【ARI】【25周年】ジェットコースターのような日々 #ガラガラヘビの喉の奥【あり担②②】#EmbraceTheChaos
下馬評を覆しに覆してクネクネと最終決戦まで登ってきたガラガラヘビ軍。勢いそのままに最後の敵を呑むことはできるのでしょうか。
Prologue 戦績と戦力分析
今シーズンの対戦成績は3勝4敗。
5月2日と3日、Seagerをケガで欠いてるタイミングでの対戦と、
8月21日と22日、お互いにポストシーズンをはっきりと意識している時期での対戦。
5月3日の試合はこのポストシーズンで投げる度に自己ベストを更新しているPfaadtのデビュー戦。4.2回を投げ4本のHRを打たれるなど、メジャーの洗礼を浴びました。
もう一つ印象的なのは8月21日の試合。Montgomeryに8回4安打無得点と抑え込まれますが、9回にMarteがChapmanから同点HR。11回に2点を取られるも、その裏に2アウトからPerdomoとPhamのタイムリーで3点を奪って逆転サヨナラ。
この時点で65勝61敗、ポストシーズンに手が届きそうな中、SD-TEX-CIN-LADのコンテンダーとの連戦でのこの逆転勝利は大きな自信になったことでしょう。
Game1:ミゲルカストロくじ・大凶
対戦打者1、被本塁打1、サヨナラホームラン、負け投手
Miguel Castroクジ・大凶
冗談は縦置き、、、
Thompson、Ginkel、Sewaldの勝ちパを使い切っての延長戦でしたから、負けるのは時間の問題。
かといってセーブ失敗のSewaldを責めるわけもなく。
先制点を許し相手に主導権を握られた中でも、MLB新記録となる4度目の1試合4盗塁の機動力とリリーフ陣含めた鉄壁の守備で試合を支配。追い付かれても勝ち越し点はHR。
機動力・長打力・ブルペン。このポストシーズンで築き上げた3本の柱を全面に押し出す試合展開でシリーズ初戦の内容としては文句なしのものでした。
めった打ちを食らう対象がSchwarber & HarperからSeager & Garciaに変わっただけ。その戦い方なら慣れているぞ!
また、延長戦はタイブレークではなく更地スタートですよ、というのをすべての野球ファンに示したGame1でした。
Game2:Tommy Phamという好漢
この試合で4打数4安打。ワールドシリーズ史上初の5打数5安打がかかっていたPhamでしたが、9回の第5打席に代打を送られて交代。
新記録のかかったPhamになぜ代打を出したのかLuvullo監督への疑問の声があがりました。
実はこれはPham自ら交代を要請し、Petersonに初打席をプレゼントするために頼んだようです。
この夏にチーム加入した者同士であり、ともに7球団目。
PetersonはLADとのディビジョンシリーズではロースター入りしたものの、PHIとのリーグチャンピオンシップシリーズでは外れていました。
このワールドシリーズで打席に立てる機会はほとんどなかったでしょう。そんなPetersonを気遣ったPhamの心意気に感服するばかりです。
Phamの獲得はクラブハウスでのカルチャーも重視するARIにとって大きな存在となりました。Luvullo監督とHazenGMはPhamの選手としての活躍だけでなく、クラブハウスでの言葉や試合への準備、チームメイトへのアドバイスも称賛しています。
移籍して間もないころ、Thomasのバッティング練習をみて、スイング中に下半身の違和感に気づき、打撃コーチを通してアドバイスをしたことがあったそうです。
アドバイスを受けた後8月の打撃成績は向上(特に対変化球のbarrel 33.3%→41.7%)しています。そしてなによりあの代打2ランHRにもつながっていたでしょう。
若手が中心のチームにおいて、正しい方向へと導いてくれるベテランの無形の貢献は計り知れないものがあります。
Game3:怪我の功名??
このポストシーズンでの攻め方は一貫しています。
リーグチャンピオンシップではWheelerに対してもNolaに対しても、ワールドシリーズでもEovaldiとMontgomeryに対しても、同じ。
それは、1巡目の投球から傾向を掴み、対策を練り、2巡目にその作戦を実行して点を取るというパターン。
Scherzerに対しても同じよう1巡目はデータ収集の側面もあってか打者11人で無得点。2巡目に入るところ、チームとしての決め事を共有し、団結し、全員で攻略をしていくとスイッチを入れたときでした。
Scherzerが背中の張りでここで降板。打者一周りとしか対戦しなかったのは、文字通り”怪我の功名”だったのかもしれません。
2番手のGrayに対し傾向と対策を掴みかけたころにはもう相手の勝ちパターン。これでは時すでに遅し。
1周り3イニングずつを投げ6回までをまかなう。球数制限のある国際試合などでは理想とされる形。
その理想形を展開されては歯が立ちませんでした。
Game4:ガチャのようなもの
先発の用意できないGame4はブルペンデー。
リーグチャンピオンシップシリーズで成功したため、勘違いしがちですが、元々は弱者の戦術。投手を使えば使うほど調子の悪い投手が出てくる確率が高まるので、大きなリスクを伴うもの。
先制点がより重要な要素になってくるポストシーズンともなればその危険性はさらに高まります。
基本的な考え方としては『調子の悪い投手が出てこないことを祈る』ガチャのようなものですが、この日のガチャは『調子の良い投手が出てくることを祈る』ものになってしまい、そしての当たりが5番目に出てきてしまう引きの悪さ。
Game5:Untitled
現地は11月1日。
贔屓チームの応援ができる大変有意義な11月でしたが、惜しくも1日で終了。
試合の内容について振り返ることはしません。若いチームのワクワクするジェットコースターのようなMagical Runはここで終わりを迎えました。
思えば8月末から”ポストシーズン進出”を目標に戦ってきたこのチーム。
あえて厳しい言い方をするのなら目標をポストシーズンに設定していたから最後ワールドチャンピオンになれなかったのかもしれません。TEXもPHIもワールドチャンピオンを目標に夏場からチームの戦力を整えていたはずです。
ただ、ポストシーズン進出の目標を果たしたうえで、さらに3つのシリーズを勝ち進んだことは事実。
本来の力以上のものが出る快感、勝つたびに成長した実感、ストライク一つ取るたびに盛り上がるスタジアムを体感できたことはチームにとって多大なる影響をもたらすでしょう。
Epilogue ジェットコースターのような日々
さて、このポストシーズン。
日本のメディアでは散々取り上げられたように、送りバントと盗塁を積極的に取り入れたスモールベースボールで挑みました。
ところが始まってみると、MLB新記録の1イニング4HRなど、効果的な一発や長打が絡み得点を重ね、持ち前の守備力とシーズン終盤から好調であったブルペン陣も噛み合い、あれよあれよでワールドシリーズまで進出。
Luvullo監督が敗戦後の会見で語っていた『ジェットコースターのような日々』というのはまさに言い得て妙であり、一つ間違えば一気に転落してしまう危機感を孕んだまま、どこかフワフワした状態でずっと戦っていました。
また、この会見では「ここに到達するまでにとても時間がかかったし、選手たちはその過程がどのようなものかを学んだのだと思う。」 と若いチームが得た経験が、より強くなって戻ってくるのに役立つだろうと語りました。
我々ファンにとっては充実9:悔しさ1のポストシーズンでしたが、選手にとっては悔しさ9:充実1のポストシーズンであってほしいです。
来年はきちんと地に足を付け、ワールドチャンピオンを"狙って"獲りにいけるチームになりましょう。
ヘッダー画像:球団公式X(旧Twitter)より