連続見立て殺人事件
大惨事成長期と申します、よろしくお願いします。
「くそっ……俺の力不足でもう何人も殺されてしまった……早く連続殺人を止めないと、この伊中村はおしまいだ……」
「ほっほっほ、困っているようじゃな、お若い探偵さん」
「茂田さん……」
「爺さんで構わんよ。実はのう、この村には昔から口伝えで受け継がれてきたわらべ唄があるんじゃよ」
「わらべ唄……?」
「どうもこの連続殺人事件、そのわらべ唄に沿って起こっているようじゃの」
「なんだって……!?ひょっとしたらこの事件、そのわらべ唄の通りに悲劇が生まれる、いわゆる見立て殺人かもしれない……!お爺さん、そのわらべ唄を歌ってみてくれませんか!」
「ほっほっほ、分かったぞい」
「ありがとうございます、お願いします!」
「……シャンシャンシャンシャン、デレッデレーデレデレデレデン……」
「……イントロあるのかよ、わらべ唄に。しかも完全にドラムとギターじゃねぇか。8ビートのシンバルから始まるわらべ唄があるかよ」
「サビで殺し方を歌ってあるんじゃ」
「わらべ唄にサビって概念ねぇよ」
「マジの爆弾、マジの爆弾、落っことしてくれ♪」
「愛のバクダンのパクリじゃねえか。わらべ唄ってだいたい江戸時代くらいから継承されてるやつだろ。これ平成に作っただろ」
「すれ違う 村人の ポケットに♪」
「そもそも爆弾使うなら村ごとまとめて爆破しろよ。なんで小分けにして連続殺人してんだよ、こんなのじゃ事件解決しねぇよ!」
「今こそ手を挙げ 戦うべきは すべて燃やしつくすJealousy~!♪」
「Jealousy~!じゃねえよ、何気持ちよくなってんだ」
「どうかね、参考になったかの?」
「ただのジジイのカラオケだったよ。全然わらべ唄じゃないし」
「実は他にも代々受け継がれてきたわらべ唄があるんじゃ」
「最初からそっち歌えよ」
「デッデッデッデッデッデッデッデッデン、NAH,Wake Up People!♪」
「ウェカピポじゃねえか!もう分かったわ!」
「村村々 災い ここはURBANITE ”ウェカピポ”♪」
「ちょっとだけ韻踏めてんのも腹立つな」
「まだまだ まだ 推理せねば 真実はどこだ HA HA HA!♪」
「最後今の状況に当てはまるのかよ」
「どうじゃ、事件解決の役に立ったかの?」
「のど自慢に出てきたエキセントリックな爺さんだなとしか思わなかったわ」
「秘めた巨大なPOWERを持つお前さんならきっと役に立つと思ったんじゃがのう……」
「ウェカピポから離れろ」
「じゃあ最後のわらべ唄歌うから、精密採点DX-Gオンにしておいてくれんかの」
「DAMの採点機能使おうとするな」
「ジャララララーララージャララララーララー ジャララララーラララーーーッ
セインッ セイヤーーーーーー!!!」
「今聖闘士星矢って言っただろ。ペガサス幻想確定イントロじゃねぇか」
「ペーガサスファンタジー!そうさ夢だけはー!誰も奪えない心の翼だからー!♪」
「もうペガサス幻想って言っちゃったし、頭の中でSEがバンバン鳴ってちょっと楽しくなってきたわ」
「聖闘士星矢 少年はみんな 聖闘士星矢 明日の勇者♪」
「ただただサビ歌ってるだけだよ、もう俺帰るぞ!」
「この事件~♪ 犯人~♪ 村長~!♪」
「うわぁ!奇跡的に解決した!」
この後村長は逮捕され、事件は無事解決した。
正直見立て殺人でも何でもないし、爺さんのおかげで解決したのも気持ち悪かったが、疲れ切った俺はとにかく家に帰ることにした。
~数日後~
「前の事件、解決したのは良かったけど何日経ってもやっぱり腹立つな…
まあいいか、テレビでも見て気分転換しよう」
「NHKのど自慢、本日はN県S市からお届けします!
トップバッターは伊中村の茂田茂雄さんで、曲はCreepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』でーす!」
「……なんというか、うん……
エキセントリックだなぁ……」
連続見立て殺人事件 完