現役データサイエンティストが開発環境にWSLをおすすめする理由と導入方法
こんにちは。株式会社D4cプレミアムでデータサイエンティストをしている3年目社員の瀬戸です。今回は、私が業務などで使用している開発環境である、「WSL」についてご存じない方向けに紹介します。
この記事で得られること
WSLとはどういったものか端的な理解
WSLのインストール方法
インストールを進める上での注意点
WSLとはなにか
WSL(Windows Subsystem for Linux)はWindowsPC上にLinuxの環境をつくる機能です。
一般的にWindows上で異なるOSを使用する場合、仮想マシンを動かすためのソフトウェア上で、別のOSを動作させる必要があります。こちらはインストールも大変で、かつ、PCも高性能である必要があります。一方、WSLは極めて簡単にインストールもでき、軽量なソフトウェアなので、高性能なPCも必要ありません。手軽にWindowsPCでLinux環境を導入することができる便利な機能となっています。
WSL1とWSL2について
WSL2はWSL1に比べて新しく、上位互換性があります。現在は公式もWSL2の使用を推奨しており、本記事でもWSL2の前提で紹介を進めます。
WSLがなぜおすすめか
さて、なぜWSLを導入しWindowsPCでLinuxOSを動作させることが、開発者やデータサイエンティスト、もとい業務用PCがWindowsOSの方にとって有用なのでしょうか。もう少し具体的に紹介します。
・macOSユーザーがWindowsOSのPCで開発する際に便利です。
macOSはUnix系のOSであり、LinuxはUnixを参考に開発された経緯があります。そのためmacOSユーザーは比較的使い慣れたLinux特有のツール(Bash、apt・yumなどのパッケージ管理ツールなど)や開発環境をWindowsPCで利用することができます。
・PowerShell(WindowsOSのシェル)のコマンドを覚える学習コストを削減できます。
・本番環境がLinux環境の場合に、WSLを使えば同じ環境で開発できます。開発環境を一致させることで、Windows環境とLinux環境の差分で起こりうる深刻な問題などを回避することが可能です。
・WSLにDocker Engineを導入できる
Dockerはコンテナ型の仮想環境を構築するソフトウェアです。Docker EngineはOSS(オープンソースソフトウェア)であり、無料で利用できます(2023年7月現在)。そのためWSL上にインストールしたDockerにJupyter labやR studioのコンテナを構築することで、手軽に業務でも使用できる分析環境を手にいれることができます。
WSLの導入(hands on)
今回は公式ドキュメントの構築方法を参考に実際に流れを解説したいと思います。
※もし構築に失敗しても、Windows PC上の他のアプリと同様にアンインストールすることが可能ですので、気軽に手元で試してみてください。
まずはコマンドプロンプトを管理者権限で起動します。
以下を実行して、使用可能なディストリビューションの一覧を表示します。
> wsl --list --online
今回はUbuntu-20.04を選択してこちらをインストールします。
※デフォルトではUbuntuがダウンロード後インストールされます。他のディストリビューションも利用することができます。詳しくは公式Docを参照ください。
以下のようにインストールが進行していればOKです。
インストール完了後、再起動を促されるので従います。
-.-.-.-.-. 再起動 .-.-.-.-.-
再起動すると以下のターミナルが自動で開き、Linux用のユーザー名とパスワードを求められるので設定します。※以下のような画面が見られない場合は、「ターミナル」をインストール(記事の最後に「補足」で説明あり)ください。
ユーザー名を指定↓
パスワードを指定↓ ※打ち込んでも表示されませんが問題ありません。
設定完了すると以下のように、コマンドの受付状態となります。
ここでWSLのバージョンを確認するために、一旦コマンドプロンプトを再度開き、以下を実行します。
> wsl -l -v
出力に先程インストールした”Ubuntu-20.04”が存在することが確認できます。VERSIONの部分が”2”となっていればWSL2が導入できています。
※VERSION部分が”1”の場合、WSL1が導入されています。WSL2の方がWSL1より新しく、WSL1はDocker composeなどのコンテナ管理ツールが使用できないこともあるため、WSL2を前提に進めます。WSL1がインストールされている場合は、コチラを参考にWSL2に変更可能です。
次にパッケージのアップデート・アップグレードを実行します
> sudo apt update && sudo apt upgrade
インストールの確認を求められるので”y”を入力します。
以下のように処理のインストールが進行していればOKです。
ここまででWSLの導入は完了です。
試しに内部のLinuxOS情報を確認してみます。
> cat /etc/os-release
※ catコマンド:ファイル内容を確認するコマンド
※/etc/os-release:etcディレクトリ以下のos-releaseというファイルを指定
導入されているUbuntuのバージョンなどが確認できました。
おわりに
これにてWindowsPC上でLinuxOSを動作させる環境が整いました。
紹介したように数コマンドでWSL環境を構築できます。ぜひお手元でお試しください。
後日、WSL上にDockerをインストールする記事も投稿予定です。
補足:「ターミナル」のインストール
以下のアプリが「スタート」から検索しても確認できない場合、microsoft storeからインストールください。
インストール手順参考Doc
https://learn.microsoft.com/en-us/windows/wsl/setup/environment?source=recommendations
(書き手:瀬戸)
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