アンダーマイニング効果からの警鐘
容易なインセンティブが、逆効果であることがあります。
アンダーマイニング効果(Undermining Effect)は、心理学における興味深い現象であり、内発的な動機(自分の好きや興味)による行動が、外発的な動機(報酬やノルマなど)によって抑制されることを指します。これにより、もともと純粋に楽しんでいた行動が、外的な要因によって「義務」や「報酬獲得の手段」として捉えられるようになり、結果としてモチベーションが低下してしまいます。
アンダーマイニング効果の実験
1971年にエドワード・L・デシとマーク・R・レッパーが行った実験が、アンダーマイニング効果を実証しました。実験では、子どもたちが楽しんでいたパズルを使い、最初は何の報酬もなく純粋に取り組ませました。しかし、途中から報酬を与えると、次第に子どもたちの興味が「報酬」に向いてしまい、その後、報酬がなくなった途端にパズルへの興味自体が減退してしまいました。これがアンダーマイニング効果の典型的な例です。
アンダーマイニング効果の具体例
好きな趣味が仕事に変わるとき 例えば、絵を描くことが純粋に「好き」で続けていた人が、仕事として報酬をもらうようになると、次第に「お金のために描かなければならない」という意識が強くなり、結果としてモチベーションが低下するという現象が起こり得ます。このように、もともと内発的動機で行っていた行動が、外発的動機に置き換わることで楽しさが失われてしま例です。逆も言えます。イチローはこう言っています、「野球は楽しくない。」と。仕事は趣味ではありません。仕事は趣味であるという方もたまに見かけますが、基本的に、「仕事」と「趣味」は定義からして相容れませんので容易にこのような発言をするべきではないかもしれません。
会社の報酬制度 企業において、社員のモチベーション向上を目的として報酬やボーナス、目標達成のためのノルマを設定することがあります。しかし、これが逆効果を招く場合もあります。たとえば、もともと自分の成長や仕事への情熱から頑張っていた社員が、報酬制度に縛られた瞬間、仕事が「お金を稼ぐための手段」に外的報酬の慎重な扱い
報酬は短期的なモチベーションには有効ですが、長期的には内発的動機を損なうリスクがあるため、使用には注意が必要です。報酬やノルマの設定は、仕事の楽しさや意味を損なわないように、バランスをとることが重要です。
アンダーマイニング効果を防ぐためには?
内発的動機づけを重視する
個人が持つ「好き」や「情熱」を尊重し、それを育むような環境を整えることが重要です。具体的には、自由度の高い業務や自己決定権の増加、フィードバックや成長の機会を与えることが効果的である可能性があります。経営者みずから、mission、visionを示し、率先して実践することが重要です。外的報酬の慎重な扱い
報酬は短期的なモチベーションには有効ですが、長期的には内発的動機を損なうリスクがあるため、使用には注意が必要です。報酬やノルマの設定は、仕事の楽しさや意味を損なわないように、バランスをとることが重要です。
アンダーマイニング効果を理解し、適切に対処することで、個人のモチベーションや組織全体の生産性を高めることが重要です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?