「性自認に基づく差別は国際人権法違反」を抑々理解せず、性的少数者に対する差別はやめない一方で、LGBTの定義、特にTのgender identityや定義に拘泥し踏み絵を踏ませるように詰問するヘイトスピーチが横行している。聞く側は関連した専門知識や知見も持たず検証し得る専門的な職歴も持たずに、何故か聞く権利があると錯覚=「マジョリティしぐさ」して「ジャッジ」し、主観的に瑕疵のレッテルを貼り針小棒大にあげつらうことによって性的少数者だけでなく、彼らマイノリティの人権を守ろうとする人々をネガティブな印象操作で陥れる。そうした悪印象操作、マイノリティを非人間化悪魔化したネガキャンで国際人権法違反である性的少数者への差別を意気揚々と繰り返すヘル日本のプライド月間が酷過ぎる。
Sesame Street celebrates Pride Month 維新梅村が難民申請をした当事者だけでなく支援者にも問題があるかのように「ストーリー」を捏造し、事実に基づかない、但し妄想に基づいた荒唐無稽な陰謀論で悪印象に誘導したのと同じ構図も。「モラル・パニック」に特徴的な、少数者周縁者というアウトサイダーに対する「敵意」を「懸念」を装ったストーリーで粉飾し、敵意という陋劣な渇欲や差別を「不安」や「恐怖」のコーティングで煽っていく。ナチス排外主義が煽動した、性的少数者含むマイノリティへの攻撃や迫害もそうして始まった。その典型のひとつが今から100年前、関東大震災時の流言蜚語「井戸に毒」で多くの朝鮮人・中国人が虐殺されたヘイトクライム。また、Qアノン陰謀論「ピザゲート pizzagate」同様、米国極右の「SaveTheChildren」タグが今日本で「大人は子どもを守ってください」にスライドし性的少数者を迫害排除する名目になっているという悍ましさ。性的少数者に対する排外主義や迫害、差別は憎悪のピラミッドを見てもわかる通り、こうした歴史の延長線上に連なっていることも銘記すべき。
ヘイトピラミッド 先日(2023年4月末~5月頃)には「更衣室」デマがSNS(Twitter)やYouTubeなどで拡散された。疎外されているアウトサイダー、性的少数者が社会にネガティブな影響を与えるという不安、危惧を装った「排除」、恐怖感で掩蔽したデマ由来の「社会的回避」も煽動されたが、Twitterで「アイデンティティを理由にしてその人に対する恐れを広め」ることはルール違反。なお、「更衣室」デマは以下の通り5月23日に施設側から否定されファクトチェックもされている。
「当社施設に関するSNS上の虚偽情報の流布等への対応に関するお知らせ」 …… 「SNSで発信されている内容は虚偽情報」
2023年5月23日お知らせ Twitter さて、国連によるLGBTIの定義は以下の通り。
What does LGBTI mean? What does LGBTI mean? LGBTI stands for lesbian, gay, bisexual, transgender and intersex. While these terms have increasing global resonance, in different cultures other terms are often used to refer to people who are attracted to people of the same gender, people with gender identities that differ from the sex assigned at birth, people with nonbinary identities and people whose sex characteristics do not fit typical definitions of male and female (such as hijra, meti, lala, skesana, motsoalle, mithli, kuchu, kawein, travesty, muxé, fa’afafine, fakaleiti, hamjensgara and Two-Spirit).
UN Free & Equal また、ハーバード大学神学部の研究等によれば、南アジアなどでノン・バイナリー(non-binary)、第3の性で生き、生きてきた人たちは約2千年前に遡る長い歴史を持っている。
While recognition of genders outside male and female has only recently been discussed in Western societies, in Hindu society, people of non-binary gender expression have played important roles for over 2000 years. Called the third gender, evidence for their existence in Hindu society can be found in Hindu holy texts like the Ramayana and the Mahabharata, where Hindu hero Arjuna becomes the third gender. Third gender people have often been revered throughout South Asian history; for example, Muslim rulers of the Mughal Empire in the 15th to 19th centuries were generous patrons of third gender Indians. Many rose to significant positions of power under both Hindu and Muslim rulers. In 2014, it was estimated that around 3 million third gender people live in India alone.
HARVARD DIVINITY SCHOOL The Third Gender and Hijras HINDUISM CASE STUDY - GENDER | 2018 What does the acronym LGBTI mean? LGBTI stands for lesbian, gay, bisexual, transgender and intersex. It is commonly used to refer to people who are attracted to people of the same gender, people with gender identities that differ from the sex assigned to them at birth, people with nonbinary identities and people whose sex characteristics do not fit typical definitions of female or male. While this acronym has universal recognition, different people in different contexts identify with other terms including hijra, meti, lala, skesana, motsoalle, mithli, kuchu, kawein, travesty, muxé, fa’afafine, fakaleiti, hamjensgara and Two-Spirit.
