きいのかなと。

価格4(26万)、音4,弾き心地4,見た目4のオール4でしょうか。LRのAnthem付きでなかなか魅力的なスペックです。

ちなみに、GreenのOMc-SRというFurchのOMも試奏しました。こちらも良かったです。音はやっぱりYellowとは別ものでした。唯一は1弦でしょうか。ちょっと弱いというか、反応が鈍いというか、自分が込めた力に対して、音が弱く感じるんです。サドルやナットの調整次第という感じがしますが、ひとまず試奏時に感じた事でした。こちらもオール4です。

どうもFurchの本領は45mmナット幅のYellowより上位という気がします。もちろん、Greenも良いギターですが、音感は違います。

YAMAHA LJ26, LJ36

FS/FGシリーズでネックの握りがいいなと思っていたYAMAHA。すっかり忘れていましたが、そういえばLシリーズというのがあったなと思いだして試奏してみました。

LシリーズはLLとLJとLSという3タイプがあります。(YAMAHAはこういうのが好きなんですね。規格の場合分けをするというか。)Lは大きいサイズで、Jがやや小さいミディアムジャンボで、Sがスモールです。ボディサイズにより、ストローク向け、バランス型、フィンガー向けという感じでしょうか。

今回の目的は弾き語り&ソロという欲張りでしたので、LJに目をつけました。そこでLJの26と36を弾かせてもらったわけです。

どちらも良い感じです。今までのどれとも違う感じがします。音に倍音感があり、リッチで整った音がします。作りもしっかりしていて卒がありません。さすがYAMAHA。そしてどうもスタジオ等の業界でも良く使用されているようで、リファレンス的な楽器のようです。SonyのヘッドフォンのMDR-CD900STが思い出されます。癖が少ない楽器という感じです。

LJ36はかなりリッチな倍音感です。最初に試奏したのですが、これはいいなあとずっと36ばかり弾いていたんです。もうこれにしようと思うくらいに。ところがしばらく弾いていると、音が常に優しくて丸い感じがしてきました。どんなふうに鳴らしても、良く聞こえてしまうという感じです。よくも悪くもまとまってしまうというふうに思いました。それで、LJ26に持ち変えると、ストレートな音になりました。やや雑とも言えますが、素直な音という感じです。長い目でみたら、LJ36もいいけれど、音に飽きはしないだろうか? むしろ、LJ26の方が修飾が少ない分、使いやすいのではないかと感じました。

たまたま試奏したLJ26はやや順反りで弦高が高く弾きにくかったのですが、音的にLJ26のほうが違和感がない気がしました。お店の人にネックの状態を伝えたら、すぐにロッドで直してくれたのですが、そうしたら俄然LJ26が良く思えました。

YAMAHAのLJはスケールが650でナット幅が44です。スケールが長いことでフレット間が開くのはFurchと同じ系統です。44のナット幅ですがこちらはほとんどきになりません。43と言われたら、そう思うかもという程度です。6年前にモデルチェンジした際にネックのエッジの処理が変わったようで、握った時に自然で違和感がありません。握り込んでも大丈です。

音のキャラクターは違いますがどちらも良いです。弾き心地ですが、個体差なのかモデルによる違いなのか、LJ26の方がやや薄めでした。特にハイポジ付近では。LJ36の方がしっかりしていて、やや太めでした。およそ比べないとわからない程度ですが、ネックはLJ26が良かったです。どちらも自然なネックと弦の感じで、おそらく試奏した中でもかなり良い方でした。

ちょっとだけ気になったのはボディサイズです。YAMAHAのギターは音量を稼ぐためなのか、音のバランスのためか、胴が分厚いです。大きな所で125mmほどあります。これ、Martinのドレッドノートと同等です。徐々に太くなるので抱えていて違和感はないのですが少々大きめな気がします。

LJ26は価格4.5(23万〜25万),音4,弾き心地3→4,見た目4です。
LJ36は価格ぎりぎり4(負けて20万円台), 音4.5、弾き心地4、見た目4です。

それにしても、YAMAHAのギターって、他のギターと同じような感じがしないのはどうしてなんでしょうか。ちょっとこう家電感というのか、独自感というのがあります。私のYAMAHAに対するイメージのせいかも知れませんが。YAMAHAをMartinやGibsonと同等のものとして並べた時に生じる違和感はなんなんでしょうか。

6.私が購入したギター

上記は、弾いた中でオススメの物件でしたが、どうだったでしょうか。試奏して実際に触った感想を含め、オススメできるものを取り上げました。

では、私はどれを買ったのか。気になりますか? 

