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「ロケーションベースXR」を軸にした新たな顧客体験のカタチとは?|D2C ID CX CRAFTS TALK
こんにちは! D2C ID CX推進室です。
先日、第2回目となるウェビナー『D2C ID CX CRAFTS TALK』を開催しました。今回は『ロケーションベースXR 新たな顧客体験を探るクリエイティブワーク』と題し、弊社が携わった最新のXR活用事例をご紹介しながら、SoVeC株式会社 代表取締役社長 上川衛さんをゲストにお迎えし、トークセッションをおこないました。
本記事では、ウェビナー当日の内容を一部要約してご紹介します。
D2C IDが掲げる『CX CRAFTS』
はじめに、弊社テクニカルディレクターの田中が、D2C IDの強みについて、CX(顧客体験)文脈でお話しました。
田中:D2C IDは、『CX CRAFTS』を掲げ、お客様のビジネスに伴走しています。「CX(顧客体験)」価値を見出し、統合的なプロデュースができること。「CRAFTS」=こだわりをもってつくること。これらの強みをもって、私たちは、商品やサービスを取り巻くCX=顧客体験の全てのフィールドで、力を発揮しています。なかでも、D2C IDの注力領域であるSNS・PR・WEB・EVENTは、私たちが有する “実践知” を活かしていける分野であり、このCXのフィールド全体をカバーできるのは業界でも稀有な存在なのではと思っています。
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また、今回登壇したD2C IDのメンバーは、未来志向のテクノロジーでユーザー体験を加速させる「EXPERIENTIAL TECHNOLOGY」事業を推進する部署、IMG SRC STUDIO(イメージソーススタジオ)の所属。D2C IDは昨年、D2C dotとIMG SRCの2社の合併にて生まれましたが、業界の老舗 IMG SRC(現:IMG SRC STUDIO)が築いてきたプロトタイピングやR&Dを大切にする文化に加え、マーケティング領域をカバーできるCX(顧客体験)価値の創造が可能となりました。
ロケーションベースXRと最新事例
年々進歩し続けているXR技術。今回のテーマである「ロケーションベースXR」は、画像から位置を測定するVPS(Visual Positioning Service)技術を活用したXRを指します。店舗やイベントなど顧客体験の接点となる“場所”で体験できるXRとして、企業のマーケティング活動にも今後ますます活用されていくことが期待されている分野となっています。
ここでは、弊社デザインエンジニアの前野が、XR技術の解説とともに、D2C ID IMG SRC STUDIOが携わった最新のXR事例をご紹介しました。
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・三越伊勢丹『Virtual Ginza Mitsukoshi』
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これらの最新事例は、VPSを活用することで、よりクオリティが高く、現実の空間に溶け込んでいるような表現を実現しています。ロケーションベースXRは現在、一昔前では考えられなかったようなデジタル体験が可能となったことが伺えます。
VPS技術を活用した3Dマップ次世代ARアプリ
ここから、SoVeC株式会社 代表取締役社長 上川衛さんにご登壇いただき、SoVeCの事業概要について、ご紹介いただきました。
上川さん:「テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる」を会社のミッションとするSoVeCは、先端技術を活用したデジタルコミュニケーション領域のソリューション提供をおこなっています。動画自動生成クラウドサービス「SoVeC Smart Video」、3Dマップ次世代ARアプリ「XR CHANNEL」、ブラウザベースで展示会やショールームなどを表示できるバーチャル展示会ソリューション「そのまま展示会」の3つのサービスを展開しております。今回主にお話させていただくのは、先ほど紹介のあったXR事例でも活用いただいた「XR CHANNEL」。現実世界のデジタルコピーである3Dマップと、スマホなどに搭載されたカメラを通して見ている画像を照合し、向きや方位を含む高精度な位置情報を特定する技術『VPS』を活用したアプリです。数㎝単位の正確なAR重畳によって圧倒的な臨場感を演出できるソニーのVPS技術を採用しています。
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ゲストスピーカーとしてご登壇いただいた、上川 衛 氏。
SoVeC株式会社 代表取締役社長。ソニーにおける様々なビジネスカテゴリーの事業企画・戦略、新規ビジネス開発に従事した後、ネットワークサービス事業の立ち上げや、本社ビジネスディベロップメント部の統括部長としてオープンイノベーション推進やクリエイター共創などを積極的に進めた。
グローバルな視点をもとに、最新技術トレンドを基にした事業開発を得意としており、社外においてはスタートアップメンター活動も積極的に行っている。
2019年4月より、SoVeC株式会社の代表取締役社長に就任。同社では『テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる』をミッションに掲げ、デジタルコミュニケーション分野での新しいビジネス開発に取り組んでいる。
また、ロケーションベースXRは「XR広告 / デジタルPR」「イベント / コンテンツPR / 商品PR」「アニメ / キャラクター / ファンエンゲージメント」「観光・情報 / 商業施設 / 集客・誘導」「エンタメ / 謎解き / ゲーム体験」「ブランディング / アート / クリエイティブ」など、さまざまな活用ができるポテンシャルの高い技術であると、D2C IDとの事例も交え、上川さんよりお話いただきました。
新たなCXの可能性を探る
