9.11
2001年秋、信じられない出来事が発生する。
世界を震撼させた、アメリカ同時多発テロ事件だ。
1機目が突入したニューヨークの朝8時46分、
東京は夜9時46分だった。
僕はその時間、出版社で仕事をした後、
神保町の居酒屋で晩御飯を食べていた。
居酒屋にテレビがあり、
10時からのニュース番組で、
ワールド・トレード・センターが、
炎上している映像が映し出された。
航空機が激突したとのことで、
最初は事故だと思った。
ところが、その炎上するビルに、
2機目が突入するシーンが映された。
これはもう事故ではない。
同時犯行のハイジャックだ。
そこで勘定を済ませ、
出版社の人は職場に急ぎ、僕は帰宅した。
家に帰ると、ビルが崩壊していた。
居酒屋のテレビに映されたあの映像。
特撮映画でも見ているような、
現実感がまるで無い感覚だった。
2階の座敷の、小さいテレビだった。
ビールを飲んでいたが、酔いは一気に覚めた。
日本は次の日もニュースはそればかりだったが、
普通に会社も学校も、昨日と変わった様子はない。
ところがアメリカは、この日を境に変貌した。
非常事態宣言をブッシュ政権が発動し、
強いアメリカを作る決意、信念が生まれた。
アメリカは、欧州や日本を頼らず、
自国は自国でまず守ることを優先した。
それが、アメリカの強さの根源になった。
あまり話題にならないが、
3.11は、9.11のちょうど半年違い。
そんな偶然があるものだろうか。
東北に対して日本は、
どれだけ決意したのだろうか。