結構、逡巡し続けたんです。上記の様にある程度、オッケーなギターたちが現れたわけですが、どこか踏み切れないでいました。唯一、これはというギターはEA808というMatonのギターでした。ただ、価格が予定外だったんです。予算より10万くらい高いわけですね。それで試奏した日は一旦帰ったんですね。2日間ほど考えて、かなり高いけど、ええい買ってしまうかと思った矢先に、なんと売れてしまったんです。この時はエラくショックを受けました。思いの外、落ち込みました。なんというか失恋に近い感じというのでしょうか。
 それで他のEA808を弾きにいってみたんです。ところが、あの時のような感じが出てこない。これ、いいなあとならないというか。個体差なんでしょうかね。それで見送りになりました。
 この教訓は気に入ったギターがあったら、それもグッと来るギターがあったら買っておけという事です。たとえそれで失敗しても、失うのは金だけですから(いやそれが問題なんですけどね。)まあ売って手放すなどもありますしね。みなさんも気をつけてくださいね。意外とすぐ売れちゃうことがあります。まあ、そういう時は縁がなかったわけですね。

それで、何か別のものを探そうと思うのですが、もうそれほど選択肢はなく、スルーしてしまったものなどから再度探そうという感じだったんです。それでもふと再度思い起こしたのがYAMAHAでした。Lシリーズを弾いてないなと。それが先の試奏の話です。それでLJ26が良いのではないかと思いました。ただ、試奏したLJ26のネックが反っていた事が気にかかります。まあ、よくあることでしょうけど、あんまり保存が良くなかったのかなと。それで、ちょっと保留して別の可能性を探ったんです。

その時ちょうど、検索にひっかかったモデルがHeadwayHC-Y's Concept Ⅱというモデルです。春になってちょっとだけ安売りになったんですね。それで予算の枠に入ってきた所を見つけたわけです。

ちょっと色白で、カッタウェイでノンピックガード。見るからにソロ向きでしょうか。でも、スペック的には結構しっくりきて、特にネックはHC-531と同じなので、弾きやすさはあるだろうと思いました。

いざ試奏してみると、やや小ぶりだけれど、音はよく響きます。そしてネックは予想通りいい感じです。見た目も白が強いけれど変に派手ではなくていい感じ。これはアリだなと思いました。ちょっと弦が滑る感じだけどこれはエリクサーだからかなと。

普段はこれで一旦、帰るんです。ちょっと落ち着いて考えるためですね。ですが、今回は違っていました。特に店員さんの結構押しが強くて、これで手を打ちましょうと。私が色々とだいぶ迷ってきた事がわかったらしく、しきりに勧めます。「これをスルーすると、またしばらくかかりますよ」と。他の候補、例えばLJ26などの話をしてみたのですが、店員さんの判断では、それもいいけれど、このモデルの方がより満足すると思いますよと勧めてきます。まあ単に売りたいという事なんでしょうけど、あながちアドバイスが的外れでもありません。この辺りが営業トークというやつですね。そして更に値下げしますよと。

逡巡しましたが、これも縁かなあと、このモデルを買うことにしたのでした。

このモデルもオール4を上記同様に超えています。いや、価格は4じゃないですね。ちょっと割り引いてもらった結果なんとか予算内になった感じです(20万円台に)。はっきりいって予算オーバーでしたが、このモデルは自分のニーズに合っていたので購入を決めました。

HEADWAYの安井さんというビルダーのコンセプトを精鋭の職人たちで実現したというモデルです。このモデルは色々詰め込みすぎてて、実は誰がどんなものを弾くかというコンセプトが”どっちつかず”なんですよね。

全体としてはソロ・ギター向けなのですが、いわゆるソロ・ギターに特化していないのが特徴です。ギター自体はフィンガー時の音の反応がよくなるような仕掛けがしてあります。まずはトップのホワイトスプルース(イングルマン・スプルース)。これは軽めの部材で、シダーっぽさがあります。振動しやすい材なので、フィンガー向けです。加えて筐体の厚さは薄めなので、音は反射しやすい傾向にあります。またカッタウェイでハイポジに対応し弦高も低く抑えられています(12Fの6弦で2.5mm未満、1弦は2mm未満)。そしてピックガードなしという設定。これらだけみれば全くソロ・ギタータイプです。一方で、ネックは薄めで、エレキに近いようなネック形状でピック弾きに対応します。ナット幅が43mmで握り込みもしやすいという特徴があります。ソロギターに対して弾き語り的なネックがついているという感じです。ソロギター向けにするなら、ネックの幅を44mm以上確保して弦間を広げるところですが、そうはしていません。43mm幅なのでピックによるストロークがしやすいと言えます。
 音作りですがブレーシングが34ブレーシングというHEADWAYの新しい方式で、中低音が広がるように作られています。実際に弾いてみると、ボディサイズ以上の低音感があります。またバックは3ピースになっていて、ローズウッドとマホの間の子です。これは音のバランスを取るためであり、見た目も特徴がでます。
 要は音はギター全体のトータルでバランスされるように設計されていて、音への反応性はフィンガー向けに作られている一方で、ネック周りはピック向きのアレンジになっているわけですね。