UN OHCHR (Office of the High Commissioner for Human Rights) 一読してわかる通り、性的マイノリティは歴史的にも世界各地でそれぞれのアイデンティティで存在・実在し、当該地域でそれぞれの名前で呼ばれそれぞれの特性やスタイル、呼称を持ち長い間生きてきた(生きている)、という歴史性も鑑み文化人類学的観点でも見なければならない。だからこそ国連の定義は、歴史的背景や文化人類学的広がり等も踏まえた包摂的な「umbrella term(包括的な用語、総称)」にもなっている。「科学的(「生物学的」含む)」定義に拘るヘイターはgender identityの歴史的背景にも無知で、文化人類学的広がりや多様さ等を矮小化し過ぎる。このように歴史性も踏まえて包摂的な(つまり、限定的ではない)定義スタイルの記述は先住民に関しても国連の文書で採用されている。どちらのマイノリティも歴史的に不可視化され疎外迫害されてきており、現存し同じ世界に生きている彼らマイノリティへの差別は未だ解消されていない、即ちアイデンティティや権利(人権)がいろいろな意味で確立(認知・承認)も尊重もされていないという現実がある。何十年、何百年も前から共に生きてきた、しかし不可視化され迫害されてきたマイノリティへの差別を今すぐ解消するという大きなミッションの前で国連は現実に即し包摂的な「umbrella term 」で反差別をより普遍的なミッションにしている。
Transgender is no longer classified as a mental disorder. WHO: Transgender(Gender Incongruence) is no longer classified as a mental disorder. また、「GID(Gender identity disorder/性同一性障害)」は2013年に米国精神医学会発行の「DSM(Diagnostic and Statistical Manual Disorders/精神疾患の診断・統計マニュアル)」第5版=DSM-5で「性別違和(Gender Dysphoria) 」に変更され、2019年にはWHO(世界保健機構)作成の「ICD(International Statistical Classification of Disease/国際疾病分類)」第11版=ICD-11で「性別不合(Gender Incongruence) 」に変更された。後者では精神疾患の分類からも外された。すなわち、性自認の不一致を従来のように「病気」という扱いはしなくなり、「性の健康に関する状態」という項目の中に。一方で、当事者の希望で医療行為は引き続き受けられるようになっている。 (参考:「IDEAS FOR GOOD」 )
米国精神医学会は性別違和に関する項目にて「多様な性表現は、多様な性自認と同様に、精神障害を示唆するものではありません」
「IDEAS FOR GOOD」 WHOの「性別不合(Gender Incongruence)」に関する記述を見ても、自然科学や生物学という言葉はなく、国連のLGBTI定義同様、多様な性の持つ、長い歴史的バックグラウンドや文化人類学的広がりを踏まえ、現実に即してアップデートした包摂的な記述になっている。
What does the ICD revision aim to do for transgender health? ICD-11 has redefined gender identity-related health, replacing outdated diagnostic categories like ICD-10’s “transsexualism” and “gender identity disorder of children” with “gender incongruence of adolescence and adulthood” and “gender incongruence of childhood”, respectively. Gender incongruence has been moved out of the “Mental and behavioural disorders” chapter and into the new “Conditions related to sexual health” chapter. This reflects current knowledge that trans-related and gender diverse identities are not conditions of mental ill-health, and that classifying them as such can cause enormous stigma. Inclusion of gender incongruence in the ICD-11 should ensure transgender people’s access to gender-affirming health care, as well as adequate health insurance coverage for such services. Recognition in the ICD also acknowledges the links between gender identity, sexual behaviour, exposure to violence and sexually transmitted infections.
WHO Gender incongruence and transgender health in the ICD It's never just a comment. rise above hate. #NoToHate UN ヘイトスピーチと闘う国際デー(6月18日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ(抜粋) …… 国連では、表現の自由を保護しながら、誤情報、偽情報、ヘイトスピーチの拡散を低減させることを目的とした、デジタルプラットフォームにおける情報の誠実性のための自主的な行動規範について、各国政府、テクノロジー企業などと協議しています。 「ヘイトスピーチと闘う国際デー」を迎えるにあたり、包摂的で、公正で、そして平和なコミュニティーと社会の実現を進め、すべての人々の権利と尊厳を保護しながら、この有毒で破壊的な現象を阻止し、終止符を打つための取り組みについて、心新たに努力していこうではありませんか。
ヘイトスピーチと闘う国際デー(6月18日)に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ 6月18日は #ヘイトスピーチと闘う国際デー 英語では「International Day for Countering Hate Speech(ヘイトスピーチに「カウンター」して闘う国際デー)」。今年のフレーズは「Hate speech: Turning the tide (ヘイトスピーチの流れを一変させよう)」。デマやフェイクニュース、陰謀論で極右排外主義やヘイトに傾く流れを引き続き変えていきたいと思う。日本には包括的差別禁止法の制定 が早急に必要。それまでは、ニーメラー(Martin Niemöller)の言葉に由来する詩「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」の知性で、排外主義と闘うしかない。
ナチスが共産主義者を連れさったとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。 彼らが社会民主主義者を牢獄に入れたとき、私は声をあげなかった。社会民主主義者ではなかったから。 彼らが労働組合員らを連れさったとき、私は声をあげなかった。労働組合員ではなかったから。 彼らが私を連れさったとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていなかった。 Als die Nazis die Kommunisten holten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Kommunist. Als sie die Sozialdemokraten einsperrten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Sozialdemokrat. Als sie die Gewerkschafter holten, habe ich geschwiegen, ich war ja kein Gewerkschafter. Als sie mich holten, gab es keinen mehr, der protestieren konnte.
マルティン・ニーメラーの言葉に由来する詩「彼らが最初共産主義者を攻撃したとき」 念のため。国際法は国内法に優先。
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