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「次世代のインターネットICP protocolとAIの可能性」 データ分析とAI開発はどう変化していくのか


ICPプロトコル(インターネットコンピュータプロトコル)とは

ICPは、Dfinityによって開発された分散型クラウドコンピューティングプラットフォームであり、従来のITスタックに代わる新しいインフラを提供しています。これにより、開発者はアプリケーションをブロックチェーン上に直接デプロイでき、バックエンドサービスやデータベースを分散的に管理することが出来ます。

問題点

以前のWeb3技術を活用したアプリケーション開発には、いくつかの問題点がありました。その一つは、Dappを開発しても結局、Web2で覇権を握るAWSやAzureなどの中央集権型クラウドサービスを利用せざるを得ないという点でした。彼らが覇権を握っているのでサーバーコストも自由に設定が出来ます。このため、Web3の理念からは程遠い状況が生まれていました。しかし、分散型クラウドコンピューティング(ICP)は、この課題を解決し、真の分散型Web3アプリケーションの開発を可能にします。

Web2

つまり、データやアプリケーションが特定のプロバイダに依存せず、ネットワーク全体で分散管理されるということです。そのため、セキュリティの向上、データの不正アクセスや改ざんリスク減少、システムの障害が減り、サービスの継続性が確保されます。

コスト効率も上がり、従来のWeb2ベースのクラウドサービスに比べて、リソースの使用効率が高まり、コストの削減が期待されます。


今回は私がデータ分析やAIモデルに精通しているため、今後データ分析やAIモデルの開発はどうなっていくのかを予想したいと思います。

Federated Learning

Federated Learning(連合学習)とは、中央サーバーにデータを集約せずにデバイス間で学習を行うことで、データのプライバシーを確保しつつモデルを改善できます。 つまり、データを一か所に集めずにPCやスマホなど複数のデバイスデータの分析が可能になります。具体的な例としては、スマートフォンの入力予測が挙げられます。変換予測などのデータのプライバシーを守りつつ、分散型学習を行う手法であり、医療や金融などの分野で特に重要になっていきます。

1. 分散型データ管理

時はビッグデータの時代と言われており、2025年までに、世界のデータ生成量は175ゼタバイトに達すると予測されている。この膨大な情報から実用的な知見を導き出すためにも、効果的なデータ分析が不可欠であり、IOTやセンサーデータの増加によって、膨大化したデータを処理するため、データ分析にも分散化が求められるでしょう。
特に、時系列データ(金融市場、気候データ、IoTセンサーデータ等)に対するAIモデルの精度が向上し、これらのデータから洞察を得ることもますます重要になっていくと考えられます。

2. スケーラビリティ

ICPのアーキテクチャは、スケーラブルなデータ処理を実現します。これにより、大量のデータを迅速に処理し、リアルタイムでのデータ分析が可能になります。特に、ビッグデータやIoTデータの分析において、その利点が顕著です。

3. コスト効率

従来のクラウドサービスと比較して、ICPはコスト効率が高いとされています。分散型のアプローチにより、データストレージや処理にかかるコストを削減できるため、企業はより多くのリソースをデータ分析に投資することができます。

4. 新しいビジネスモデルの創出

ICPを利用することで、企業は新しいビジネスモデルを構築することが可能です。例えば、データを共有することで新たな価値を生み出すプラットフォームが形成され、データ分析を通じて得られたインサイトを基にしたサービスの提供が期待されます。

5. セキュリティとプライバシーの強化

ICPは、データを分散して管理することで、セキュリティとプライバシーの強化が図られます。データが特定のサーバーに集中しないため、サイバー攻撃のリスクが低減し、ユーザーのプライバシーを保護することが可能です。これにより、特に個人情報を扱うデータ分析において、より安全な環境が提供されます。

6. インターネットとの統合

ICPは、ビットコインやイーサリアムとの接続を提案しており、これにより異なるブロックチェーン間でのデータの相互運用性が向上します。この相互運用性は、データ分析の際に多様なデータソースを統合し、より包括的なインサイトを得るための基盤となります12.