実際使用してみた傾向としては、ピックよりもフィンガー向けです。ピックで力強く弾くと音が暴れる傾向にあります。音がサチる場合もあります。ガンガン弾くというスタイルには向かないですが、ほどよいタッチで弾く分には、ピック弾きも有りだと思います。

とどのつまり、色々と良くバランスされていると言えますし、どっち付かずでもあるんですね。そしてそれがちょうど私のニーズと合う事になりました(笑)

ギターのコンセプト説明↓

デモ演奏↓

探しに探したニーズに合うギター。ひとまずこれが現時点での答えなのかなと思います。ようやく、ゲットして嬉しいです! ここからはギター自体がうまくなるように練習します!

追記:

と書き終えて、ニューギターを触ってみるととある事に気が付きました。そして愕然としています。まさに今しがた気がついたのです。このギターがなぜ良い音がするのかと、やや指に違和感を感じているかの理由が。

それは、このギターのフレットが高い事です。もしくは、ナットやサドルが高いのでしょうか。その結果として、指が指板に届かないんです。通常は押弦すると、指先が指板に触れると思います。

試奏時になんとなく思っていたのは滑ることでした。弦に力をかけると弦がすべるという感覚があったんですね、ちょっとした違和感です。でもそれは普段つかっていないフォスファー弦のせいなのかなと思っていました。指を見て弾かないので、その違いはよくわかってなかったんです。

このギター、すごくスキャロップド的なんです。ブレーシングじゃなくフレットの話です。エレキギターでもスキャプロップドした指板とかありますよね。軽く押して音がでるというヤツです。最初に触った時、アコギなのに、えらく軽く触っても音がなるなあと思っていたんですね。そしてバレーコードのときの違和感。それもギターの設定が理由でした。

ちょっと衝撃だったのでこうして書いていますが、フレットが高いアコギって普通なんでしょうか? 今までのギターではここまでフレットが高いものは使ってなかったので戸惑っています。指が指板に5,6弦で付かなくても普通ですけれど、1,2弦でもつかないくらいにフレットが高い?です。

これはHeadway特有? いやこのモデル特有なのでしょうか。購入時に全く意識してなかったのですが、こういう楽器として受け止める他ないようです。これが欠点なのか利点なのかまだわかりませんが、もし購入を考えている人がいたら、その点は気にしてから選んで下さい。

追記2:

おそらくですけど、これは狙った設計なんでしょう。ちょっと考察すると、スケール長が648でHEADWAYにしてはちょっぴり長いんです。その分弦のテンションはあがるはずです。それを緩和するためにサドルのピンを止めてひっかけるタイプになっています。なるほど、デザイン上だけでピンレスに変えたわけじゃなさそうです。それで、テンションを調整しておいてから、フレットギリギリまで弦高を下げるわけです。ピンと張った弦を押さえた時、上記設定だとアクションが小さくなります。素早い運指に対応できます。加えて、ハイフレット部位での押弦時のテンション感を減らせます。通常の弦高だと、ハイフレットに向かうほど、強く押さないと弦がたわみません。ですが上記設定だとフレットまでの距離が短くできて、弦を強く押さえなくても音をだせます。そしてテンションがかからないので、ピッチが狂いにくいということになります。

通常のギターがナット部が一番低くて、サドルが一番高いように弦が張っているわけですね。斜めになっていると。それをフレットごとで押さえて弦振動の長さを変えて音を作ります。購入したHeadwayギターは、極端に言えばナット部とサドル部で水平に弦を張って、それをフレットで押さえて音を作るという感じです。大正琴が分かる人は、それを想像するといいかもしれません。大正琴のレバーがギターだと指になるわけですね。

この形は弦のテンションを高めに設定できます。これは音をしっかり出すという意味で良い方向性です。そして弦高は低めにできて、ローポジからハイポジまでローアクションで弾けるというメリットがあります。

