教えてもらった「大切」な言葉
1、親友と仲直りをした
昨日親友と仲直りした。
この3週間ギクシャクしていた。
僕には心当たりがあった。
だから、あつこをいつものカフェに呼んでいた。
「今日は大切な話がしたいです」
「うん。」
「謝りたいことがある。」
「うん。いいよ。話して。」
「2週間前、電話で話したことを謝りたい。
僕はあの時、本当によくなかった。」
僕はその電話で仕事のストレスを彼女にぶつけたのだった。
上司が無理難題を押し付けてくることを
あつことの電話の中で僕は力説していた。
そしてあつこに、
「私は私で人間関係で心配があるの」と言われてしまった。
彼女には僕の難しさがわかってもらえると思っていた。
「そっか、大変だね」と一言言って欲しかった。
寂しさと惨めさから、「そうだね。お疲れ。」と一言つぶやき
冷たく電話を切った。
僕は寂しさから、怒っていた。
そんな電話だった。
正面に座っているあつこは
「ふー」っと大きな深呼吸をしていた
「あのね、全然違う」
どうやら僕はずいぶんな見当違いをしていたらしい。
2、和製ジャンヌダルク、あつこ
質実剛健。臥薪嘗胆。
あつこはそんな言葉を地で行く人だ。
大学病院の看護師として働いており、
夜勤明けでも構わず、一日中遊ぶ。
やりたいことに一生懸命取り組み、努力する。
日々勉強をする。
人のために頑張り、何かを成し遂げたいと言う
心で溢れている。
言葉が鋭く、思ったことを何でも口にする。
命を削るような生き方をしている彼女を
「きっと前世はジャンヌダルクだろうな」
出会った8年前からそう思っている。
いつの日か彼女の逆鱗に触れ、
ジャンヌダルクよろしく、
ボロボロにやられてしまうのではないか
と恐れてもいる
自分とは正反対な性格であることを感じ
嫉妬と尊敬、自己嫌悪が
入り混じったような気持ちになる
そんな彼女とどのようにして友達になったかは
また別の話。
そんなバイタリティに溢れる彼女と
人生の価値について語る時間が大好きだった。
僕らの関係は人生の価値を語り合い、
そして互いに尊敬している。
そんな友達である。
3、「大切に思っている」と言うこと
「ふー」っとため息をついたあと、
「あのね。全然違う。」
心臓がきゅっとなるのを感じた。
「そんなことは怒っていない。
気持ちをぶつけられたとも思ってない。」
「はい。」と力なく僕は言う。
「その1週前の電話。あなたの誕生日。」
「うん。よく覚えている。」
彼女は僕の誕生日に電話をくれたのだった。
電話への感謝と共に、
自分が人生を通して感じている
「孤独感」について少し話したのだった。
「私はあの電話の後、涙が止まらなかった。」
「えっ?」
沈黙。
あつこは涙していた。
見ているだけで心が痛かった。
「あなたの孤独を知っている。
知れば知るほど、私は虚しくなる。
遠く感じてしまう。
これほどまでに分かち合っている仲なのに」
口から臓物が出てきてしまうのではないか
そう思うほど、僕の心は痛かった。
「あなたは一人じゃない。
伝えたいのに、きっと伝わらない。
それがひどく、寂しい。
気持ちが混乱してしまっていた。
どうしていいかわからず、
冷たくあたっていた。
それはごめんね
でも、、、、
大切に思っている。」
僕と彼女は、別に恋人同士ではない。
ただの友人である。
友人がここまで自分のために涙してくれている。
それだけで僕は涙が止まらなかった。
僕は涙ながらに、「ありがとう。ごめんね。」
と一言言うので精一杯だった。
「大切に思っている」と言う言葉を
人生で初めて言ってもらった。
大切に思ってくれる人がいるのに、
「自分が孤独である」とか
「自分はだめなやつだ」とか
「生きている意味がわからない」だとか
そういうことを感じることが
ひどく失礼に思った。
「大切に思っている」
こんな素敵な言葉をもらったのだ。
胸を張って、今日も生きたいと思う。
そして誰かに対して、
「大切に思っている」と伝えよう。
僕がそうしてもらったように。
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