心の旅路
車を買った
古い車だったが
愛されていたのがわかる
だらしない自分にも
同じように愛せるかはわからない
一目惚れというより
愛着が湧くのだろう
女房とも長い付き合いだが
馴染んで心は安らいだ
古き良き世界が猛スピードで
背後に遠のいていく
列車の一人旅が僕は好きだった
カーブの多い
海沿いを走る単線
ゆっくりと
短い車両を軋ませる
生温かい潮風で
頰に貼りつく茶色の髪
光り輝く海岸線
嫌味のないサングラス
家族に反対され
コンバーチブルは先延ばし
人生の旅路は
折り返したばかり
さあ相棒よ
海沿いをゆっくりと
走ってみようではないか
1.30