7. 開発者の利便性向上

ICPは、開発者が簡単にアプリケーションを構築できる環境を提供します。これにより、データ分析ツールやプラットフォームの開発が促進され、企業は迅速に市場のニーズに応じた分析ソリューションを展開できるようになります。これにより、データ分析のスピードと効率が向上します。

Decentralized AI: AIモデル開発の分散化

Decentralized AIとは、AIとブロックチェーン技術の活用を意味し、AIモデルの実行をオンチューンのスマートコントラクトとして実行が可能になります。具体的には、事前にプログラムされたルール通りに自律的に透明性を担保したまま、ブロックチェーン上でもAIも利用が可能になるということです。

今後AI開発はプライバシーを考慮したデータ収集とより効率的なモデル開発が可能になっていくと考えれます。
データが個々のデバイスやノードに分散され、データ収集プロセスが個人のプライバシーを尊重しながら行われ、データの漏洩リスクが低減します。Federated Learningのように、個々のデバイス上でモデルを訓練し、その結果を統合して全体のモデルを改善する手法を取って代わることが予想されます。大規模なデータセットを必要とせず、小規模のデータセットから分析を行い、それらの結果を共有することで効率的なモデル訓練が可能になります。

ここからは実際にICP上で開発が行われているAIプロジェクトについて紹介をしていきます。

ICPで行われているAI project一覧

  1. ArcMind Vector DB
    URL: https://github.com/arcmindai/arcmindvector
    概要: テキスト、画像、音声の埋め込みをサポートするベクトルデータベース。プライバシー重視の分散型自律AIエージェントを提供し、長期記憶ストレージとしても機能する。

  2. KinicDAO Vector DB
    URL: https://ai.kinic.io
    概要: ブロックチェーン上で完全に動作する高性能な分散型ベクトルデータベース。改ざん防止データをAIやLLMに提供することを目的としている。

  3. Sonos Tract
    概要: ONNX、TensorFlow、PyTorchモデルをサポートするRust製のオープンソースAI推論エンジン。

  4. Decide AI
    概要: オンチェーンでAI推論を実行するプロジェクト。ICPのスマートコントラクト内でAIモデルを直接実行することを可能にする。

  5. Kinic AI
    URL: https://ai.kinic.io
    概要: ICPでAIをデプロイするためのプッシュツーデプロイツールを提供。ベクトルデータベースを含む、ブロックチェーン上でのAI開発をサポート。

  6. Rust-Connect-Py-AI-to-IC                                                                  Sonos Tractを使用してPython AIモデルをオンチェーンでデプロイおよび実行するためのオープンソースツール。

  7. インターネットコンピュータAI: ICPのテストネット上で実行されるAIモデルで、将来的には強力な大規模言語モデル(LLM)をスマートコントラクトとして実行することを目指しています。

  8. 顔認識DApp: ICPで開発された分散型AI(DeAI)の実証プロジェクト。

まとめ

ICPプロトコルは、データ分析やAIモデルの分散処理において重要な役割を果たす可能性があります。
ICPの利用により、データを複数のノードに分散して管理するため、データの安全性と可用性が向上し、より安全な分散処理を用いたデータ分析が可能になります。これにより、データ分析の際に単一障害点が排除され、より信頼性の高い分析が可能になります。
分散型の特性を活かし、信頼性、スケーラビリティ、コスト効率を兼ね備えたデータ分析環境を提供することで、企業は競争力を高めることができるでしょう。

AIの開発および利用において、GPUの計算コストと消費電力は問題になっており、Web2で主力であったクラウドサービスは今後イノベーションを起こしこれら問題に対処していかなければいけません。ICPの分散プロトコルがその問題をどう効率化し、どう消費電力を下げ、どう利用コストを下げるのか引き続きチェックが必要だと感じました。現在のICPの問題としては、

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