トークセッションでは、「ロケーションベースXR活用による新しいCXの可能性」について、上川さんのお話からクロストークが展開されていきました。
上川さん:VPS技術をベースにしたソリューション「XR CHANNEL」は、さまざまなロケーションにおける特別な体験を届けるものです。商業施設、歴史的な建物、都市のランドマークなど、買い物やエンターテインメントなどを訪れた際に、デジタルで補完したり、全く別の体験をさせたりすることで、その「場所の価値」を高めることができます。マーケティング視点では非常に価値が高いのではないでしょうか。
上林:地域活性化や観光、商業体験における付加価値の向上が期待できますよね。今後さまざまなプロモーションでXR技術を活用した新しい取り組みが拡がっていくといいなと思いました。
田中:これまでのロケーションベースXRは、GPSを使うのが主流で、地下や建物内での正確な位置認識ができませんでした。しかし現在では、数㎝単位の正確な位置認識が、VPSの活用によって可能となりました。そのため、ロケーションベースXRは、マーケティング視点でみても、非常にポテンシャルの高い分野だと思っています。
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体験設計や演出手法のポイント
つぎに、クリエイター視点で「よりよいCXの実現に向けて、体験設計や演出手法で意識したいこと」をテーマに、話が進んでいきました。
田中:現在オンラインのコミュニケーションが普及したことで、「現地に行って五感で体験できる」ことの重要度が増しています。Web ARやARフィルターも身近なものとなり、生活者の目も肥えていますよね。だからこそ、いつも見ている風景のなかに(今まで見たことのない)驚きをつくることが、とても大事だと思っています。
前野:二次拡散をどれだけ狙えるかも意識したいですよね。現地に行って体験したユーザーがスマホで撮影した画像や動画は、インパクトがあるものほど、SNSでシェアされ、拡散されていきます。ロケーションベースXR施策において、インパクトのある画づくりは、かなり注力したいところです。
上川さん:まさしくそれを言いたかったんです!JR東日本『超駅博 上野』の例をとっても、「この電車だけARなの?本物じゃないの?」っていう体験者の驚きが拡散力になりましたよね。現実とデジタルの区別がつかないリアリティある表現はやっぱりおもしろい。我々のこれまでの施策も、テレビニュースやネット記事などに取り上げてもらったことで、現地での体験人数よりも大きな効果を実感できました。
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上林:SNSでの拡散を意識した、ユーザーが発話しやすい体験設計はやっぱり重要ですね。UGC(ユーザー生成コンテンツ)をつくり出す装置としても、ロケーションベースXRはかなり親和性が高いので、今後の盛り上がりにも期待したいと思います。
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CGアセット制作の裏側
よりリッチな体験や演出をつくっていくために、要となるのがCGアセット。その制作の裏側を深掘りしながら、話が盛り上がっていきました。
前野:JR東日本『超駅博 上野/AR車両フォトスポット』は、車両内部まで精細につくっていますが、フォトグラメトリ撮影(複数枚の写真から3Dイメージを作る手法)をしたCGモデルです。JR様に車両基地をお借りし、車体上部はドローンと高所作業車を併用しながら、数日間撮影しました。車体の表面はテカりなどの特徴があったりしますが、反射や特徴がないボディの場合、3D座標をうまく認識できなかったりするため、規則性を保って撮影するなど、撮影の方法は工夫が必要でした。
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上川さん:これは、モデリングするための環境をJR様にご用意いただけたため実現できた事例でしたね。JR様が車両センターで撮影できるように調整してくださいました。普段運行している路線上などでは、このような高精細な撮影はできないですし、今回のように巨大なスケールのアセットをCG化できる機会はなかなかありません。
前野:普段使われている上野駅のホームで体験できるというのも、凄いことですよね!イベント期間中、ホームに電車のARを表示させるために、電車が入らない時間帯で実施できるように調整いただいているのですから。
上川さん:もうひとつこだわってつくったのが、実際の駅のホームにある蛍光灯のあかりを、車体に反射して映っているようなテクスチャをのせたことですよね。これによって、まるで駅のホームに本物の車両が停まっているかのような演出が実現できました。
前野:蛍光灯を現実にある同じ位置で、全部CGソフトにプロットしてテクスチャに焼き込んだところ、再現性の高い表現ができました。(体験中スマホをかざした際、AR車両の後ろに実物の車両が写り込んだ画像を見せながら)これ見てください!後方にあるのは実物の車両なんです。リアルとCG、見分けがつかないくらい融合されていませんか。
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上川さん:取材に来ていただいた方から、「脳がバグる」と褒め言葉をいただきましたね(笑)。
田中:「脳がバグる」という体験の声は、つくり手冥利に尽きますね。
さいごに
今回、最新のXR活用事例を通じて、リアルな現場でしか体験できないコンテンツの良さや、二次拡散のポテンシャルの高さに気づきがあった方もいらっしゃるのではないでしょうか。このウェビナーをきっかけに、「ロケーションベースXR」を活用した新たなCX(顧客体験)価値の創造が加速していくことを願っています。
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D2C ID主催ウェビナー『D2C ID CX CRAFTS TALK』は、今後も定期的に開催していく予定です。クリエイティブ制作に必要不可欠なCXについても、有益なお話を発信していきますので、ぜひご注目ください!
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