デメリットはなんでしょうか。それは、今までと違う押弦感覚です。エレキのスキャロップドフレットと同等になるので想像が付く人はいると思いますが、指が指板に届かないので感触が薄いことと、押し込みすぎるとピッチが不安定になる事です。アコギの弦はテンションが高いので、ピッチが狂うデメリットは小さいですが、弦だけを押さえている感じが増加する事はたしかです。今までのギター経験の感覚と違って、押さえた手が不安定に感じます。

この設定で、音質向上してハイポジでの演奏性が向上したわけですが、押さえた感が減りました。うーん、いいとこ取りとはなかなかならないものですね。

買った直後に意外なことに気がついてモヤモヤしています。今後、この設定になれていくのか、それとも気になっちゃうのかな。

実は、指板に指が届くほどの力で押さえること自体がそもそも、ギターには想定されていないのかもしれません。うまい人を見ていると、最小限の力で押弦しているように見えますよね。無理な力ではなく良い位置を軽く押さえているというか。
 初心者は力の加減がわからないので、指板に指届くくらい強く押し込むけれど、むしろ届かないくらいがちょうどいい力加減なのかもしれません。初心者が指が痛くてギターをやめちゃうわけですが、それは強く押さえすぎている可能性があるわけです。そして力を抜くことで素早い運指ができますよね。私がもっとうまくなれば、上記設定でも問題はないのかも?? なんだか色々考えさせられる事案です。

追記3:

HC-Y'sの弦を付属のエリクサーのライトから、ダダリオのカスタムライト(ブロンズ弦)に換えました。音は張りがなくなってしまいましたが、だいぶ弾きやすくなりました。というか、ライト弦のまま、指で弾くのは右手がつらく、左手も滑るし押さえてもガチガチだし、とてもじゃないけれど、そのまま使うのは無理でした。正直いってHeadwayのギターにデフォルトでエリクサーのライト弦は硬すぎて、誰も使い続けられないのでは? と思っていますが、どうでしょうか。硬めのピックで、かなり激しくピッキングする人以外でデフォルトを維持するのは不可能ではないかと。
 メーカーにも、この硬さの弦が現実的かどうか考えてほしい所です。Headwayのギター自体が頑丈なので、テンションの高い弦をはると文字通り高いテンションになってしまっている気がします。試奏時にこのテンションだと、購入をやめちゃう人が結構いると思われます。音も硬くなってしまうし。

替える前に、半音下げチューニングを試みたんですよ。どこかのサイトで、半音さげると、テンションが10%程度下がると。それで、だいぶ緩和されたことから、こりゃテンションが高すぎると判断。

エリクサーのサイトからテンションを探してみました。デフォルトでついているのは、フォスファ―ブロンズ NANOWEBコーティングです。

テンションのポンド表記:1弦~6弦で、

ライト:             23 23 30 30 30 26
カスタムライト: 20 20 25 30 30 25

と記載があります。一方で、半音のダウンチューニングだと、単純に10%オフだとして、

ライトの半音ダウン:  21 21 27 27 27 24

となります。この状態でもまだ低音弦がやや重く音量があります。もうちょっとタイトな音にしたいなと感じました。そこで、もう少し調べてみると、ブロンズ弦だと、同じカスタムライトでもテンションがやや低いんですね。

ブロンズ弦カスタムライト:20 20 25 30 28 24

こちらの方がライトの半音ダウンに近い雰囲気です。もちろん1,2弦のテンションが低いので全体にも影響を与えるので、数値の限りではありませんが、フォスファーのカスタムより、更に一歩低音弦のテンションが低いわけです。(弦の太さはどちらも一緒です。けれど素材で実際のテンションは変わります。)

そこで、単純にフォスファーのカスタムライトでも良いのですが、プラスアルファの効果を狙って、ブロンズ弦のカスタムライトを選択してみました。

またエリクサーは滑るのでやめて、ダダリオのブロンズ弦という事になりました。

換えてみて思うのは、音は軽くなりましたが、ずっと弾きやすいです。想定していた低音の低減もおおよそ狙い通りです。ちょっと減りすぎた感はありますね。ブロンズ弦のため高音が目立つので相対的なものかもしれません。次回は素直にフォスファーのカスタムライトでも良いかなと思います。

テンションが決まれば、コーティング弦にも手をだしてみたいですね。

それにしても、はじめからカスタムライトでいいくらいです。Headwayさんには、弦のテンションをもうちょっとプレイヤー的な観点で考えてほしいですね。


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