マレーシアで見かけるジャウィ文字について紹介したい!!
こんにちはdawuです!
突然ですが、このnoteのタイトル写真にもある看板、上には何やらアルファベットが書いてありますが、下に書いてる文字、何語だと思いますか?
アラビア語?
と思われた方、惜しいです!
実はこれ、文字が違うだけで、書かれている言語は上も下もマレー語で、同じことが書いてあります!
どういうこと?
と思われた方も多いと思います笑
今回は、タイトルにもある通り、マレーシアやブルネイ(主はまだ行ったことありませんが)で使われている、“ジャウィ文字”という文字について紹介したいなと思います。
かなりオタクな内容なんですが、マレーシアで知ってると少し自慢になるというか、街を歩く時やモスクなどイスラーム教に関連した施設や博物館などに観光に行く時に、少し魅力が増えるので読んでいただけたらうれしいです!
ジャウィ文字とは?
上の看板の話に戻ります。
この看板はモスクにあったもので、解説していくと、上はラテン文字(アルファベット)で書かれたマレー語、下はジャウィ文字という文字で書かれたマレー語です。
ラテン文字
Terima Kasih kerana berpakaian sopan dan menutup aurat.
適当な服装で(イスラームの教えの通り)プライベートな肌の露出を控えてくださりありがとうございます。
ジャウィ文字
تريما کاسيه کران برڤاکاين سوڤن دان منوتوڤ عورة
アラビア文字やペルシャ文字、ウルドゥー文字といった知識がある方(なかなかこれも少ないですが笑)なら、上のラテン文字と対応してるのがわかると思います。
例えば
ありがとう
Terima Kasih
تريما کاسيه
〜と(英語のand)
dan
دان
と言った具合に、ラテン文字で書かれたマレー語に対応しています。読む順番はアラビア文字と同じように右から左です。
前置きが長くなってしまいましたが、マレーシアでマレー人の間で話されているマレー語には主に2つの綴り方があります。
1つが、英語のようにアルファベットで綴るラテン文字転記、もう1つが今回話題にしているジャウィ文字という綴りです。
だからジャウィ文字ってなんなんだ?
今から説明します笑
マレーシアと言えばご存知の人もいる通り、イスラーム教の国です。そして同時に、ポルトガルやオランダ、英国など欧州の支配を受け今のマレーシアという国が成り立っています。
ここで注目してほしいのは、マレーシアは歴史的に、主に中東などのイスラーム圏(当然ながら言語はアラビア語です)と、欧州(言語を綴る時はラテン文字が多い)の両方に触れていることです。
ジャウィ文字とは端的に言うと、マレー半島一体やその周辺(現在のインドネシアやボルネオ島など)に、14世紀頃からイスラーム商人との交易によってイスラーム教や文化が持ち込まれた時期に生み出された
マレー語を綴るためのアラビア文字を元にしてつくられた文字
です。
このジャウィ文字、マレーシアがその後ヨーロッパ各国の植民地支配を経た中で、アルファベット中心のラテン文字転記の方法が採用された中でも、20世紀くらいまで現役で使用されていました。
現在では、ラテン文字転記が主流になりましたが、マレーシア国内でもモスクなどのイスラーム教に関連した施設の看板などで見ることができます。
またこのジャウィ文字、現在のインドネシアではあまり使われていないようですが、ボルネオ島にある小国ブルネイダルサラームでは、今でも街中などで現役で使われていて、国歌もジャウィ文字で綴られています(ブルネイ行ったことないので写真がなくてすみません)。
ジャウィ文字とアラビア文字の違いって?
ここからはかなりオタクな部分になってくるのですが、ジャウィ文字とアラビア文字の見分け方について少し紹介したいと思います。
気になる人だけ読んでもらえれば結構です笑
ジャウィ文字かアラビア文字か見分ける簡単なポイントはジャウィ文字にしかない文字を見つけることです。
ジャウィ文字はアラビア文字が元なので、基本的な母子音はアラビア文字と一緒です。ただマレー語を綴るとなると、アラビア語にはない音を綴るために、新たに文字を生み出す必要があります。
それが、ng, p, g, v, ny の5子音です。
これらはアラビア語にはない音のため、ジャウィ文字にはこれらの音を表す独自の文字が存在します。
・ジャウィ文字独自の文字
nga ڠ
pa ڤ
ga ڬ
va ۏ
nya ڽ
アラビア文字の知識がない人でも、上とか横に点がついてるような、これらの特徴的な文字があれば大概はジャウィ文字だとわかります。
例えば、上であげたマラッカのモスクの看板、kampung(کامڤوڠ) kling(كليڠ)と、単語の最後にngがあり、ڠがあります。また、puのڤもジャウィ文字特有です。
また、アラビア語を勉強したことがある人はわかると思いますが(だからそれも少ない)、アラビア語の場合、母音は基本的に長母音や二重母音以外は省略されるのに対し、上のkampung(کامڤوڠ)のように、ジャウィ文字綴りの場合、マレー語のラテン文字綴りに忠実に従い、アラビア語ならまず省略されるであろう、kaのalifや(ا)puのwaw(و)が、それぞれ書かれています。
ちなみにこのジャウィ文字において母音をどこまで書くかや、アラビア文字とどのように対応させるかなどのルールは人によって異なるらしいです。
最後に
ものすごいマニアックな内容になってしまいましたが、ジャウィ文字は、人によって綴り方やルールも違えば、現代では英語やさらに多言語からの借用語も増え変化するマレー語に合わせて進化しながら現代にも生き続ける非常に面白い文字です。
是非マレーシアに来る際は、ジャウィ文字を通じて、先人たちが築き上げた、イスラームと東南アジアの融合を感じれる神秘を感じてはみてはいかがでしょうか?
読んでいただきありがとうございました!